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規格外な存在に…そしてヒロインは…



君影草「この話は一妻多夫の世界であり、性に放任な国である為にそれに関する会話があります。苦手な方は飛ばしてください。」



 セシルがアリウム家に滞在する様になった翌日。リチャードは国王の執務室にて報告していた。部屋には国王ウィリアム、宰相ゼノール、リチャードがいる。すでにリチャードによりセシルとの出会いから契約、そしてアリウム家に住むことになったことまで説明したとこである。ただ、リチャード自身まだセシルと詳しく話したわけでないため、とりあえず現状わかる範囲での報告である。実は愛娘が妖精の愛し子であり更には妖精と暮らすことに衝撃を受けすぎたリチャード達は詳しく話を聞く余裕はなく、とりあえずティアラローズを主として扱っていた為に危険はないと判断した為とりあえず詳しく聞かなかったのだ。いきなり妖精に対しての主であるティアラローズから離れて話を聞く時間を頂く勇気もなかったが、セシル自体が弱っておりティアラローズから離れられないために放置したわけでもある。


「「「………。」」」


 そして、リチャードが話し初めてからウィリアムは頭を抱え、ゼノールは唖然とし、リチャードは改めて話したことにより愛娘の規格外さに現実が受け止めきれず遠い目をしており、長い沈黙が執務室に流れていた。実は朝はまだ現実逃避をしており、「あぁ、夢じゃなかったんだな。」と思いながらも同様を見せないように何とか対応し、更にはセシルの可愛らしさ「あれ?まだ夢の中だったのか?」なんておもっていたが一気に現実だったとやっと理解したのである。


「あ~…夢ではなかった…んですね。まぁ、話した通り危険性は今のところないです。それに、話した通りセシル様自身弱っているらしいので、今はティアのそばにいることで魔力を回復しているみたいです。」


 なんとか立ち直ったリチャードは言葉を紡ぐ。


「なぁ、ティアは規格外過ぎないか?」

「そうですね。幸い、婚約者候補でありますが王族と婚約関係にあったのは良かったですね。なにかあれば王家としても守れますし。私も守ることができますしね。とりあえず、事前に政略結婚出来ないように5人まで決めておいて良かったですねー。」


 いまだ頭を抱えているウィリアムだが、ゼノールはすぐに切り替え頭を働かせる。とりあえず、無理やり政略結婚をすることは出来ないのでその方法での危険性は減った。無理やりティアラローズに手を出せばティアラローズの実家だけではなく実質、王家に公爵家2つ、侯爵家に伯爵家を敵に回すことになる。今のところティアラローズとの関係も良い為に無理やり手を出す輩は少ないだろう。だが、妖精の愛し子となれば話は変わるかもしれないが、既に妖精がティアラローズと契約しており、更に主として守っているのならばセシルが魔力を取り戻せばかなり強い防御になるだろう。ただ、それを理解せずに狙ってくる馬鹿はいるかもしれない。ついでに学園ではヒロインという危険性もある。


「はい。今のところアルフレッド殿下もティアの話のようなグズ…いぇ、不真面目ではありませんし、私としてもこのまま良い方に成長して学園を卒業するのであれば愛娘の相手としてティアに進めれます。妖精の愛し子となれば、最悪リリア様の話のように夫婦関係はなくてもパートナーとしての婚約に…結婚もありかと。」


 最後はティアラローズが王宮で暮らす未来を考え少し悲痛な声色を漏らす。アルフレッドと結婚しなければティアラローズは公爵家でずっと一緒に暮らせるが妖精の愛し子となれば他国からも婚姻の話が出るかもしれない。そうなれば学園卒業後、王家との婚約者候補を解消するよりはそのまま婚約者し、結婚した方が他国にいく可能性はまずなくなる。他国の王家、更には王太子からの婚約の話がくればアリウム家の婚姻だけでは守ることが難しいのだ。だが、アルフレッド殿下と結婚すればティアラローズは王妃になるために他国の王族に嫁ぐことはない。


