西の森(4)
君影草「西の森ティアラローズ視点最後です。」
泣きすぎて干からびないか心配したが、なんとか泣き止んだセシルは今は嬉しそうにニコニコしてる。目元は真っ赤で可哀想だけどね。
セシルは膝ぐらいまである長い白銀の髪にオーロラの様に光加減で色々な色に見える瞳をしている。容姿は中性的でかなりの美形さん。年齢は人で言えば20才前後ぐらいで身長は20センチぐらいかな?背中の羽はクリスタルの様に透明がかっているがよく見たら瞳と同じように光加減で色が変わる。服は真っ白で長いズボンに裾の長い上の服にはスリットが入っている。真っ白服には銀で刺繍されていてどう見てもデザインは前世でのチャイナ服なんだよね…。
ん~…中世のデザインの乙女ゲームなのに不思議だわ。
『ねぇ、主。』
「ん?なぁに?」
『後ろの2人は誰?』
おぉ、そういえば紹介してなかった。泣き止んで安心してからはセシルの観察に集中しちゃってた。
「妖精様。私はお嬢様の婚約者で従者を勤めているクロードと申します。」
「お…私は婚約者候補のルーファス・クロッカスです。妖精様にお会いできて光栄でございます。」
2人は国王にするのと同じ最上級の礼をした。その事に驚きセシルを見る。
(え?妖精様??妖精さんはそんな礼をしなくてはならない方なの?)
『主は僕の主だよ。主は頭を下げなくてもいい。主はこの星で只一人の妖精の愛し子。それに…うんん、これは秘密にしよう。とりあえず、主は妖精よりも尊き方だよ。君達も楽にしていいよ。婚約者ってのは、人間にとって大切な相手の事だよね?主の大切な人ならこれからも会うでしょ?毎回そんな風に頭をさげないでもいいよ。僕が許すから。』
首を降りながら話すセシルは…
(どう見ても私の考えた事ををよんでるよね?)
『僕は主と魔力の全てかけて契約をしたから。僕の心から繋がってるの。だから、主の考えは全て分かるよ。』
少し気まずげに話すセシルの瞳には不安な色が浮かんでる。
「ふふ、セシルは凄いんだね!」
にっこり笑えば、セシルの瞳からは不安な色は消えて嬉しそうに私の周りをクルクルと飛び出した。
『僕は凄いんだよ。魔力も沢山あるし、主の役にたつからね!あ…主は僕の花が好きなんだよね?』
「セシルの花?」
『うん。ここにある花は僕の魔力で出来た花なの。主が来るのを祈りながら待ってたら咲いた花。だからこれは主の花だよ。』
「私を待ってた?」
『うん。ちょっと待ってて。』
セシルは畑に飛んでいきお花を摘んで魔法を使い、綺麗で可愛い花束にしてくれた。
「ふぁ♪可愛いっ!」
『主。もう触れるようにしたからどうぞ。』
「セシル、ありがとう。」
『っ!主の為に咲いた花だもん。そんな…お礼なんて…へへ。』
恥ずかしげにモジモジしてる姿は見た目より幼く見える。
「セシルは何歳なの?見た目は人の20才ぐらいだよね?」
『ん?僕は…産まれてから数百年はたってるかな?見た目は本来の姿の形だけど魔力が足りなくて小さいの。今は大きくなるのは難しいけどもっと小さくもなれるよ?』
ぽんっ!と音をたてて煙のような高濃度な魔力に包まれた後出てきたのは10センチもない3頭身になったセシルで…
「ふぇーーーっ!!!かわいっ♪セシルが小さくなった♪」
『っ!主はこれが気に入ったの?なら、僕は普段この姿でいるね♪』
「うんうんっ!とっても可愛いよ!」
『えへへ。主大好き♪』
「私もセシルが大好きよ。これからよろしくね。」
『うん。』
うきゃ♪頬にちゅってされたよーーーっ!!!はぅ、セシルが可愛い。
完全にデレデレとセシルを愛でる姿にクロードとルーファスは苦笑いを浮かべてるがティアラローズは気がついていなかった。とりあえず、一段落ついたみたいだからと声をかけ、はじめの場所に移動した。
セシルはティアラローズの肩に座ってルンルンしながらティアラローズ達の質問に答える。
花畑はセシルが居なくなれば自然と消えるらしい。セシルの魔力で出来た魔法の花だから枯れるってよりは魔力が尽きれば消えるんだって。
セシルは元々は別の地域に居たんだけど妖精の愛し子がいるとの噂(妖精達の噂話)を聞いて近くまで来たけど王都内には魔力が少なくて、魔力の塊である妖精はあまりの魔力の少なさに王都に入ると弱ってしまうから比較的安全だった西の森で待っていたらしい。
