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その3

「ありがとう。ところで、先程の話によるとかなり危ない仕事の様だが、何か手伝おうか」


 会長の言葉に、会員の誰かが意見を言う。


「会長、それは[ロバの耳]の主旨に反します。ここでの見聞きは外には関係無いという主旨に」


 皆も同意した。


「たしかにそうだな、これは私が悪かった」


 会長は皆に謝罪する。


「会長、心遣いありがとうございます。これは私達の問題であり仕事なんです。私達で必ず成功させてみます」


 千秋は一色を促して立ち上がり、皆に向かって深々と挨拶をして、店を出ていった。



 店を出て地上に戻り、千秋は伸びをした。


「一色くん、すごい人達と知り合いなのね」


「出会いは、たまたまだったんですけどね。それとこれ」


 一色は名刺を1枚、千秋に渡した。それには名古屋で有名な大手の病院の院長の名前があった。


「これは」


「会長の名刺です、先程帰り際にチーフに渡すように言われました」


「ええ、だってこの人、家族思いのアットホームな院長さんで有名な人じゃない、本当にこの人なの」


「会長は、後天的なゲイなんです。結婚して子供も3人もうけて、それぞれ独立してから、気づいたそうです」


「ご家族さまは知っているの、というかそれ私に言っていいの」


「[ロバの耳]の会長としてではなく、私人としてだそうてす。気に入られましたね」


 千秋は名刺をどう受け取っていいか悩んだが、その時スマホがバイブした。着信相手を見るとノブからだった。通話にして電話に出る。


「もしもし、ノブ、何かあったの」


「あ、姐さん! やっと出た。ずっとかけていたんすよ」


「そうなの? 気づかなくてゴメン」


「キジマ達、明日の夜に姐さんを襲う気っすよ」


「なんですって! どうしてわかったの」


「オレの店にまた来たんで、盗聴したら週末に拉致ってカンキンするって話してたっす」


 口では平気だと言ってたが、実際に日時を聞いてイメージが具体化し緊張した。


「教えてくれてありがとう、他には連絡することない」


「頼まれたリンチョウのスマホデータ、とってあるっす。姐さんのスマホに送ってあるっす」


「ありがとう、あとで確認するわ、じゃあね」


 通話を切り、ため息をつく千秋に一色が話しかける。


「例の探偵からですか」


「そ、キジマ達、明日の夜、私を襲うって」


 一色の顔がひきつる、その顔を見て千秋は落ち着くように話しかける。


「大丈夫よ、一色くんと同じくらい頼りになるのが助けてくれるから」



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