「まぁ、現状候補ではあるがなんとかなるよな!」


 ウィリアムは考えることを諦め、とりあえず悪い方に進んだわけではない。とりあえず、息子には頑張って貰うしかない!っと切り替えたのであった。ポンコツ国王は基本あまり悩まない。今のところ言いように進んでいることもありポジティブ思考である。こんなんだからポンコツと言われるのでもある。


「「…。」」


 相変わらずの国王に2人は冷たい視線を向ける。補佐する立場から考えれば頭がいたい。


「リチャード。私達がしっかりするしかありません。いつものことですよ。」

「そうだな。」

「現状確かに良い方向に進んでますし、妖精様には魔力回復につとめてもらいましょう。できれば、早めに妖精様と話をしてみてください。我々には妖精に関する知識だけでなく、妖精の愛し子に対しての知識も少ないです。」

「わかりました。セシル様に聞いてみましょう。」


 結果、ウィリアムを放置して今後の対策について話を進めていった。

 とりあえず、早めにセシル様と話す機会をもつこと。セシル様が回復されるまでは危険があるために屋敷内以外では姿を消すこと。時期をみてティアラローズが妖精の愛し子であることを公表するまでは箝口令を敷くこととなった。アリウム家に婚約者候補が来た場合にのみ話すのは良いが手紙などでも情報が漏れないように気を付けるようにとなった。


「話は纏まったのか?」


 呑気なウィリアムの声にゼノールとリチャードは深いため息をつき頷く。


「では、ヒロインだと思われる者について話をしよう。」


 ガラリと雰囲気が変わり、ウィリアムは国王として威厳がある顔になる。基本ポンコツではあるがやはり王。真面目にする時はきちんと風格を持ち合わせている。その姿にゼノールもリチャードも先程までとは違い改めて姿勢を正した。


「そちらについては私が情報を纏めさせていただきました。」

「うむ。」


 実はティアラローズからヒロインの話を聞いたあとから調査を行い、監視を行うことにしたのだ。ヒロインであるカンナ・クローバーがいる男爵家にはウィリアムからの指示のもと使用人として紛れ込ませた者や領地にも数人監視を置いている。


「ヒロインとされるカンナ・クローバーですが、ティアラローズ嬢の話の通り、平民の母親から産まれてすぐに男爵家に引き取られております。母親にはそれ以来全く会っていないです。産まれてすぐに娘と判明してからは母親から金銭と交換のように引き取る形になっています。母親には借金があり、もともと子供を金銭と交換で引き取り次第離婚する契約での結婚であり、娘だった事から予定よりかなりの金額で引き渡せたため借金は返済され今は男爵領にて平民の夫達と共に暮らしておられます。まぁ、そちらに関しては害はなさそうですね。」


 この世界では貴族が子供を産ませるために平民の女性と結婚するのは珍しくない。離婚までするケースも珍しくないのだ。平民の女性で子を沢山産めておる女性はこのような契約を持ちかけられそのまま相性が良く数人産み、その間に愛情が芽生えればそのまま離婚せずにいる場合もあるが、だらだらと結婚していると領地の必要な金まで手をつける女性もいるために契約して引き取る形での離婚は多々あるのだ。


「クローバー男爵家にはクローバー男爵に嫡男、そして長女のカンナ・クローバーがおり、再婚はされておりません。領地から王都まで遠いこともあり御披露目パーティーには不参加です。七歳の時に王都にでてくる途中魔物の襲撃がありパーティーに参加できずそのまま1度もこちらには来ておりませんね。」


 クローバー家は元々は平民の商人であり功績を称え、男爵の地位を2代前に賜ったのである。その為、下級貴族の中では金銭的にも裕福な分類に入る。王都にくる途中に魔物の襲撃により、クローバー男爵が怪我をして領地にも引き返したのである。もちろん、護衛もいたが護衛も怪我をして、それを目の辺りにした令嬢はそれ以来王都に行くことを拒んでいるのである。女の子を大切にしなくてはならないこともあり七歳以降無理には参加しなくてもよいとされているため御披露目パーティーに参加してなくても問題はないのである。


