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企画3課のアリス

終業30分前に帰社し、今日も成果は無かったと課長に報告すると、やはりネチネチクドクドと嫌味を言われはじめた。


終業時間になると、塚本はタイマーをしかけたかのように、デスクを片付けて帰宅していった。

一色も、千秋達にペコリと頭を下げて部屋を出ていく。


課長の嫌味もその後30分ほど続いたが、もういい帰りなさいと言われ、千秋も帰途についた。


会社を出て、駅の方に歩いていくと、なにか妙な空気を感じた。ふと足を止めて振り向くが、雑踏の中、自分と同じような帰宅途中のOLやビジネスマンばかりが目にとまっただけだった。

ふたたび歩き始め、名古屋駅近くまで来たら見覚えのある2人を見つけた。


「一色くん、塚本さん」


路上で何か話している2人が、千秋の方を見る。


「チーフ、お疲れ様です」


塚本さんはペコリとだけ頭をさげる。本当に無口なんだな、さっきも言葉でなくて身振り手振りで会話していた。


「すいません、先に帰ってしまって」


「いいのよ、あんな意味の無い時間につきあうこと無いわ」


一色の言葉に千秋は笑顔で返す。この言葉に一色と塚本は笑顔になった。


「だけど早く帰れましたよね」


「理由は分からないけど、課長もわりと早く帰りたがってたからね、終業間近なら早めに切り上げると踏んでたの。当たりだったわ」


千秋の朗らかな話し方に2人は笑った。


「ねえ、2人とも時間があるなら食事につきあってくれない。もちろんおごるわよ」


一色は塚本に行こうと促す。塚本は先に帰った負い目を感じたのか、珍しくこくんと頷いた。




居酒屋に行こうかとおもったが、塚本の事を考えてライト感覚なレストランを選んだ。


「呑まなくていいんですか、チーフ」


料理とサケを頼んだとき、千秋がサケをやめてウーロン茶にしたのを、一色は気にしていた。


「さっきまでそのつもりだったんだけど、何となく呑まない方がいいような気がしてね。2人は遠慮しないで呑んで呑んで」


「では甘えます。そのかわりいくらでも愚痴を聞きますし絡まれますよ」


「一色くんてホント、イケメンよねぇ。ねえ塚本さん」


背中まである長い髪を下ろし、フェミニンなワンピース姿で、グラスビールを両手持ちしながら呑んでいる塚本は、こくんと頷いた。


普段は、髪をまとめて紺のタイトスカートタイプのビジネススーツに、開襟シャツ姿しか見ていないので千秋には新鮮だった。



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