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鏡派? 不思議派?

 千秋がパーティーに着ていったすみれ色のドレスは、蛍手製の物である。


 1月から自分のジムに通う様になったのをいいことに、全身のサイズを計ってなおかつ蛍好みのスタイルになるメニューを組んでいたのだ。

 そして自分の好きな小説のキャラの衣装をアレンジしたドレスを、その頃から作りはじめパーティー前に貸したというかたちで着せることに成功している。

 ドレス姿はパーティー会場でも評判は上々だったが、そんな裏があるとは千秋は知らない。


 コスプレでふと思い出して、千秋は蛍に訊ねる。


「ねぇ、青木川アリスって知ってる? AAともいうらしいんだけど」


途端、蛍の目の色が変わった。


「なに、千秋、AAを知ってるの」


「そんなに詳しくは知らないけど、最近よく聞くんでね。やっぱり知ってるんだ」


「知ってるなんてものじゃないよ、彼女の作品全部持ってるもの」


蛍は立ち上がると、西側エリアに行き衣装が掛かっているハンガーの横にあるカラーボックスからファイルを持ってくる。


「ほらこれ、ウェブ小説をプリントアウトして綴じたやつ。彼女の作品は一定期間ネットで発表されると削除されるの。だからこうして保存しているのよ」


「コピペしてPCに保存してないの」


「もちろんしてあるわよ、鑑賞用と保存用と布教用に分けるの当然じゃない。これは布教用」


ルーズリーフに印刷され厚紙タイプのファイルにきちんとまるで1冊の本のように作られている。


 千秋はバラパラと目を通すと、すぐに真っ赤になった。芝原をら聞いていたからエッチな内容だと知っていたが、こんなにも濃いものだとは思わず不意打ちされてしまった。


「ね、すごいでしょ。あたしも何度使ったことか」


 生々しいこと言うな、と思いながらも目を離さない千秋であったが、何枚目かに挿し絵が飛び込んできた。


「これ絵じゃないわね、写真画像なの」


「それがAAの人気のひとつなの。おそらくなんだけど、本人の自撮ポートレートりでね。作品と場面にあわせてコスプレしてポーズしてるんだけど、それがまたエロいのよぉ」


「このコが作者なの」


千秋はまじまじと見る。


「正確には作者かもしれないだけどね。AAこと青木川アリスは年齢性別国籍不明、職業官能小説家、ただしウェブ限定。複数の投稿サイトに代理人エージェントを通して登録。代理人は複数の海外サーバーを通して本人から作品を受けとるとサイトにアップしているんだって」


「そりゃまた念のいったことで」


詰襟学生服で顔半分を隠しながら悩ましい姿ポーズをとる画像をじっと見る。



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