「七歳までは明るく活発で優しかった令嬢でしたが、その魔物の襲撃以降ガラリと性格が変わられました。どうやら、転生者でありその時に前世の記憶を取り戻したみたいです。魔力を使うようになってからはどうやら闇魔法の使い手で、魅了魔法を使い、父親や兄…そして、使用人にも使っておられます。こちらの手の者はすぐに教会に行き解除しており、すぐに屋敷内の使用人としてはやめさせ、デルフィニウムの影を付けました。もちろん、魅了魔法を防ぐ結界を使えるものを。」


 ゼノールは転生者としての記憶を取り戻してからのカンナ・クローバーの動向を詳しく説明していった。


 記憶を取り戻したカンナ・クローバーはマナーや教養は父親に魅了魔法を使うまでしか受けておらず、魅了魔法を使い贅沢な暮らしをするようになり、基本容姿を磨くことに力を入れている。後は魔術については初めのみ習い、魅了魔法を使えるようになってからはそれすらもやめた。そして、兄を含めた使用人達との性行為に溺れる日々。既に処女ではない。だが、自分はヒロインで王妃になると屋敷では話している。もちろん、攻略対象全てを虜にするつもりである。


「報告では「私ヒロインじゃん!ふふふ。ゲームクリア済み、小説も知ってるし、一妻多夫な世界なんでしょ?これは逆ハーレムルート目指すしかないよね!」っと叫んでいたと。魅了魔法の影響は今のところ男爵の仕事には支障はありません。ただ、年々娘に使うお金が増えておりますが、まだ領地に関しては大丈夫です。魅了魔法は今のところ前回よりは軽く廃人になるほどではありません。ただ、爛れた生活ではありますね。あ、嫡男とは婚姻関係ですよ。」

「逆ハーレムとはリリアから聞いたが複数の男性と関係を持つことらしいが…まぁ、この国では普通だな。性に関しても放任ではあるが…婚姻関係以外とまでは平民でもあまりないのだろ?」

「そうですね。まず、貴族令嬢ではありませんね。婚約者とのみありますが、王族を狙うのなら処女は必須ですし、ヒロインに関しては魅了魔法を使いはじめてからすぐ処女ではなくなりましたね。ですが、王妃になると豪語しております。」


 どうやら今回のヒロインはかなりの常識知らずで世間知らずであるみたいだ。きちんと教育を受けていれば王家へ嫁ぐ条件も貴族令嬢であれば皆知ることではあるし、第2王子が産まれたことは今ではこの国の平民ですら知っている事だ。その為、ティアラローズからの話であった処女でなくても王妃になれた条件はまずあり得ない。もし、話であったようにアルフレッドがカンナ・クローバーと結婚するのであれば臣下に下ることになる。もう、王族にはスペアとなる第2王子がいるからだ。正式な国王になるものと結婚するのであれば側室であろうとも処女は必須なのだ。そうでなければ王家の木で育つ実を食べ子を宿すことが出来ないのである。王族であろうとも教会の木では王家の魔力を持つ子は産まれない。カンナ・クローバーは既に王妃だけではなく、側室になる条件すら満たさないのである。


「頭がいたいな…」


 ウィリアムは眉間を揉みながら深いため息をついた。


「なぁ、もう学園に入れなければ良いのではないか?」

「それば難しいですね。平民であれどもお金を払い試験に合格すれば入学できます。貴族であれば成績関係なくお金さえ払えば入れますのでクローバー家が払えないことはないでしょう。もちろん、必ず学園に通わなくては行けないわけではありませんが、貴族であれば学園を卒業することは一つのステータスです。入らないことはないでしょう。ですが…」

「なんだ?」

「クローバー家の嫡男は学園に入学されておりません。」

「「は?」」


 ゼノールの発言にウィリアムだけではなく、リチャードまでもが驚きを隠せなかった。


「現在15才でありますが、嫡男でありながらも学園に入学していないのです。魅了魔法の影響からか令嬢と離れることを拒み、父親である男爵もあっさりと学園に行かないことを許したのであります。」

