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その3

「落ち着きたまえ、君の関わる領域ではない」


「しかし」


「社長派の早田専務、郷常務、北斗常務それに私で話し合った結果、少々力技を使う事にした」


「ちからわざ?」


「企画部そのものを廃止する」


「はいぃぃ!!」


「北斗常務が担当している営業部に企画1課と2課を併合した。降格する部署がなければ、降格できないだろ。ただそれでは竹ノ原専務はおさまらない、私にペナルティがなければいけない、なにせ向こうは課長と部長を処分しているからね。こちらもそれ相応の処分が必要だ。さいわい、というのは何だが企画部長が辞表を出したので、もう一声という感じになった」


「どうなさったんです」


「郷常務が担当している総務部に資料課というのがあるのを知っているかね」


「いえ」


「社史を編纂するのが目的の部署なんだが、まあなんというか窓際部署だな。そこには定年退職間近の方が2人居られるのだが、揃って早期退職を申し出ていたらしい」


「何かあったのですか」


「2人とも同じような理由だった。家族に介護が必要になったので、一緒にいる時間がほしいからだと。経歴を見せてもらったが、2人とも会社の為に、実にコツコツと働いてこられた方々だったので、郷くんが何とかしたいと思っていたそうだ」


「意外ですね」


「何がだい」


「あ、いえ、失礼ながら郷常務は女性にだけ優しいと思ってましたから」


思わず護邸は吹き出す。


「だてに総務部担当じゃないよ、彼の気配りは万人にだ。まあ女性にはそれ以上に優しいがな。それでだ、資料課に人がいないのも困るという状況を利用することにした」


「私達が資料課にということですか」


「そうだ、それで現在の資料課の2人、町屋さんと塩尻さんは、有休、半休を利用して定年まで在籍してもらう。一色君と塚本さんも今回のコンペでリストラ対象ではなくなったので、資料課に異動して残る」


「2人だけ? 私は違うのですか」


「今回の功績で窓際部署に異動ではいけないだろう。君には新設部署に行ってもらう」


護邸は口許を引き締めながら、重々しく言う。


「佐野千秋は新設する、調査資料部の部長になってもらう。担当常務は私だ」


部長。主任から係長、課長を跳ばして部長なんて大出世ではないか、千秋はさすがに驚いた。

だが、護邸がそのあとにやにやと悪戯っぽくにやけているのに気がついた。


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