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その2

「社長も考えたな。普通に考えれば私が降格して部長になるのが普通だ。しかし、そうなれば常務の席が空く。そこに葉栗派にしろ丹羽派にしろが入ればパワーバランスが崩れる、どうしたのもかと考えたたさ」


「他に社長派の方はいなかったのですか」


「おいおい、私を降格させたいのかね」


千秋は失言に気づき、あわてて謝罪した。どうやら自分は焦っているなと自覚する。


「知っているかもしれないが、企画3課というのは、いわゆるリストラ目的でつくられた課なんだ、サトウ課長の下で働くと皆辞めてしまうのでね。そのサトウ君が辞めてしまうと、3課の存在意義が無くなってしまう。もともと辞めさせる予定だった一色と塚本も辞めさせて、君をどこかに異動させ、私が部長に降格というのが竹ノ原専務の意見だ」


「今回のコンペは、一色と塚本のお陰で成功したんです。彼等を辞めさせるのは筋違いです」


「それなら、企画1課か2課に異動させせばいい。だが私を降格させるのは譲らないだろうね」


「常務は竹ノ原専務に、何か恨まれているんですか」


昨日の会議でも、竹ノ原専務は護邸にあたりが強かったのを思い出した。


「ばかばかしい話なんだが」


護邸は頭をかきながら言葉を続ける。


「うちは武家の、大名の家系なんだよ。その昔、護邸家には家老が6人いたんだけど、そのうちひとつが竹ノ原家なんだ」


「え、じゃあ主従関係の間柄なんですか」


「遥か昔の御先祖様の話だ。私にしたって今は外資系商社のサラリーマンなんだから。入社した時は気づかなかったし、専務の事を知った後も互いに笑い話程度で気にしてなかったんだよ」


「それじゃあ、なんで」


「私が出世して社内で存在を知られると、歴史好きのやつらが騒ぎはじめてね。護邸家と竹ノ原家の関係を社内で知られはじめたんだ。当人同士は無視していたんだが、言われ過ぎたんだろうな。専務が私を意識しはじめて、疎ましく思いはじめたらしい。それで私は保身の為に、社長派に入ったんだ。専務は葉栗派だったからね」


「常務は専務を嫌ってないんですか」


「あまり積極的にはな。ただやはり、あそこまで露骨にされると、それなりに疎ましくは思うな」


 つまり、護邸に面倒をみてもらう千秋は自動的に社長派に入ってしまっているらしい。それならなおさら護邸には常務でいてもらわないと困る。


「常務が降格されないには、どうすればいいんでしょうか」


自分に何か出来ないかと、千秋は頭をめぐらせる。

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