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その2

 退職届けの内容は、療養のため長期休暇をとったため迷惑をかけた事、その為、監督不行き届きにより部下の不正行為を許した事、その責任をとるため退職するものだった。


 ここまでは聞き流したが、その後が咎めた。


 企画部長の後任として、現営業部長を推薦すると続いたのだ。


 さすがに竹ノ原は反対した。


 しかし、葉栗派以外の他の者はそれを受け入れる。社長派はもちろんだが、その方が余分な人事異動をしなくて簡単に済むという理由で、丹羽派と東常務は賛成した。


 竹ノ原は食い下がった、それでは護邸常務の責任はどうなる、経理部は2人も処分しているのに、企画部は1人では不公平だろうと。


 竹ノ原の言葉に、その通りだから必ず責を負わせると中島社長は言うと、次の議題に進めさせた。新設部門の設立である。


 企画3課のリストラ機能は、会社の必要悪として必要だと認識された。その役をその部門に担ってもらおうというのだ。

 正直、あまり印象の良くない部門である。各専務常務は誰にやらせるか躊躇した。そこに白羽の矢が立ったのが千秋である。


 今回の件で有能なのは分かったが、取扱注意の人物であるのも分かった。なので引き取り手が無くもて余していた。

 そこで、今回の手柄を理由に新設部門、新たなリストラ部門の責任者にどうかと推薦された。

 これには意外というか当然というか、満場一致で賛成となった。

 さらに企画3課の課員と資料課の課員もまとめてそこに入れられた。面倒が一度に解決したので、これ等も賛成された。


「それで調査資料部が新設され、その責任者に護邸が選ばれた訳か」


「は、他の部門に関係無く、リストラ部門のみの責任者です。言い換えれば護邸自身がリストラ対象扱いとも言えるのではないかと……」


妙な理屈を言う竹ノ原の言葉を聴きながら、葉栗は黙って考える。


「護邸に出世の道を無くした事で責任をとったと言いたいわけか。まあいいだろう、だが今回の件は社長が裏で糸を引いてた筈だ。その新設部門の監視を怠るなよ」


「は、では失礼します」


回線が切られる、何も映ってないモニターに竹ノ原は頭を下げ続けていた。


 東京では、葉栗が支社長室で考え事をしていた。


(ふん、リストラ部門か、うまく逃げたな。なるほど確かに営業や企画のように手柄を挙げれ無いだろう。しかし反面、失敗もしない。

総務や経理なら、手柄を挙げれないが失敗する可能性がある。まだそっちの方が足を引っ張りやすかった。

良くも悪くも手が出せない)


「タヌキ社長め」


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