でも、待っていても愛し子が来てくれるとは限らないから珍しくて綺麗な花を咲かせればもしかしたら来てくれるかも?っと、妖精愛し子に会いたいと気持ちから祈り花を咲かせていたらしい。その作戦は成功して私が来たと。わぉ、凄いね。もし花畑で来なかったらどうすればいいか分からずに不安な中毎日祈って待ち続けたセシルは凄いよ。
そんなにしてまで会いたかった理由は泣きそうになりながら『…妖精の愛し子なら僕を愛してくれると思ったから。』と瞳をうるうるさせながら話すセシルはきゅんきゅんするほど可愛かったけど、悲しみと不安な色を浮かべる瞳をみれば詳しく聞くことはできなかった。どうみても、セシルは今まで辛い思いをしたことだけは分かったから…。
皆で軽食も食べてゆっくりしてから馬にも一人で乗って駆けて沢山遊んで帰宅したよ。もちろん、セシルも一緒に帰ることにしたんだけど、姿が見えると騒ぎになるからマントに隠すかを話していればセシルは姿を消せることを教えてくれた。
『妖精は普通は見えないんだよ。ハッキリ姿を見せるのには魔力が沢山いるからね。自分だけだと頑張っても光る塊にしか見えないけど契約者の魔力を使えば姿が見えるようにできるの。だから姿を消すのは簡単だよ。消しても契約者には見えるから安心して。』
と姿を見えなくしたらしい。私には見えるけどね。クロードやルーファスには姿を見えないか確認してから帰ったよ。セシルは私の頭に乗っていたけどバレずに帰れたよー。
帰宅してから、サロンに移動してお父様に連絡をして早めに帰宅してもらった。お父様、お母様、セバスにクロード、そしてルーファスと共に話し合いをした結果、セシルは私の家で過ごす許可を貰えたよ。やったね♪
やっぱり、セシルが姿を現してからはみんな最上級の礼をとっていて…理由を聞けば、妖精は人間よりも魔力が強く、魔術ではなく魔法を使う上位種の種族にあたるために本能的にも敬意を示す対象でもあり、国としても尊き希少な存在なんだって。私は妖精の愛し子だからそれを感じられないらしい。
とりあえず、陛下や王妃様に報告するからそれまでは屋敷の中以外では姿を見せないようにとの話しになったが、セシルが言うには『主の魔力で姿を見せるから人にみられないようにするのは簡単だよ。主の家族や主が気を許している人以外には姿を見せたくないし、気にしないで。毎回頭を下げられるのは嫌だからみんなも楽にしてよね。あと、僕のことは妖精様じゃなくてセシルだから。あ、呼び捨ては主だけだからね。主が困るからもう深く頭をさげるのはダメ。』との話になり、とりあえずマリー達にも紹介したよ。かなりビックリしていたけど私の新しい家族だと話したらすんなり受け入れてくれた。セシルの事は皆はセシル様と呼ぶことにしたみたい。陛下の対応しだいでお兄様達に手紙で伝えることは出来ず待つことになった。お兄様にセシルの事を話したかったのに残念だわ。
セシルは今は妖精として弱っているらしく、暫くは長時間私から離れられないらしい。だから、お風呂や寝る時も一緒♪トイレだけは扉の前で待って貰う感じにしたよ。流石についてこられるのは困るからね。
私のベッド一緒に寝るのは潰さないか怖いことを話したらお風呂に入ってる間にリオンとヘンリーが籠や綿や布を使ってベッドを作ってくれたの!入浴中の短時間で凄い!本当に驚いちゃった。
「流石だわ!リオン!ヘンリー!ありがとうっ!!」
『えへへ。僕のベッドだ♪』
「お嬢様とセシル様の為っすから♪」
「簡単にで申し訳ありません。使い心地を試していただけませんか?」
きゃっきゃとはしゃぐティアラローズとキラキラした瞳でベッドを見つめるセシル。リオンはニコニコしてるのに対して不安気なヘンリー。セシルはすぐにベットに入り、薄手の毛布…ってかサイズ的にも完全にハンカチだね。夏だし涼しくていいかも。3頭身のセシルでは籠のベットは十分大きなベッドになったみたい。
『ふぁ~♪ふかふかで気持ちいい。本当に僕が使っていいの?』
「もちろんっすよ♪」
「はい。気に入ってきただけで良かったです。」
『うん。…凄く嬉しい。ありがとう。っ!もう僕寝るから。おやすみっ!』
毛布をすっぽり被ってしまったセシルをみて可愛さのあまり皆は悶えていた。
(うわぁぁぁ♪可愛いっ!セシル可愛いっ!!大好き!!!)
