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企画3課消滅

「私が用意したテストはコンペだけだったんだが、思わぬアクシデントとして、横領の濡れ衣が追加された。しかし、それでも成功させたんだ、認めざるをえないだろう。だから覚悟を決めたよ」


 護邸もコーヒーを飲むと、空になったカップにサーバーの温かいコーヒーを淹れなおした。


「さて、面倒をみる事になったはいいんだが、今度はこちらの方で問題がおきた」


「問題?」


「企画3課は廃止することになった」


その言葉を聞いたとたん、千秋は思わず立ち上がった。


「どうしてです、私はちゃんと結果を出しました、何故そんなことに、あっ……」


思い当たる事があったので、立ったまま護邸の顔を見つめた。護邸も黙って頷く。


「そうなんだ、横領の件の始末のせいなんだよ」


護邸は千秋に座るようにうながすと、彼女のカップにもコーヒーを淹れなおした。


「重役会議で大々的にやってしまった以上、内々に始末することはできなくなってしまった。今回の責任は、経理部と企画部にある。当事者のサトウ課長とスズキくんは退職処分となったが、当然、管理職にも責任が及ぶ。エクセリオン日本では、2つ上の管理職まで責任がある事になっている」


スズキは一般社員、サトウは課長であり、尚且つ企画部長は長期治療休暇中で、護邸自身が代理兼任している最中なのだ。


「経理部は、1課長が降格異動、部長が降格処分となった。企画部は部長と常務の私が処分対象な上に、部長が不在だ。私一人に全責任がある」


「つまり……」


「私は常務を退く事になった」


千秋は愕然とした。せっかく出した結果なのに、すべてが無駄になってしまった。企画3課が無くなってしまったら、私は、私達はどうなる、一色との約束は、塚本は、それらを何とかできる筈の護邸が常務でなくなるなんて……。


「それが今日の午前中、君が私のところへ来てた時の話だ」


護邸はコーヒーを飲むと、言葉を続けた。


「昼休みに来客があった。休職中の企画部長が来たんだよ、今回の事をサトウくんから聞いた、責任をとって辞職するとな」


企画部長とサトウ課長は、同郷の先輩後輩の間柄であった。企画部長は自身の同情のせいで、企画部を混乱させた責任、さらに長期休職で迷惑かけた責任も取りたいと辞職する決心をした。


「本来なら、左遷か下手すれば退職処分だったのが、おかげで首の皮一枚助かった。だが何かしら責任をとらないと、葉栗副社長派に突かれるからな。だから中島社長らと相談したんだよ」

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