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その3

「目的は、今夜の襲撃計画を明日のこの場所にする事。これはあたしと無関係だと思われてるあんたにしか頼めないしやれないの。やらないと私がこんな目にあうのよ。頼める?」


ノブは自分の役割が書かれている作戦チャートを読む。


「やるっす、ゼッタイやるっす!!」


力強く返事をするノブに千秋はニッコリ笑うと、ノブの頬を撫でる。


「頼むわよ、さ、先に行きなさい。成功の連絡待っているからね」


「はい!! いってきます!!」


 作戦チャートを握ったまま、ノブは走り去っていく。

 あとに残った千秋に後ろから近づく男の姿があった。


「やっぱりアメとムチの使い方が上手いですよ」


 振り向いてその相手に微笑む千秋。


「だから褒めてないってば、一色くん」


「おはようございます、チーフ。彼が探偵ですか」


「そう、ノブっていうの。覚えておいてね」


「今日の待ち合わせは、彼を紹介するためですか」


「半分ね。取扱注意だけど能力高めのコ、今は常識を教えているところよ」


「なるほど、それであんな芝居がかったやり方をしたんですね」


 千秋と一色は、とりあえず場所を移すことにした。太閤通り側に出ると、喫茶店に入り、コーヒーとモーニングセットを頼む。


 注文したものが届いたのを待って、話をはじめた。

 千秋はまず蛍の作った資料を見せ、一色は黙読する。しばらくすると、ため息をついた。


「言葉になりませんね」


「5年前は日本にいなかったから知らなかったわ、一色くんは知っていた?」


「僕も学生でしたからね、覚えています」


 資料には、5年前に起きた事件[学生サークルレイプ事件]の記事がまとめられていた。


「主犯達は捕まってますよね、キジマ達が助かったのは主犯でない上に未成年だったからですね」


「だから一般のニュースには無かったけど、[なんちゃらんねる]には実名が掲載されていたわ。ご丁寧に住所と家族構成までね」


「なるほど、これが成功体験でしたか。この情報を財団に流すだけで勝てるんじゃないですか」


「たぶんね。けど、それまでよ。場外戦で勝っただけ。財団の印象は悪くなるわ。その先を思慮にいれないとダメね」


 千秋の指摘に一色は頷き、そこまで踏まえての計画だったのに、やっと気がついたのだった。

 この件は信じて任せよう、自分は自分の任務をやるだけだと、あらためて一色は思った。


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