っと、布団に入っても暫く考えてたティアラローズの声はバッチリセシルに届き、セシルも布団の中で真っ赤になりながらも幸せいっぱいでいつの間にか眠ったのであった。
ついでに、ティアラローズの部屋からでた後のリオン達は…
「ぬぉーーーっ!!!セシル様まじで可愛いっす!やばいっすよ!!!」
「わかります。妖精は皆あのように愛らしいのでしょうか?」
「いぇ、そのような記述はなかったかと…あのお姿はお嬢様が望まれたからでお会いしたときは20センチほどでしたが見た目は中性的な人で言えば20才ぐらいでした。」
「「え?!」」
「年齢も数百年は生きてるらしいです。」
クロードは思い出すようにはなしているがリオンとヘンリーは驚きを隠せず唖然としている。マリーに至っては驚いてはいるが顔にはでていない。そのマリーは内心の驚きを悟られないように気を付けながら少し考え話し出す。
「…とりあえず、セシル様が気難しい方でなくて良かったです。お嬢様を主とされているなら害はないでしょう。リオン、ヘンリーも偉かったですよ。素早く作ったにしては素晴らしい出来でした。クロードも今日はお疲れ様でした。今日ゆっくり休みなさい。」
「はい。では、お先に失礼します。」
去っていったクロードを3人は暫く見つめていた。リオンとヘンリーは「妖精の年齢って数百年でどれぐらいなんだ?おじいちゃんっすか?」「見た目癒し系の妖精様…いや、セシル様は見た目20才?え?あれで??中身も可愛らしいかった…え?本当に??」なんて混乱しながら考えていた。
ついでにマリーは「セシル様も可愛いかったですがお嬢様のが可愛いです。妖精をはじめてみましたがティアお嬢様が最高に可愛らしく美しいと実感しました。性格もお嬢様のが素敵です。妖精よりも素晴らしいお嬢様に仕えることができて幸せですわね。はぁ、妖精の主にまでなるなんて流石は私のお嬢様ですわ。」なんて完全に妖精のセシルよりも自分が仕えているティアラローズを声にも表情にも出していないが滅茶苦茶称賛していたのであった。
妖精や精霊は滅多に姿をみることすら出来ない希少な存在で、魔力量も多く、尊き存在である。ついでに協会には女神を称えているが、妖精や精霊は女神の使いと考えられています。昔、妖精の怒りを買い、滅んだ国もあったほどで、妖精一人でもかなりの力があるとされてます。
実際には妖精は契約することにより自然界にある魔力だけでなく更に契約者の魔力も使うことで魔力を増幅して極大な魔法が使える。契約なしの妖精では姿を見せることも出来ず使える魔法もごく僅かである。まぁ、本人達は特に普段魔法を使わないだけで使えないわけではないが妖精のみでの魔力だと負担が大きいのである。些細な魔法ぐらいなら安定して使える。契約なしに魔力をもらい使うことも可能で、後から魔力を貰えば負担がかかってもすぐに回復する。
ついでに、この世界では妖精は精霊の子供の様な存在で、長く存在していて魔力もたくさん増えれば妖精は精霊になることができる。そうすれば人のサイズまで大きくなることができる。精霊の上が大精霊でその上には精霊王がいる。普通、妖精であれば単一属性のみで、精霊になれば副属性として別の属性の魔法も使えるようになる。まぁ、得意不得意はある。精霊王は全属性使える。
その中、セシルは生まれながらに四属性持ちで妖精達の中では異端とされ、はぐれ妖精となり数百年と1人で存在してきたのであった。
次回はセシル視点の話か王城での対応の視点を書く予定です。どちらから書くか悩み中。




