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ティアの日常(3)

君影草「図書室での話になります。長くなりそうでーす。」






 図書室につきました。ふぇ~…流石公爵家廊下が長いよ…。既にちょっと疲れちゃったよ。


 図書室には本棚が沢山。壁の上までぎっちり本棚で、更に吹き抜けで二階まで本!本!本!ちょっとした図書館並みです。えぇー…妖精の本…見つかるかな?


「えっと…マリー妖精さんの本わかりますか?」


 ティアラローズは困り、首を傾げながらマリーに確認してみる。マリーが分かればラッキーだね!っと思いながら。


「エドワード様がお読みになられた本で、妖精関連挿し絵の本ですね。お持ちしますので座ってお待ちください。」


 マリーは一礼をして本を探しに行く。


 クロードはティアラローズを窓近くの明るい場所の机に案内する。

そこは日が当たらないが明るくティアラローズが図書室に来る際のお気に入りスペースである。ティアラローズは妖精が気になりルンルンしてるのが分かるぐらいご機嫌な様子でイスに座わる。


「あっ!マリー♪あったんだね♪」


 歩いてくるマリーの手に本があるのが見えてティアラローズは満面の笑みを見せる。


「こちらがエドワード様がお話しされていた本でごさいます。あと、こちらは妖精の絵が書かれた絵本でごさいます。」


 マリーは手に持っていた本を机に並べた。一冊は《世界の生物に関する本》と書かれておりシックなデザインであり読み込まれた感じのする本である。こちらがお兄様が言ってた本だね。もう一冊は《妖精たちに愛されし乙女》とあり、表紙に女性の周りに妖精が沢山描かれてる綺麗な絵本。年齢的にはこっちだよね。うんうん。


「まずはお兄様がみた本から見ます。」


 っと、ティアラローズが答えるとティアラローズの前に回ったヘンリーがページを開いてくれた。私は眺めてるだけでページが変わり楽々である。こういう世界の本って高価だもんね。破いたら怖いので触りません。マリーは私の隣に控えて説明をしてくれるみたい。クロードやリオンは後ろに控えている。


「こちらが風の妖精です。」


 そこには淡い緑の服を着た妖精さんがいた。背中には4枚の綺麗な羽。髪はエメラルドグリーンのウェーブで長さはロング。耳は長めでとがってる。前世で良く本でみるエルフ耳である。


「えっと…」


 隣のページに書かれてる説明を読みたいが…私まだ字読めないんだよね。いつも絵本を読むときは絵をみてて字見てなかったゎ。前世のローマ字に似てるが微妙に形が違うし、見たことない形もあるんだよね。頑張れば覚えられそうだけど…んー。

 考えてしまって固まるティアラローズを見て、マリーは字が読めなくて困ってると思いすぐに妖精について説明していく。


「こちらは女性型の妖精が書かれています。妖精には女性型、男性型、中性型の姿で描かれてありますが性別が有るわけではないそうです。」

「そうなの?」

「はい。そして、妖精は滅多に人の前に姿を現さず気に入ったものの前でのみ姿を見せてくれてその時には場合よっては周りのものにも姿が見えるようにして現れてくれると言われています。」

「そっかー。じゃぁ、会えないのね。」


 せっかくファンタジー世界にいるのに妖精に会えないことがわかりしょんぼりするティアラローズ。やっぱり、会えるなら会いたいよね。


「妖精が姿を現し気に入られた者は妖精の愛し子と言われます。そして、妖精はその者に力を貸し、その妖精の属性の魔力を増強したり、危険が迫った際には助けてくださるとあります。風の妖精は風魔法を使うとあります。」

「妖精の愛し子…ですか。」


 うんうん。前世でも良く小説にある話だねー。


「あれっすよね?確か妖精の愛し子は優しい心の持ち主で、妖精はそんな人間が大好きなんですよ~♪小さい時そう聞いたことがあるっす。」


 リオンがニコニコしながら教えてくれる。


「そうなの?」


 あるある話だけど、この世界でもそうなのかな?っと首を傾げる。


「そうですね。私もその様に聞きました。」


 ヘンリーも顎に手を添えながら答える。おぉ。ヘンリーその姿似合いますね。


「では…もしかしたら…」


 ぼそっと小さな声でクロードが呟く。私が振り返るとクロードが目元を赤くしてる。ん?!どうした???え?今そんなクロードが照れるような話ししてました???

 私は内心動揺しながらも首を傾げながら見つめてるとクロードの耳がピクピク動く。うん。どうやら恥ずかしいみたい。あ。珍しく目まで泳いでます。はぅ。可愛いな~♪とりあえず教えてくれるまで待ってよう。


