妖精の食事は魔力
君影草「短めです。」
クロードがノックをして扉を開くとそこには既にお父様とお母様がいた。
「おはようございます。お父様。お母様。」
「「おはよう。ティア。セシル様。」」
『…おはよう。』
ティアラローズが笑顔で挨拶をすれば、二人ともにこやかに笑みを浮かべて挨拶をする。ティアラローズが席につき、セシルは少し恥ずかしげに視線をそらしながらもティアラローズの肩に止まる。
皆が座れば料理が並べられて…ティアラローズの横にはクロードが少し小さめなお皿を置いた。お皿の上には小さめに切られた料理が並べられている。
「あ!セシルの?」
「はい。ですが…そのフォークなども小さいのを探しましたがこちらまでのサイズしか…。」
クロードが申し訳無さげに差し出したのはケーキ用のフォークとスプーンだった。セシルは差し出されたフォークとスプーンとお皿はキョロキョロとみて首を傾げた。
『…僕の食事?』
「はい。お会いした時にお嬢様からの軽食を食べられていましたので…」
「妖精の食事は人と同じものなのですの?」
セシルとクロードのやり取りをみたフリージアが驚いた様子で話しかけ、リチャードもセシルの様子をうかがっている。
実は、リチャードは事前にクロードから話を聞いてセシルの食事を用意するように指示を出していた。
『妖精の食事は魔力だよ。でも、人と同じように食べることもできるの。ただ、人の様に食事ってよりは嗜好品になるかな。』
「まぁ!」
「ほう!妖精は魔力を…食べるの…ですか??」
フリージアは目をキラキラさせながら驚き、リチャードも驚き声を出したが…すぐに眉間のシワを寄せる。
「ねぇ、魔力って美味しいの?」
きょとんとした顔で首を傾げるティアラローズ。一辺に質問責めに合ったセシルはキョロキョロとした後にとりあえずクロードからフォークを受け取った。
『え~…と、ありがとう。サイズは主と同じで大丈夫だよ。魔法で変えれるから。机だけどおりていいかな?』
「はい。」
セシルはフォークを小さめにサイズを変え、リチャードに視線を向け、許可を得てふわりと机に降りた。ついでに、スプーンはセシルの皿の近くに置かれた。
『魔力は美味しいってよりは満たされる感じかな。味としてはこんな食材のが美味しいけど料理には魔力が少ないからね。お腹はあまり満たされない。妖精にとっては味を楽しむ感じだね。あと、リチャード、肩苦しいのはなしだよ。君たちは主の親だからね。』
「ありがとうございます。では、食事ではお腹がふくれないってことか。」
『そ。だから嗜好品。』
小さくなったフォークを野菜にさし、モグモグと食べる姿は可愛い。ついでに小さく切られた野菜でもまだセシルには大きいから一口では入らない。
空中に座るようにしてふわふわと浮いたまま食事を始めたセシルの姿は10センチとのサイズもありとっても可愛らしい。フォークも小さくなってはいるがセシルのサイズにしては大きいのにあの小さな手で軽々と持ち上げてる姿には疑問だがそれはそれで可愛かった。
ついでにサイズが変えれることを知ったクロードから普通のサイズのティーカップに紅茶を入れて置かれたがこちらも魔法により小さくなった。が、セシルのサイズにしては大きめでカップは魔力で浮かして両手で持ちながらコクコク飲んでいる。手から離れたスプーンやフォークは周りに浮かんだままになっている。
「魔力…魔力か~。ねぇ、セシル。料理に魔力込めたらお腹膨れるかな?」
『え?』
「「ティア?!」」
ティアラローズは考えるように呟き、セシルの料理に向かって手を掲げ魔力を流してみる。リチャードやフリージアの驚きの声に反応することなく素早く行動に移したティアラローズによりキラキラとした魔力が料理に降りかかった。
「食べてみて?」
『え?あっ、うん。…っ!!!!』
それをポカーンとした表情で皆驚いて見ていたがセシルは主からの指示に素早く反応してパクリと口に運んだ…瞬間、目をキラキラさせながらコクコクと頷く。口は必死にモグモグと噛んでおり、美味しいっとのが凄く伝わる。
はぅ!セシル可愛いわ!!!
「美味しかったみたいで良かった♪」
『ティアの魔力!凄いっ!普通に近くにいて魔力貰うだけでもかなり満たされるのにコレすると一気にいっぱいっ!味もね!美味しいが更にいっぱいなの!!!』
興奮しながら話すセシルの可愛らしい姿に食堂にいる皆が微笑ましく見る。
「ふふふ。じゃぁ、次からは食事に魔力を先に入れよっか♪」
『やった!ありがとうっ!!!…え?次???』
にこにこしながら話しかければ嬉しそうに喜んでいたセシルはぴたりと動きが止まり唖然とした表情でティアラローズに聞く。
「うん。セシルは私と家族になったんだもん♪これからも一緒にご飯たべよ?セシルは私と一緒に毎日ご飯ね♪」
『ごはん?…毎日?…主と?…一緒?』
「うん。」
『っ!!!…いいの?』
「もちろん。ね?お父様?お母様?」
「そうだね。」
「もちろんですわ。セシル様と…妖精と毎日食事が出来るなんて素晴らしいわ♪」
『っ!!!皆がそんなに僕とご飯を一緒に食べたいなら食べてあげてもいいよっ!料理自体も美味しいからね!別に僕が一緒にご飯が食べたいからじゃないからね!主に言われたからだもん!だから仕方ないから…仕方ないから…一緒に食べてあげてもいいよ。リチャードもフリージアも主も僕とそんなに一緒に食べたいの?』
ティアラローズから言われ、更にはリチャードやフリージアも了承すればセシルは顔を真っ赤にして早口に喋るが最後はボソボソと喋りながらティアラローズやリチャード、フリージアをチラチラと見ている。
早口に話したセシルはツンツンした言葉使いだったが、最後には自信無さげだし、更には10センチのサイズ感に3頭身の可愛らしい姿ではどんなにツンツンした言葉を使っても可愛らしくしか見えない。更に最後の自信が無さげな妖精の姿にはキュンキュンくる。
もちろんティアラローズだけではなく皆から見てもセシルは可愛かった。
「セシルと一緒に食べたら更に美味しいわ♪ね?お父様!お母様!」
「あぁ、家族は一緒に食事するものだ。」
「そうですわ。セシル様はもうアリウム家の家族ですから。」
『っ!!!わかった。じゃぁ…毎日食べるよ。』
「うん♪セシルも同じ食べるなら魔力も美味しいほうがいいよね♪」
『…まぁね。』
真っ赤な顔を隠すようにして俯きながら黙々と食べ始めたセシルは顔は隠せているが耳まで真っ赤に染まっていた。そんな姿を皆微笑ましく眺めながら食事をしたのであった。
再び口に入れたご飯が魔力を注がれた一口目より更に美味しく感じたセシルだったのであった。
セシルさん、ツンデレ予定だったが既にティアラローズに対してはデレモードだからツンが…難しい(笑)可愛いからいっか。




