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推理する帰途

その言葉に、一色は納得できなかった。


「襲撃計画が必ず明日とは限りません、家まで送ります」


「一色くん、名古屋でしょ。大丈夫よ、栄から壱ノ宮までは明るくて人混みばかりだから」


何度か一色は送ると言ったが、千秋の言葉に不承不承、受け入れた。ならばと、栄駅の改札まで送らせてほしいと申し出、千秋はそれを受け入れた。


行く道、一色は終始無言であった。


「どうしたの、一色くん。怒っているの」


「いえ、考えてました。キジマって奴らは、何でこんなに安易に人を襲うなんて考えるのかなって」


「そう言えばそうね」


「まともな人間なら、まず思いつきません。さらに思いついても実行しようとしないでしょう。人としても倫理とか道徳が止めますし、そうじゃなくても刑罰が怖くて止めると思うんです」


「う~ん、そうね。課長を使ってのスパイ行為も、なぜ出来たかも謎よね」


「何というか、抑止力のハードルが低い感じがするんです。そこから想像すると、ひょっとしたら前にやったことがあるんじゃないでしょうか」


「成功体験てやつ?」


「それです。窃盗やギャンブルを繰り返す人は、1度成功してしまうと、その成功体験が忘れられず、また手を出すというやつです」


「キジマ達は以前その経験があると」


「可能性ですけどね」


「だから抑止力のハードルが低い……」


 千秋は自分の呟きで、思い出したことがあった。スマホを取り出し、画像をひとつ一色に見せる。


「一色くん、この女性に見覚えない? うちの会社のコなんだけど」


「さて? 見覚えありませんが、この人がどうかしたんですか」


「私のストーカー(仮)らしいのよ」


「なんです、そのカッコカリっていうのは」


 この女性が自分の通っているジムに3週間前に入会して、千秋の来る日にしかほぼ来なくて、毎回髪型と服装が違うことを伝えた。


「なるほど、偶然にしてはできすぎですね。特に髪型。毎回変えるのは不自然だと思います」


「3週間前からというのも気になるのよ、ちょうど私達がコンペを任命された頃だし」


「うちの会社の人で間違いないんですか」


「それは確かよ」


あらためて、一色は画面の女性を見る。


「う~ん、ダメですね。どこかで見たような気もしますが、思い出せません」


「塚本さんなら知っているかな」


「どうでしょう、彼女の交遊関係は少ないから……あ、このコひょっとして、あのコじゃないかな」


一色は何かを思い出したようだった。


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