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その2

「ケンタッキー州のとあるバーガー店で、バックパッカーのアメリカ人青年と再会したんだね。

そしてしばらく滞在した後、就職活動を始めた。その事は聞いているんだが、理由は聞いていない、どうして急に就職する気になったんだい」


「ジョースター氏に聞いてないんですか」


「君は話していないだろう」


千秋は、ふうと溜め息をつく。


「家族から連絡がありました。そろそろ日本に帰って来てほしいって。震災がありましたでしょう、それがきっかけで心配になったらしいです。

それで友達に訊いたら、私の経歴と年齢では、日本で就職しづらいから、日本に支社のある外国の会社に就職した方がいいと」


「なるほど。それをハミルトン君に話したのか」


「[それなら僕の会社に来るといいよ]ってミルが、言いましてね。正直、何が僕の会社だよって思いましたよ」


「知らなかったのかい、ハミルトン君がアレキサンダー氏の孫だというのは」


「育ちの良さそうな感じはしてましたので、まあ、お坊っちゃん育ちだとは思いましたけど、アレクの孫とは思いませんでしたわ」


そう言った後に、千秋は慌てて口をおさえた。


「だから隠さなくていいよ、知っているから」


──失敗したと千秋は思った。酔と食事の満足感で気が緩んだせいだと自分に言い訳しながらも、頭を掻きながら、もういいかという顔になった。


「ええ、認めます。私とアレクはSTEADYの関係です。ですがこれだけは言っておきます、ミルとは身体の関係は一切ありませんから」


「では、そのあとの事を聞かせてくれないか」


「ミルがしつこく勧めるから、とりあえず面接を受けに行きました。そこで初めてエクセリオンだと知ったのです。面接は通り、エクセリオンで働くことになりました」


「ハミルトン君の縁故でかね」


「さあ、どうでしょう。ひょっとしたら私の知らないところでミルがやったかも知れませんが、私は実力で受かったと思ってます」


「まあそうだろうね、君の実力はすぐ認められて、あっという間に社長付き秘書の一員となったのだからね。そこでミスターに出会ったんだね」


「常務はアレクの事をミスターって呼んでいるんですか」


「ああ、昔そう呼んでいたからね」


「そういえば精力的で精悍なところは、常務に似ていますね」


「それは光栄だね」


「はじめは圧倒されました、世の中にはこんな凄い人物がいるのかと。うちが母子家庭のせいか、どうも私はファザコン気味らしいです。歳上好みなんですよ」


「歳上好みね、少々上過ぎないか」


「それを言わないでください、知り合った時は60半ばだったし、精悍な分、見た目は50台後半くらいだと思っていたんです」


それなら父親くらいか、なるほどファザコンだなと護邸は納得した。

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