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ティアの日常(5)…途中から使用人視点


君影草「ちょっと泊まり掛けで実家に帰宅していたのでなかなか書けません。四連休実家で引きこもりしてます。」



「あ!話が変わってきてるっすけど戻しますよ~♪」

「あ…はい。」


 おぉ、ナイスだよリオン。国王の話から次々気になることがあって平民の話になってたよ。冒険者の話はまた後で聞こーっと♪


「一般的に貴族も平民も教会の木に祈りを捧げ魔力で育てますが、国王のみ王宮にある木に祈りを捧げ魔力で育てます。この木になる実のみ王族の色を持つ子供が産まれます。」

「王族の色???」

「そうです。ダリア王国の王族は皆様が髪は金色で瞳は青色をしています。王宮で育つ実のみでしかこの2つの色をもつ子は産まれません。特に瞳の色は教会の実では産まれない色なのです。」

「国王以外の王族が教会の実で実育てて子供を産んでも瞳の色は絶対に受け継がないのですよ。」

「青…青にも色々な色があるよね?」

「青色系の瞳は濃くても薄くても王族の色ってわけではなく、青は王族のみ。あとは紺色や水色と違う色の瞳は貴族はいます。例え感情が高まった際に瞳の色が濃くなっても紺色は濃い紺色にしかなりません。同様に水色も濃い水色にしかなりません。更に王族は感情が高まると色は濃い青色になり更に瞳の中に光の輝きがあると旦那様から聞いたことがございます。」

「そうなんだね。王族の方は間違えようがないんだね!」

「はい。なので王族から貴族へなられた場合でも王族だった方は一目でわかります。」

「それは知らなかったっす!」

「やはり王族は特別なんですね。旦那様から聞いたのですか?」

「旦那様と今の国王であられる陛下とは幼なじみですので…教えていただいた事がございます。」


 リオン達が知らないってことは一般的な知識ではないんだね。マリーは…お父様からって感じだね。その後からも図鑑を見ながらこの世界の生物について色々と教えてもらった。


 ふぅ。ちょっと疲れてきちゃった…。


「お嬢様お疲れになられましたか?」

「うん…ちょっとね。」

「お嬢様。ホットミルクをお持ちいたしました。飲まれてからお部屋に向かいましょう。」

「ありがとう。」


 いつの間にかヘンリーが小さなマグカップにホットミルクを準備してくれていた。飲むと温かなミルクとハチミツの甘さが癒してくれる。喉も乾いていたし、この体は朝早くから起きるとお昼寝だけではなく朝寝も必要なのだ。もう…ちょっと眠たくなってきた…かな…。ホットミルクを飲み、ヘンリーにマグカップを預ける。


「お嬢様失礼します。」


 クロードは一声かけてからティアラローズを抱き上げた。もちろん縦抱きで寝かしつける為に背中をトントンしている。ティアラローズは返事をする元気もなく眠りに落ちていった。

 

 そして、ティアラローズは寝室に運ばれ…寝ている間に使用人達の手によってドレスから寝間着に着替えさせてもらった。


 ドレスを着替えさせられていても全く起きる気配なく爆睡するティアラローズであった。





ーーーーーーー《使用人達視点》ーーーーーーー




 ティアラローズを寝室に移動させてからの使用人達。ティアラローズは天使の寝顔で爆睡中である。見ながら脱いだドレスや寝室の窓にレースをかけて暗くはないが明るすぎない空間をつり、天蓋カーテンもおろす。少しでも寝やすいようにとされている。

 そして、ティアラローズの部屋には空調設定可能な魔道具が設置されている。この世界では魔道具は高級品から平民が買えるものまであるが、基本的にやはり魔道具は高い。特に空調設定可能な魔道具はかなり高いものである。が、ティアラローズの部屋には全て部屋に付いている。

 空調魔道具にも大きさがあり小さな物から大きな物まであり、日本でのエアコンやヒーターの様なものではあるが、大きさは小型化されたものから通常型のものまであり、小型化されたものの方が高価である。そして、ティアラローズの部屋には脱衣場用などの手のひらサイズの箱型から寝室などの貴族の部屋用の両手で持てて棚に置けるサイズの箱型まである。手をかざして少し魔力を流すことで起動する。


