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その3

「はあ」


「案内の者が来るから、それについていき、紹介された人物をもてなしてくれ」


「どういった方でしょうか」


「会えばわかる」


「もてなすというのは、どういった事をすれば良いのでしょうか」


「食事と会話をしてくればいい、それだけだ」



それだけとは言うが、夜にドレス姿で行くのだ。まさか夜の相手をしてこいと言っているのだろうかと、勘ぐってしまうのは千秋《女》としては当然だろう。


それを察したのか、護邸は言葉を続ける。


「詳しくは言えないが、安全なのは保証するから必ず行くように」


正直不安であったが、いくしかないようだ。千秋は、はいと答えた。

途端、背後がゾクッとして思わず千秋は振り返った。


殺気


しかし、そこには黙々と書類作業をする加納がいただけで、他にはなにもなかった。


「どうしたんだね」


「いえ。わかりました、夜にお伺いします。ところで常務、私からもお話がありますが、よろしいでしょうか」


「なにかね」


「サトウ課長から聞きましたが、企画3課は実際はリストラ部門だそうですね」


「まあな」


「今回のコンペが成功したのは、私だけでなく一色と塚本のサポートがあったからです、私達が一丸となって事にあたりました、それ故の結果です」


「つまりあの2人を処分するなという事かね」


「はい」


ふむ、と鼻をならすと護邸は少し考えている仕草をするが、とりあえず意見として聞いておくと言葉を続けると千秋に戻るように促した。


確約の言質をとれない千秋はなお食い下がろうとしたが、


「それなら今夜のもてなしを、ちゃんとやってからにしてくれ」


と言われて、しぶしぶ引き下がることにした。




「お帰りなさい、チーフ。留守中に電話がありましたよ」


一色からメモを受けとると、30分程前に森友の芝原からと記されていた。


「今夜、打ち合わせを兼ねて食事でもどうですかっですって」


「モテる女はつらいわね」


「なんです」


「こっちの話。先約があるのよ、どうしようか」


「それなら僕が行きましょうか」


「それもダメ。一色くんと塚本さんは、昼からは経理の応援にいくように常務から言われているの」


塚本がビクッとする。それを察して、


「大丈夫よ、塚本さんのライフスタイル崩さないように伝えてあるから。だから一色くん、君の役割は分かっているわね」


「経理の手伝いと塚本さんとの折衝ですね。それと……スズキさんの情報収集ですね」


「お願いね」


そう言うと千秋は自分の席に着き、森友の芝原に電話をかける。

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