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その2

「なんとまあ……、結局、今どんな状況なの?」


蛍の質問に千秋は考えながらこたえる。


「う~んと、まずプレゼンに成功しないと本社の敵対視されている派閥のチカラでクビになるということ、そのプレゼンに上司がライバル社に情報をリークしているということ、それからライバル社が私を襲う計画をしているということ、そんな最中、横領の濡れ衣を着せられているということかな」


「波乱万丈ですな」


「他人事と思って言わないでよ」


「親友のピンチだというのは、ちゃんと解っているわよ」


 蛍は他人事の様に返事をするが、そういうときは頭はフル回転中なのを千秋は知っている。すでに千秋をサポートする計画を練っているのだろう。


「千秋はどんな着地点を目指しているの?」


「そりゃ、プレゼンを成功させて会社で確固たる地位につくことよ。ついでに不貞の輩達を成敗することかな。あとの事は、今後の仕事に差し支えなければ、どうでもいいわ」


「ふむ……、複雑そうだけど根は単純化出来るんじゃない」


「どういうこと?」


「襲撃計画をおおやけにすれば、自動的にコンペは不戦勝できるでしょ、それから横領の主を特定して、常務だっけ、その人に提出すればいいんじゃない」


「決めつけは危険だけど、まず間違いなく課長よね。課長は横領で失脚、空いたポストは、コンペで手柄をたてた私が入る、なるほど」


「出世街道まっしぐらですな」


「よしてよ、興味ないわ」


「出世に興味無いの?」


「私は、自分の実力を発揮出来るのなら、どんな仕事でも場所でもかまわないわ。でも今は、私に攻撃してくる奴らに見返したいし、せめて一矢報いたいの。その為には地位が必要だから出世したいだけよ」


凛とした千秋の物言いに、蛍はうっとりとした。


 高校時代のいつだったか、千秋のこの凛とした姿を見て、このコとは一生友達でいようと思ったのを思い出した。


「とにかく、どちらにしろハジメ案件じゃない? 連絡する?」


「ん~、たしかにそうなんだけど」


千秋がポケットからメモリーカードを取り出し、しげしげと見ながら言葉を続ける。


「ノブとケイの事があるからねぇ、ハジメにもあんた達にも迷惑かけたくないなぁ」


「それが例のメモリーカードね、ちょっと貸して」


「もちろんそのつもりで持ってきたけど、たぶんウイルス入っているから、気をつけてね」


わかっているわよ、という顔で、蛍は自分のPCに接続した。

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