「えっ…と。」


 恥ずかしそうにしながらもクロードは覚悟を決めて話し始める。


「その話からするともしかしたら…お嬢様なら妖精に会えるかもしれない…かなっと。」

「あ。そうっすね!うちのお嬢様優しいっすから!!!」

「確かに…その説が正しいとすればお嬢様は妖精に会える可能性ありますね。」

「そうですね。お嬢様は確かにお優しいですし可能性はあるかもしれませんね。」

「はい。それにお嬢様は可愛らしいですので。」

「うんうん!天使っす!!!」

「いぇ、今日は妖精です。愛らしい妖精です。リオンここは重要かと思います。」

「そうっすね~♪風の妖精さん最高っす!」

「では、明日は水の妖精をモデルにドレスを選びます。」

「ぬぉー!いいっすねー!!!」

「私は花の妖精などもよいかと。」

「悩みますね。うちのお嬢様はどんな妖精にもなれそうです。」

「では、今度花の妖精をモデルにしたドレスを作って貰えるように旦那様に聞いてみましょう。」

「花は色々あるのでお似合いになる花を選ばなくてはいけませんね。」

「アリウムの花はかかせないっすよね!家名ですし。まるっこいのがポンポンって咲いてるのだと…服むずかしくないっすか?」

「そこはデザイナーに任せましょう。」

「今の時期頃の花ですので今からだと間に合いませんね。」

「いぇ、家名と同じ名の花でもありますし、冬服でもイメージデザインとしては全然いけませんか?」

「楽しみっすね♪」

「今は5月ですので夏のは数種類は間に合いますね。」

「秋冬の花の妖精のデザインして貰いませんか?」

「そうですね。頼んでおきましょう。」


 ティアラローズがクロードの発言にびっくりして固まってる間に話がどんどん進んでいきドレスの注文は既に決定した流れである。もちろんリチャードに話をすれば確実に決定な提案である。


「うぇ?!いつの間にドレスの話になったのですか?!」

「楽しみっすね♪お嬢様♪」

「いやいやいや!…たしかに…服はいりますが。花の妖精イメージのドレスなの?」

「はい。そちらは決定です。」

「え?そうなの?」

「お嬢様はどんなのが着たいですか?」

「えっと…私はドレスよりも…ワンピースみたいにもっと着やすいのが着たい…かな?」

「部屋着ドレスではなくてですか?」

「えっと…歩くのにね。ちょっと大変なの。」

「抱き上げて移動しますよ?」

「あぅ。歩きたい…の。ダメ…かな?」


 ちょっとうるうるしながら上目遣いで首を傾げながら聞いてみる。


「「「「っ!!!(可愛いっ!!!)」」」」


 が、涙が溜まりだしたので使用人たちは皆焦る。


「ダメではございません。」

「そうっすね!貴族用の清楚で上品なワンピースとかありますし!」

「お嬢様の年齢では女の子はみんな部屋以外では基本歩きませんので珍しいですが少し上の方などは屋敷内用のワンピースや下町お忍び用ワンピースなど色々あります。」

「部屋着ドレスを好む方もいますがエドワード様ぐらいになりますと夏など特に屋敷内でなら珍しくありませんよ。」

「お茶会などではドレスを着て貰わなくてはなりませんが、まだお嬢様は参加されませんし畏まったものは念の為必要になりますが大丈夫です。」

「ただ、お茶の時間などは部屋着ドレスを着ていただいて慣れていただいてないと困りますが…」


 普段は無表情のマリーですら焦り少し困った顔をしている。


「えっとね。じゃぁお花も嬉しいけど、ベリーの刺繍してるワンピース着たいな。」


 テレテレしながら頬を染め恥ずかしそうに希望を伝えるティアラローズ。周りからしたら天使である。いや、妖精か?! 


「もちろんです。ワンピースならすぐにできるでしょう!」


 マリーは淡々と話しているが声に力が入っている。


「俺!とりあえずすぐに奥様に伝えてくるっす!」


 リオンは足早に図書室から去っていった。おかしい。走っていないのにかなり早くない?


「ベリー以外にも希望があればなんなりとお申し付けください。」


 ヘンリーは笑顔でティアラローズを見つめている。リオン並みのニコニコである。


「たのしみですね。お嬢様。」


 クロードは嬉しそうに尻尾が揺らしながら優しくティアラローズを見つめる。


「あぅ…たのしみ♪」


 さすがにこの対応に恥ずかしくなるが嬉しいティアラローズ。


 なんたってドレスは歩きにくいのだ。この世界の女の子の幼児の服は沢山歩くようにデザインされてない。基本女の子の場合は幼児の間は抱っこで移動。私室のみで歩き、散歩で少し歩けば良い方らしい。

 男女比の問題から女の子は過保護に育てられるからである。特にティアラローズは容姿が愛らしい上、上級貴族の公爵家。特に過保護に甘やかされて育てられるのが一般的であり、ティアラローズの様に早くから普通に歩く方が珍しいのだ。

まぁ、よちよち歩きだが。

 にやり。ワンピースなら走ることも簡単そうである。フリフリでレースやチュールやらを使ってるドレスは、前世記憶があるティアラローズからしたらお高いドレスで走ってもし転けて汚れたり破けたりしたら怖くて今まで我慢していたのだ。ふふふふふ。動きにくいドレスからの解放である。ティアラローズが内心ニヤニヤしてるうちにリオンも帰ってきた。もちろん、ドレスやワンピースを作る許可はやはりすんなり出たのであった。








 きっとワンピースになってもまだまだクロードに抱き上げられての移動にはなるんでしょうねー。

 なんたって屋敷は広い。そしてよちよちのティアラローズである。移動だけで時間かかりますからね。

 2歳児で普段から抱っこされる子がいきなり沢山あるくなんで無理ですよねー。

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