「お嬢様天使の寝顔っすね~♪起きていても天使っすけど寝ちゃうと更にヤバイっすよー。」

「性格も大人しくて更には愛らしく可愛らしいですよ。それに聡明で真面目です。」


 リオンはニコニコと話しながら頷いている。ヘンリーも優しい目でお嬢様の方を見ながら話している。


「ティアお嬢様に出会うまで女の子が小さいときはこんなに可愛いなんて知らなかったっす。成長すると…お嬢様も変わるんっすかねー。」

「今のまま成長して欲しいものです。」


 2人とも記憶にある女の子を思いだし遠い目をした後に悲しげに瞳を伏せながら肩をおとす。

 そんな2人を見ながらクロードは不思議そうに首を傾げる。


「僕はティアお嬢様しか小さな女の子を見たことがないのですが女の子はみんなティアお嬢様の様なのではないのですか?僕はティアお嬢様とエド様しか同じ年の子を知らないので…。」

「あー。クロードもまだ小さいからなー。今度下町でいいからセバスさんに連れていって貰うといいっすよ。男の子もエドワード様を基準にしてはダメっす。」

「エドワード様も大人しくて頭がよくて可愛らしいですからね。一般的な5歳にしては大人びてます。」


 クロードは使用人ではあるがフリージアの子供であり、セバスチャンと共に屋敷で仕事をしながら使用人として暮らしているため、まだアリウム家の屋敷の外に出たことがなかった。フリージアとリチャードの部屋の横にセバスチャンの部屋もあるが、セバスチャンは使用人達用の区画にある執事長の部屋を普段は使っている。クロードもセバスチャンと共にそちらで過ごしている。


「そうなんですね。父さんに聞いてみます。」

「その方がいいっす!クロードも真面目で大人しいっすから。」

「常識に偏りがでてこれから困るかもしれませんし、私からも兄に話しておきます。」

「マリーさんお願いします。」


 クロードはマリーに頭を下げお願いする。マリーはそんなクロードをみて優しい目をして頷く。マリーはセバスチャンの妹で、クロードにとっては叔母にあたる。そのため、マリーは普段は無表情だがクロードやティアラローズ、エドワードと接するときは表情が和らぐのであった。


「アリウム家にいる女性は使用人も皆しっかりしてるし我儘とかないから外でみたらびっくりするっすよ。」

「私は今まで女の子は我儘で、攻撃的なのが当たり前だと思っていたのでこちらで働くようになって逆にびっくりしましたよ。」

「俺もっす!ここの女性達は魅力的っすよ!!!楽園っす!!!!」

「そんなに違うのですか?」


 クロードはやはり不思議そうな顔である。リオンは力強く拳を握りながら力説する。ヘンリーも真剣な顔をしながらリオンと同じ気持ちで力強く頷く。


「リオン。お嬢様が寝てるので大きな声はやめなさい。」

「あ。すみません。」


 マリーの注意にリオンは慌てて口をつむぎ、頭を下げる。やっちまったって顔をしながら頬をかきながら声のトーンを落とす。


「クロード。いいっすか?一般的な女の子は平民ですら甘やかされて育つので傲慢で我儘っす。少し気にくわないと暴れるし、泣くし、モノを投げるっす。正直、可愛くはないっす!」

「そうですね。それでいて大人しく優しく見える女の子もいますが、それは外での顔ですね。あえて、周りと違うように振る舞いながら男性に媚を売り、ベタベタしてきます。あ、でも本当の性格はやっぱり普通の女の子と同じです。相手によって態度を変えて自分の魅せ方を知ってます。まぁ、それですらここで働く前は我儘な女の子よりは良くて可愛らしく思ってました。」


 リオンもヘンリーもお互いの話に力強く頷きながら話す。リオンやヘンリーはもう成人してるためにこの世界の女の子がどのようであるかを知っていた。


「平民ですらそうっす。如何に自分を養ってくれて色々買ってくれて利用できる相手であるか、見た目や性格のカッコいい男をものにするか凄いっす。平民でも女の子は働かないものもいるっすからね。女の子は少ないので働かなくても養ってくれる相手と結婚すればいいし、働くのもしたいことをして、男性がサポートをするのが普通っす。女性だけでなんてないっす。」

「平民では傲慢で我儘か、外面がよく媚を売り利用する。って、2パターンがほとんどです。たまに働きもので感じがよい女性はいますがほとんどいなくてやはりそんな女性はモテるのでもう相手が沢山いるんです。」

