はぐれ妖精…セシル視点
君影草「ぬぉーーーっ!!!やっと調子が良くなり出したのに昨日から微熱が出た。何故だ?その為、昨日は完全に寝落ちしました。すみません。」
僕はセシル。今日僕は僕の名前をはじめて知った。僕の主であるティアラローズ・アリウムという少女と出会うことができたから。
妖精は魔力塊から自然界に産まれる。人のように親なんていない。名前は産まれるときに持って産まれるが契約しない限りは自分の名前はわからない。妖精は単一属性で産まれるため属性で呼び合う。火の属性なら「火の子」又は「火の妖精」と呼び合う。特に名前は無くても不便ではないみたいだ。
僕はそんな中産まれた時から四属性持ちで、ハッキリとした色を持っていなかった。髪は色すらない白。瞳は色々な色が混ざった変な色。妖精達からははじめは不思議がられたがいつしか「はぐれ妖精」や「異端」と呼ばれるようになった。100年ぐらいたつ頃にはなんとなく避けられる様になり仲間にいれて貰えなくなった。まぁ、皆基本同じ属性達と過ごす為に僕は元々仲間にはいれて貰えてなかったが正しいのかもしれない。
そう思うようになってからは避けられるのが怖くて話しかけるのをやめた。
数百年たっても僕の環境は全く変わらなかった。只ここに存在してるだけ。妖精は食べなくても周りに魔力が沢山ある森などにいれば消えることはない。食べることは出来るが嗜好品になるかな。なくても困らない。
ボーッと過ごす日々の中ある妖精達の噂を耳にした。
『妖精の愛し子が産まれた。』
話の内容をこっそり聞けば、どうやら精霊王が妖精の愛し子が産まれたことを女神から聞いたらしい。しかも、新しく産まれた愛し子は『妖精の愛し子』なだけでなく、『精霊の愛し子』でもあるらしい。更にその魂が清らかな事から女神も気に入っているとのこと。この世界の女神は他の世界で亡くなった魂をこちらに転生させる。この世界の女神はお人好しで若くに事故などで亡くなった魂をこちらに連れてくるが一応転生するかの確認はしてあり、望んだ魂のみこちらに産まれ直す。ただ、女神との記憶のみは消える。記憶は生きていた時間のみしか持てないからだ。死後の記憶は肉体の負担になるからである。
僕ら妖精も産まれた時から知識があるようににたような感じなのかな?
その噂を聞いてから数年…初めはなんとなく気になり地道に情報を集めれば妖精の愛し子の居場所を知ることが出来た。その頃には妖精の愛し子に会いたくて堪らなかった。
『妖精の愛し子なら僕を受け入れてくれるかも』
『妖精の愛し子なら妖精達とは違い異端でも気にしないかも』
そんな思いは妖精の愛し子がいる待ちの近くに着く頃には
『妖精の愛し子なら僕の愛してくれるかも』
そんな希望を…数百年も只存在していただけの僕は抱いてしまった。でも、妖精は契約しない限り街には入れない。人間は魔力を使うから人間が住む地域は自然にある魔力は薄くなる。それは魔力の塊である妖精には厳しい環境なのだ。運が悪ければ魔術を使う人間に妖精として存在するだけの魔力すら奪われて消える妖精もいる。妖精が使う魔法とは違い、人が使う魔術は体内の魔力を媒介に自然の魔力を沢山使い魔術を発動させる。体内の魔力だけでは魔力を使うのが下手な人は魔法の様な力を使えない。ただ、稀に転生した魂であれば体内の魔力のみだけでも上手く使い魔術ではなく魔法を使うことができる。
まぁ、そんな理由から比較的安全で魔力がある街の近場の森で妖精の愛し子が来るのを待った。もちろん、人が沢山くる場所で待ったよ。
ただ2、3年たったあたりからは只待つだけでは会えないことに気が付いた。
森にくるのは冒険者や巡回騎士や傭兵、商人だったりで…子供がこない。いや、来るけど平民と呼ばれる人の子ばかりで貴族と呼ばれる子供は騎士見習い位で、あとは領地にかえる貴族位だった。
ってことは、妖精の愛し子は街から出ない貴族の女の子の可能性が高
。妖精には性別はないが人には性別があって貴族の女の子はあまり見かけなかった。平民の女の子達は暑い時にはこの湖に涼みに一度はくるからだ。暑さに耐えれず涼みに来てから森が嫌な子は来なくなるらしいからだ。良く来る騎士達が女の子誘うかとの話から聞いた。
成る程。ってことは愛し子がくる可能性はかなり低い?