「影響は出ておるではないか!?嫡男であろう?!」

「ですから、領地には影響はありません。屋敷内のみでの影響ですので…男爵家を継ぐことは難しいでしょうね。病気などで入学が遅れたとしても1.2年であれば通えますがもう嫡男の方は通えないでしょう。結果的に男爵家を継ぐことはないですね。もはやあれは嫡男ではなく長男ですかね~。」

「その環境に自らして王妃になるなんて…ありえないだろ…。」


 にこやかに笑いながら話すゼノールだが、目は全く笑っていなかった。ウィリアムは既に素に戻っている。貴族の当主になるのであれば学園を卒業するのは当たり前なことである。嫡男であった男は既15才。12才の中にいまから通うことはないだろう。いや、もし通うとしても来年では16才。本来であれば最終学年であるはずの年齢だ。貴族としてのプライドからもはや学園に通うことはないであろう。と、なるとだ。男爵家には嫡男…いや、もはやただの長男だな。長男と長女のカンナ・クローバーしか子供がいない。であれば、カンナ・クローバーが学園に入学し、無事卒業すれば、カンナ・クローバーと結婚して婿入りしたものが当主になる。ただし、その者も学園は卒業済みの貴族でなくてはならない。


 ティアラローズという転生者の影響だけではなく、カンナ・クローバーも転生者としての影響から既に乙女ゲームとは違うことが起きていた。


 今回のヒロイン…転生ヒロインの魅了魔法は前回のヒロインの魅了魔法をよりは軽かったが廃人にならないレベルであったが十分屋敷内のみだが影響はある。

 転生ヒロインの存在に3人は内心頭を抱えるのであった。


 表だって事件が起きているわけではない為にこちらから手を出すことは出来ない。とりあえず今まで通り監視を続けることにして、学園に入学する時には皆に魅了魔法にかかるとわかる魔道具を身に付けさせ、親たちにも子供になにかあれば教会に連れていくように指示を出すしかない。第一王子の試練は学園中に起きることは貴族であれば知っていて当たり前なことであり、前回のウィリアムの時のヒロインによる被害から学園内での強化に対策も出来る限りしてきている。今回は攻略対象も分かっており、身近な者達だ。攻略対象とその両親にも情報を共有することにした。ただし、ヒロインが誰であるかの情報は漏らさないように指示も出す。もちろん、ティアラローズには秘密である。ティアラローズは乙女ゲームの小説の世界であると理解はしたが不安がないわけでない。ティアラローズ大好きな大人達は少しでも不安を減らしたかった。せめて、学園に入るまではヒロインを忘れて健やかに育ってほしいのだ。むしろ、純粋で可愛い天使のようなティアラローズにあの様な転生者がヒロインだと教えたくない気持ちもある。ティアラローズが穢れるっ!っと内心怒りにまで燃えていた。リリアとティアラローズと同じ転生者と考えることすら拒否したい気持ちでもあった。


 ついでに、後日報告を受けたリリアははじめは転生ヒロインの生活にドン引きし真っ青になっていたが、すでに魅了魔法の被害者(主に長男)達がいることに怒っていた。ついでに、キースとロベルトも同様にリリア程ではないがドン引きしたのち被害者達の存在に頭を抱えたのであった。




 実は乙女ゲームではクローバー男爵家の嫡男はきちんと学園に通い、卒業後にカンナ・クローバーが入学してきてるのである。転生者であるカンナ・クローバーが魅了魔法を使ったことにより妹から離れたくない為に学園に通わなくなったのであった。その事により当主としては認められない為に必然的にカンナ・クローバーと結婚する学園を卒業済みの貴族が当主となることになる。その事に不勉強な転生ヒロインは気がついていません。

 転生ヒロインからすればこの世界は現実ではなく、あくまで乙女ゲームの世界であり、転生者である自分がイレギュラーな存在であり自分のせいでシナリオが変わるとは思っていません。学園入学までの暇な日々を豪遊して過ごしております。とりあえず、ゲームや小説でヒロインが学園に入るまで王都に行ったことがない為に記憶が戻ってからは領地からでないようにしています。

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