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シークレット倶楽部[ロバの耳]

 話に夢中になって声が大きくなっていたらしい。聴かれたっ、と千秋は身構えた。


「ね、面白い人でしょう」


 一色が答える。ロマンスグレーは立ち上がりそばにより、千秋に握手を求めた。


「はじめまして、シークレット倶楽部 [ロバの耳 ]の会長をやらせてもらっている者です」


「シークレット倶楽部……[ロバの耳]……ですか」


 とりあえず千秋は握手をする。


「失礼ですが、どういった集まり何でしょうか」


 その質問に一色が答える。


「僕と同好の士の集まりです」


「え、じゃあ」


 千秋は店内を見回す。12、3人であろうか、ここにいる人みんなそういう事なのかと。


「すいません、私のようなものが来てしまいまして」


 千秋が頭を下げる。


「僕が連れてきたんです、チーフが謝ること無いですよ。秘密の話が出来るところって、ここしか思いつかなかったもので」


「テンマが面白い人を連れてくると連絡あってね。彼のことだからと信用していたが、まさか女性と思わなかったのでね。少し様子見させてもらったよ、さ、こちらへ」


 会長が自分座っていたボックス席に促した。

 ボックス席のフロアはカウンター席より一段低く、降りて席に座ると、テーブルの上はよく見えるのに、顔が暗くて見えない。なるほど、ボックス席からはカウンター席は見えるが、逆は無いのかと千秋は感心した。

 今まで、皆に品定めされてたのかと思うと、ちょっと恥ずかしくなった。


「さて千秋さん、私から少し質問してよろしいかな」


 ロマンスグレー、いや、会長は千秋に向かって少し緊張ぎみに話しかけた。


「君はLGBTについて、どう考えているかね」


「会長、今そんなこと訊かなくても」


「テンマ、これは大事なことなんだ。[ロバの耳]の意味は知っているだろう」


「一色君、気を使わなくていいわよ。会長、今から話すことは私個人の意見です。もし気を悪くしても、彼には関係無い事です、よろしいですか」


「わかった」


 千秋は会釈すると、話し始めた。


「私は大学院を出てから世界各地をまわりました。その間に、男女だけでなく色々な人種、民族に出会い、色々な価値観に触れました。その上で感じたのは、みんな人間であるという事でした。

性別も皮膚の色も身体的特徴も、ただの個性です。性的嗜好も同じです。ですから偏見とか拒絶反応とかはありません」


「君の恋愛対象は」


「異性、男性です。それも年上の」


 会長は、ぷっと笑う。


「私もそれに入るのかね、君の父親くらいの歳だが」


「そのくらいが好みですが、口説きませんよ、フラれますから」


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