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その2

「まるでアリスみたいね」


 千秋の何気無い言葉に、塚本と一色は慌てる。


「チーフ、ど、どういう意味でしょうか」


「え、ああ、塚本さんが可愛いんで、まるで昔読んだ不思議の国のアリスみたいだなって」


「あ、ああ、そうですか、そうですね、塚本さんは可愛いですよね」


 塚本は真っ赤な顔で下を向いている、褒められるのが苦手なのかなと千秋は思った。


「ところでチーフはどうしてウチに入ったのですか」


「大学出てから、バックパッカーで2年くらい世界中を回ったんだけど、27、8の頃かな、家族から日本に戻って就職してくれって言われてね、戻ろうとしたんどけど、友人がね、千秋の経歴では、日本では就職は難しいから、日本に支社のある海外の会社に就職したらって言われたの」


「それでエクセリオンに」


「アメリカにいた頃の知り合いが関係者でね、だったらウチに来いよ千秋なら歓迎だぜ、なんて言われて面接受けたら入れたの。一色くんと塚本さんは? 」


 一色が塚本の顔を見て、話していいか了解を得る。


「僕は、アメリカに行きたいんです。けど家の事情で日本から離れられなかったので、とりあえず外資系の会社を受けてチャンスを待つことにしたんです。エクセリオンに入ったのは偶々ですね。

塚本さんは、プライベートを大切にする人生でして、9to5の仕事ができて給料がいいという理由で外資系を選んだそうです」


「ふうん、2人とも会社はともかく外資系にこだわったのね。企画3課には最初から?」


 2人はちょっと曇った顔になった。まずいこと訊いたかなと千秋は焦るが、2人は話してくれた。


「僕は、やり過ぎたらしいです。早く出世して本社に呼ばれてアメリカに行きたいと頑張り過ぎまして、まわりから浮いちゃって企画3課に移動になりました。

塚本さんは、処理能力を買われて経理に配属されたんですが、コミュニケーションが上手く出来なくて業務に障りがあったので、企画3課に移動になりました」


「そうなんだ、課長も何処かから移動なの」


「聞いた話ですから本当かどうかは知りませんが、ずっとうだつが上がらなかったのですが、何か1つ手柄をあげたので、しょうがないから企画3課をつくって課長になったらしいです」


 企画3課の存在意義が怪しくなるような話ばかりだった。


「あ、でもチーフが来る1年前くらいかな、ずっとやる気のなかった課長が、なぜか頑張りだして色々企画を打ち立ててましたよ。モノになったものは無かったですけど」

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