「そんで、貴族令嬢達はもっと凄いっすよ。権力もお金もあるっすから。マナーはちゃんと習うので綺麗ですが、外面がよくて中身は…ってのが更にやばいっす。気に入った男性は親に言えばなんとかなるって思ってるっす。まぁ、外面ですら良くないものはいますし、性格は平民よりもきついっすよ。まぁ、手入れがされていて見た目を飾られるっすから綺麗だったり可愛かったりするんっすけどね。」

「そうですね。平民より更に中身なんて分からなくなるぐらい小さいときから貴族令嬢としての皮を被ってますから見た目は本当綺麗です。使用人仲間から性格を聞いて夢が壊れたとかよくあります。」

「がっ!アリウム家にいる女性は性格よし、器量よしのものばかりっす!奥様なんて旦那様が惚れ込んで本当凄いっすから!更にあの厳しいセバスチャンさんが夫っす!お体が弱くなければ沢山の夫がいたはずっす!」

「そうですね。フリージア様に求婚される方は多く、貴族から大商人まで沢山の方がいましたがフリージア様の両親が全て蹴っていたと聞いています。有名な話ですね。」


 リオンの話にマリーが答える。ティアラローズの母フリージアが社交界に出たときは見た目からだけでも求婚者が多く、更に性格の情報を仕入れた貴族が増えて社交界の注目の的であった。しかも、体が弱く滅多に夜会にも出ないため更に希少性があがり凄かった。が、リチャードと恋に落ち結婚して更に夜会にでることが少なくなった。


「ここにいる女性は奥様をはじめ使用人も教育が行き届いてるもので、旦那様と兄さんが選別されて大丈夫だと判断されたもののみですので。」


 マリーは無表情で淡々と答えた。マリーもセバスチャン同様にアリウム家に仕えるものとして平民の女性でありながらも厳しく教育されていている。

 

「ですがティアお嬢様は特別です。小さい時からしっかりしてますし、2歳であるはずなのに理解能力も高く謙虚で優しく礼儀正しい。言葉も話せるようになってからはしっかり話されます。」

「確かに…男の子の小さい時しか知りませんが、普通はまだ単語で舌足らずですよね?」

「あー。確かに男の子でもまだめっちゃ泣くし我儘だし大変っすよね。まぁ、それが可愛かったりもする時期っすけど。」

「へぇー。」


 マリーの話にヘンリーは普通の2歳児がどのようであるかを考えながらも答える。ヘンリーもリオンも兄弟がいて下に弟がいたため詳しく知っている。クロードは話を理解し、納得しながらも想像が出来ずやはり首を傾げる。


「私もですが、旦那様も奥様も兄さんもティアラローズ様は転生者と呼ばれる方ではないかと考えています。まぁ、リオンやヘンリーも転生者と呼ばれる者がいることは知っているでしょうからそのうち分かることですので話しておきます。許可は出ていますしこれからのティアラローズ様に関わることですので。クロードもティアラローズの従者として長く仕えるのでしっかり理解しておくべきです。」


 マリーの話にクロードだけではなく、リオンもヘンリーも自然に姿勢を正す。皆ティアラローズのことが大好きなのだ。そのティアラローズに関わることであり、マリーの口調も声を真剣みを帯びている。


「ティアラローズ様は…転生者と呼ばれる者ではないかと私達は考えています。転生者は前世日本と呼ばれる世界で過ごされた方で、基本的な特徴は謙虚で真面目。まぁ、たまにそうではない方もいますが、その様な性格をしている方が多いです。日本と呼ばれる世界の知識がある為に幼いときから知能が高く聡明で、この世界では知らない知識を有しているためにその知識欲しさに狙われます。更に女性では性格も大人しい方が多いため求婚者が多くいます。お嬢様本人に確認したわけではありませんが、転生者であると仮定して私達が気を付ければ良いだけです。お嬢様には健やかにお育ちして頂きたいですので。」


 マリーの言葉に皆頷く。ティアラローズは転生者として伝わる話に該当すると思った上、ティアラローズが転生者であろうがなかろうが、ティアラローズに仕えることは変わらず、更にティアラローズが大好きなので守るのは当たり前と思ったからである。ティアラローズに害が有るものを近付けようなどと思うはずがなかった。


