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その5

 千秋は、スマホとステレオイヤフォンを取り出し、接続して片方を一色に渡す。


「ショックを受けているところ悪いんだけど、これを聴いてくれる」


 一色は千秋と同様に片耳にイヤフォンをさす。

 スマホを操作し、音声を再生させる。それは例の襲撃計画の話だった。最初は怪訝な顔をしていた一色も、内容が分かったらしい、不快な顔つきになった。


「会話の内容と声から察するに、群春の連中ですね」


「そう、ターゲットは私」


 千秋は続けて、水曜の会話も聴かせる。


「あの日、そんな事が……、コイツら本当にやろうとしたんですか」


「みたいね、しかもこの計画はまだ、いきているらしいわ」


「警察に」


「できないの」


「なぜ……ああ、これ盗聴なんですね、だから証拠能力が無い」


「しかも相手は、酒の席の会話だからね。過激な内容だけど冗談と言われればそれまでよ」


「なぜいまこれを聴かせたんです」


「現状を逆転させるためよ」


「……伺いましょう」


「うちの課は、私が来る前からリストラ対象。そこに私を入れる事によって、さらにリストラする理由が強まった。だからミスを誘発させるために、うちの課にコンペのプレゼンを任命されたの。それも私がリーダー指名でね」


「それなら課全体の責任になりますものね」


「私はそんな事情を知らないから、敵対派閥が私個人を狙ったものだと思って、失敗しても皆に責任が及ばないように、ひとりでやってたの」


「そういうつもりだったんですね、僕はまた個人プレーが好きな人と思ってましたよ」


「バックパッカーしてた頃に知り合った縁のおかげで、何とか安く大量に品物が確保できた。これでいけると思っていたら、課長が難色を示してきた」


「僕は課長からチーフの動きを逐一報告するように言われてました」


「これは課長が敵対派閥にくみしていると私は思ったの」


「違うんですか」


 千秋はスマホの画像ファイルを開いた。それは、課長が群原のキジマと会っているものだった。


「課長と群春の奴らが! どういうことなんです」


「わからない。最初からか、それともどこか途中からかで課長は群春に情報を流している。だからたぶん、こちらより安値でやれたのよ」


「つまりこのままではコンペは負けるという事ですか」


「そしてそれを理由に、半分ゴリ押しで私達はリストラになるというシナリオよ」


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