『え?マジで?!やばいやばいやばいっ!どうすれば妖精の愛し子に会えるのーーーーっ!!!!』
っと、叫んでしまったほどだった。うん、生まれて初めてあんなに大きな声だしたよ。僕からあんな声が出るんだね。
それからは貴族の女の子かも知れない妖精の愛し子に会うために人の話を更にしっかりと聞く(盗み聞き)ようにした。
どうやら貴族の女の子は宝石が好きでヒラヒラしたドレスが好きで花束が好きで格好いい男性が好きでお金が好き。
ん~…暫く考えて試してみることにした。
まずは宝石を森に落としてみた。すると冒険者の人間が持っていってしまってそれっきり。
ドレスは出せないからダメ。お花を咲かせてみたが平民の子供達が摘み取って帰るだけ。
格好いい男性…格好いいの基準がわかんないから無理。それにどうやって用意するのかわかんないし、お金も出せない。
暫く色々試したが効果は無く、会いたくても会えなくて…悲しくて辛くて僕は『妖精の愛し子に会いたい』っと願いながら毎日泣きながら過ごした。
魔力が制御出来なくて溢れていき、僕は弱っていった。
僕の周りにはいつしか魔力で咲いた宝石の様な花が咲いていた。でも、もう祈るように泣くことしか出来ず、僕の魔力は体内には残り少なくなっていき…残り僅かを残して全て花になっていった。
もう、意識が朦朧としてきた時森の入り口からどんどん強い魔力の塊が近づいてきた。暖かくて優しい魔力。それを感じてから少しずつ意識がハッキリしてきた。失われた魔力がその魔力の存在の影響を受け、自然にある魔力が活性化されそれにより取り込むことも出来なくなっていた僕の体に自然に補充され体内の魔力が増えてきたからだ。
僕が起き上がれる頃にはその存在は僕の魔力をうっとりとしながら見ていた。
『(会えた!会えた!君だ!君が妖精の愛し子だ!こんな僕をみてくれる優しい存在。助けれくれた!会いに来てくれた!嬉しいっ!嬉しいっ!)』
僕の魔力を気に入ってくれた妖精の愛し子に僕はなんとか体を動かして近寄った。しっかりしなきゃ。嫌われないように、弱い妖精と思われないように、契約したいっておもってもらわなきゃ。なんとか嬉しさから泣きそうになるのを我慢して、不安と喜びが綯交ぜになるドキドキする思いを叫ばないように押し込めながら話しかけた。
『お花好きなの?』
何とかでた言葉はそれだった。キョロキョロする愛し子が凄く可愛かった。見た目も人…人間ってより妖精や精霊みたいに可愛くて綺麗だった。人間の容姿は知っているがこんな可愛くて綺麗な子は始めてみた。
『お花すき?僕が(僕の魔力が)育てたの。』
「えっと…お花好きよ?綺麗で素敵だよ。」
僕の魔力で出来た花が好きっ!やった!僕の魔力が綺麗で素敵なんで数百年生きてきて初めて言われたっ!嬉しいっ!嬉しいっ!
『うれしい。愛し子…僕と契約して?』
「契約ですか?」
なんとか泣きそうになるのを我慢して話をする。泣いちゃったら話せなくなる。泣きすぎて嫌われたらやだもん。我慢。我慢。
(え、その前に愛し子って…)
愛し子の魔力からそんな声がかすかに聞こえた。契約してなくても、強い感情や声なら魔力にのり僕ら妖精には聞こえる。ただ、それは気にしていなきゃ聞き逃すような僅かな声。もちろん、愛し子を思う僕が聞き逃すわけがない。
『妖精の愛し子だよ。君は僕らの愛し子。会いたかった…僕は君に会いたかったんだ…。』
すると、普通の人なら契約の仕方を知らないはずなのに妖精の愛し子は迷わず僕に伝えた。
「いいよ。私の魔力をあげる。」
と。あぁ、やっぱり君は妖精の愛し子だ。妖精との契約は人の様な紙(書類)と魔術ではしない。魔力のみによる契約。妖精の愛し子は妖精との契約の仕方を魂が知っている。君は間違いなく妖精の愛し子だ。
『っ!!!…ありがとう妖精の愛し子。僕らの愛し子。僕を君だけの妖精にして。』
「いいよ。」
『…ありがとう愛し子。』
会いたかった。会いたかった。嬉しい。愛し子が僕を受け入れてくれた。それだけで契約前なのに我慢できなかった思いが涙となり溢れた。
そうして、僕はティアラローズと契約し、妖精の愛し子は僕の主になった。
今までの歴史の中にある妖精と妖精の愛し子が結んだ契約…魔力の一部を貸すぐらいの契約とは違う契約を。
僕という存在(僕の魔力の)全てをかけて妖精の愛し子である主と契約した。
そう、僕の全て…これからの全てをもかけて。それは僕が消える時は愛し子が死ぬ時を意味する。その対価は、主の魔力を僕に渡すだけでは足りなかった。
噂からは今までの妖精は記憶や感情のようなモノから簡単なお菓子やおもちゃなどを対価に貰っていと聞いた。対価は妖精が差し出す魔力に比例して重さが変わる。
僕は…主の心の一部を望んだ。主が僕を見捨てないように、親愛でも、友愛でもいい。僕を捨てないならなんでもいいから僕を思って欲しいと願って。
なのに、主は本当に主の全て魔力を僕が使える権利をくれた。もちろん、体を維持するぐらいの少しの権利で良かったのに…それは主が僕を心の底から拒絶していないことを意味した。
更には僕の悲しみも苦しみも受け止めてくれると。僕の幸せを望んでくれると。主の名をかけて契約してくれた。
その契約からは主の心の一部は強制的ではなく、既に僕を受け入れてくれていたから予想以上に強く契約された。
妖精との契約は必ず上手くいくわけではない。妖精が要求する対価を提示できなければ契約は結ばれない。なのに…僕の全てという大きな契約だったのにすんなり結ばれ、通常よりも強いその契約は主と僕の絆を意味した。
僕が心から主を望み、主も心から僕を望んでくれた絆は妖精や精霊の中でも最上級の契約であり絆だった。
これは主が魂になっても主が生まれ変わるまでそばに居続けられる魂の絆を意味した。これで、僕は主が生まれ変わるまで側に居られる。主の魂までも安全に守ることができる。近くに居れば僕は主の魂の近くに産まれ直せるかもしれない。その時には女神様に相談してみよう。魂は女神様の所にいくからね。
主。ありがとう。僕は僕の全てをもって主を守るね。主が僕の幸せを望んでくれた。僕も主を幸せにしたいから、僕は主を傷つけるやつらから主を守るよ。
あれー?セシルくんはツンデレ予定だったのに、これでは隠れヤンデレではないか?あれれ?…セシルくーーーん!ヤンデレはバレないようにしてねーーーーっ!!!隠すんだっ!ずっと隠すんだぞーーーっ!!!