「ではお嬢様の性格は転生者だからなのですか?」


 クロードは話から理解が出来たがやはり気になった。幼いから気になったことは素直に確認するのである。間違って覚える方が危険だと判断したためでもある。


「そうですね…産まれた時はそうであったと思われます。まだ幼いですが転生者とされる方も育つに連れて我儘になる方もいらっしゃりますが、ティアラローズ様の場合は根本的な性格だとも思われます。転生者としての記憶もあるけどティアラローズ様として過ごし、今のお嬢様と成られてると考えるべきかと。後、転生者には産まれた時からではなく後天的に思い出すパターンもありますがその場合は性格ががらりと変わってしまうのが特徴的と言われています。」

「まぁ、転生者ってごく僅かっすよ!それに男女問わず転生者は平民が多くて大体は冒険者として生活したり、商人として生きる方が多いって聞くっす!」

「後、ハッキリと覚えてる訳ではなく何となく記憶があり、そこでの常識や学んだことを知識としては覚えているためこの世界に馴染めない方も居るとか…」

「では、これからお嬢様はその記憶で悩み苦しむこともあると!?」


 クロードは驚愕の顔で固まる。リオンもヘンリーもティアラローズが悩み苦しむ可能性があると分かり悲しげな顔をする。


「ですので、私達が少しでも健やかに過ごされるようにサポートするのが仕事でもあります。」

「「「わかりました!」」」

「ティアお嬢様はそれだけでなく、更に見た目も愛らしく美しく成長されるでしょう。性格もお優しくありながらも礼儀正しく真面目で謙虚。ですが、見ている限り体は一般的な2歳児と同様に弱く幼いですのですぐに疲れてしまわれます。ですので、ティアお嬢様を尊重しながらもサポートするのが私達です。こちらの常識も教えながらティアお嬢様らしく在られるように。難しい言葉も理解されますし、分からなければちゃんと聞ける素直さもあります。更に前世の知識を持つと言うことは狙われる危険が更にあがります。きっと…フリージア様以上に狙われるようになるかと。ですので、クロードは従者として執事としての技量だけでなく、護衛としての力も付けなくてはいけません。リオンもヘンリーも執事としてではなく、これからもティアラお嬢様の側にいるのなら護衛としての力もこれからは必要になるでしょう。」

「「「はい!頑張ります!」」」

「まぁ、お嬢様から離れるのなら早めに言ってください。お嬢様付きはなりたい者が其れでなくても多く競争率が高く志望者は結構いますので。今のままではこれからは難しくなりますよ。」


 実はエドワード付きもエドワードの見た目の可愛さと性格も貴族特有の傲慢さもなく、真面目で優しいためなりたいものが多かった。ティアラローズは女の子であり、産まれた時から見た目は愛らしく可愛らしいため、ティアラローズ付きになりたいものは更に多くてリオンとヘンリーは若いながらにも向上心があり、執事としての技量も高かったためティアラローズ付きとなった。マリーはその使用人たちの教育係としてもティアラローズの側にいる。リオンもティアラローズの側以外で仕えてる方達の前では口調もちゃんとしている。

 で、2歳に成長したティアラローズの愛らしさから産まれた時以上で、性格もよく可愛らしいためアリウム家では天使とされているほとである。そのため志望者が多いのであった。


「まじっすか?!…お嬢様付き外れるとかありえないっす!これまで以上に頑張ります!!!」

「そうですね。誰にも譲る気はありませんね。」

「僕も今まで以上にがんばります!!!」


 そうして今まで以上に鍛練も頑張るようにリオンもヘンリーもなるのであった。クロードも執事としても護衛としてもティアラローズの従者として相応しくなるために頑張るのであった。

 もともとアリウム家では執事も最低限の護身術はあり護衛の技術があるもののみしか使用人として働けない。護衛としてつけられるものの基準も一般的な貴族よりも高めとされており、今はティアラローズ付きの護衛はいないがそれを目指して頑張っているものも既に多くいる。みんなティアラローズが大好きなのであった。


「では僕は父さんの所に行ってきます!」


 クロードはティアラローズが寝ているときは父であるセバスチャンの元に行き、従者としての勉強をしている。いつも以上に気合いをいれて寝室を後にするのであった。

 





 クロードはティアラローズの前では私といいますが、普段は僕といっています。リオンも仕事中は私というが、ティアラローズといるときや普段は俺といいます。ヘンリーは普段も仕事中も私といいます。


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― 新着の感想 ―
[気になる点] 王族の色を説明してるところで、瞳の色の話はあるが髪の色の話がなく、「この2つの色をもつ子」の文に繋がらないかと思いました。 確認していただければいいと思います。 これからも頑張って下さ…
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