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その2

 課長の声だと一色と塚本が声に出さずに、そう思った。千秋は2人に人差し指を口に当てて、静かにするようにジェスチャーをした。


ーーーーーーーーーー

なんのようだ


緊急事態です、新しい取り引きを見つけて、最初の数字の七十五パーセントでやるそうです


なんだと、てめえなにやってんだ、余計なことしやがって


昨日は昼から例の仕入先に行ってまして……


ちゃんと見張っとけよ、役に立たねぇな、ああ


すいませんすいません


なんとかその新しいのとの取り引きをやめさせろ


どうやって……


考えろよ、てめえ課長だろうが


……


その新しいところってどこだ


聞いてません、まだ口約束で、本契約は明日の土曜の夜にやるそうです


つかえねぇな、ふん、土曜の夜ね あのオンナひとりでか


たぶん


あのオンナの行動を調べてしらせろ、どこにどう行くかをな

それと契約がうまくいってもお前でとめろよ

わかったな

でないとお前のかわいい不倫……


わかった、やるからそれはやめてくれ


じゃあな、やっとけよ

ーーーーーーーーーー


会話が切れた。同時に千秋もスマホのアプリを止めた。


「なんなんですこれ、課長とキジマの会話ですよね」


「さっき、コンビニに行った時にノブに連絡して訊いてみたの。課長のスマホに盗聴アプリ入れてないかって」


「探偵さんですか。ということは入れてあったんですね」


「で、それをこっちで聴けるようにしてもらったの。こちらの情報をたぶんキジマに連絡すると思って」


「リアルタイムで聴いてしまいましたね、スパイ疑惑が決定になってしまいました」


「それとやっぱり、脅されているネタは不倫だったわね」


「みたいですね。で、どうします」


「一色君、今朝頼んだことはいつ分かるかな」


「問い合わせメールは送ってありますが、まだ返事は無いですね」


「課長が来る前に分かると助かるんだけどな」


 課長に言った新しいルートというのは嘘で、コンペには元々の価格と付加価値で勝負するつもりだった。

ただ、同じ資料を使うと相手の心証が悪くなるだろうから、同じ内容だけど新しく資料を作る予定である。


「キジマが課長にとめろよ言われてましたよね、新しい資料には、課長の判子が入ります。どうします」


「それは大丈夫」


千秋はポケットから印鑑ケースを取り出す。


「ここにあるから」


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