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その2

「ジャンルというかシチュエーションも色々あるんだけど、オジサン×少女とBLが群を抜いているわね。そんなやり方をしているから商業化されてないの、だから知る人ぞ知る作家なの」


「知っている人はDEEPでCOREなのね。で、性別不明とかいいながらなんで彼女って言ったの」


「AAの作品は英語に訳されて世界にも発信されているの。で、ここからは信憑性の高い噂話なんだけど、とある石油産出国の超がたくさん付く大金持ちがAAの正体を知ろうとしてね、国家レベルの情報局を使って正体を突き止めたんだって」


世の中には暇なヤツがいるんだなと千秋は呆れた。


「それで大金を積んで自分専用の小説家にしようとしたけど断られたんだって。むしろ正体を知ろうとしたことを怒って、もう書かないって命を絶とうとしたらしいのよ」


「怖い話になるのそれ」


「ううん、その事を聞いた大金持ちは2度と手を出さないと約束して、御詫びに油田を1つあげたそうよ」


「怖い話じゃなくて胡散臭い話になったわね」


「まあその時の漏れた情報を拾い集めたところ、AAは日本に居るらしい、女性らしい、代理人は日本各地のネットカフェからアップしているらしい、その事だけは確からしいのよ」


「全部 らしい じゃないの、確かな情報は何も無いのね。それなら偽物とかなりすましとかいるんじゃないの」


「もちろんいるわ、だけど画像と文章のクオリティの差がやはり出るのよ、そういうのはすぐバレて正体を晒されるわ」


ケイもやったでしょ、と言いそうになったが口には出さない。それよりも気になる事があった。


「どうしたの千秋、さっきから画像ばかり見て。あんた鏡派なの」


「なにそれ」


「AA先生のファンは3つの派があってね、作品全体が好きな派と、自撮り画像ファンの鏡派と文章ファンの不思議派に別れているの。ちなみに私は鏡派寄りの全体派」


(自身がコスプレするから、ケイは画像に興味があるんだろうな。それにしても似ているな、いやしかし顔の大部分が隠れているから断言できないし)


「……噂が本当なら、AAという人物は油田持ちの大金持ちとなるから働きに来る訳ないわよねぇ」


後半は口に出てしまったので、蛍が聞き咎めた。


「なに、千秋、何か知ってるの」


「ううん、うちの一色がAAの新作を……」


蛍が千秋に飛びついて両手で襟を掴んで馬乗りになった。


「し、し、新作、AA先生の新作って、何、なんなの、その一色って人は誰っ」


「い、いっ、一色くんは今度アメリカに行くんで……」


「ダメよ千秋、その人をアメリカに行かせちゃダメ、あたしに紹介して、お願いお願いお願い、お願いよ千秋ー」


 首をガクガクさせながら、余計な事を口走ってしまったやはり今日は厄日なんだと、千秋は後悔した。

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