表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
58/73

西の森(2)



君影草「体調大部よくなりましたー。熱は出なかったけど頭痛と倦怠感が酷くてせっかくの四連休の前半は家ではほぼ寝てました。もったいないー。でも、まだ本調子ではないので残りも極力ゆっくりします。」



 王都を出て西の森に入ると一気に自然に囲まれた。暑い日なのに木々で影になり涼しい。


「ふぁ。きもちいぃ…」


 ついポロっと溢れた声が耳に届いたルーファスはビクッと体を揺らすが馬で駆けていたのでティアラローズは気がつかない。今まで興奮のあまり喋らなかったティアラローズが急に喋りだしてやっとドキドキしていた気持ちが落ち着いていたルーファスは再びティアラローズに意識が向く。実はここまで来るまで極力意識を付けないようにしていたのである。フード付きマントで体は隠れたが匂いや柔らかさを隠すことはないのにお茶をするとき以外での長時間の密着は無かったからである。ドキドキする気持ちを隠すように言葉だけは冷静に聞こえるようにとルーファスは頑張って声を出す。


「ティア。流石に走ってる時には喋ると危ないよ?もうすぐだから我慢して。」

「はぁい。」


 むむ。注意されてしまった。確かに結構な早さで走ってるものね。道は舗装されてないけど結構広めな道になってるから、獣道ではなく普通に使われているみたい。確か、西の森の湖は人気の場所だったから…そのお陰かな?ま、獣道よりいいよね~♪


 そのまま少し走ればすぐに湖に着いた。


「ふわぁーーーっ!!!綺麗っ!!!みてみて!綺麗だよ!!!」

「だろ~?それにここは涼しいし水も綺麗だからね。」

「本当ですね。少ししか離れていませんのに凄く涼しいです。お嬢様、はしゃぐのは降りてからにしてください。危ないですよ。」

「だな。ほら、ティアおいで。」

「ありがとう。」


 はしゃぎながらルーファスの服を引っ張りながら湖を指差し、更にはクロードにまで手をパタパタさせて危なげなティアは馬から素早く降りたルーファスにきょいっと降ろされた。わぉ、力強いね。


「ねぇねぇ?水触ってきてもいい?」

「あ~…。いいって、ただ俺も一緒に行くから。ほら、危ないから手繋いで。」


 そわそわしながら湖とルーファスをチラチラしていたティアラローズに苦笑いを浮かべてクロードに視線を向ければ、しっかりと頷きがかってきたのでティアラローズの手を握り湖の畔に連れていく。


「落ちないように気をつけて。」

「うんっ!ぴぁっ!つめたーいっ!!!」


 満面の笑顔で振り返るティアラローズにルーファスはドキリとする。


(くっそ可愛いな。…連れてきてよかった。)


 視線を逸らしたルーファスの耳は赤くなっているのだが、気づかないティアラローズはニコニコしながら湖を眺めていた。

 

 湖は底が見えるほど澄んでいるし、空気も綺麗。更には屋敷より涼しくて気持ちがいい。王都内とは違い自然にある魔力も澄んできて綺麗だった。目に魔力を込めて、魔力の流れが見えるようにすれば、森の中には色とりどりの魔力が漂っていた。半透明で綺麗な魔力は木々から離れればキラキラと溶けるように馴染み消えていく。


「はぁ、綺麗な魔力。」


 今まで見たことがないほどの美しい魔力にうっとりするように呟いた。


「え?魔力?」

「うん。魔力はね、人間の体内だけでなく、自然にもあるの。木にも土にも魔力はあるんだけど、王都の街中では凄く少なくて、屋敷でも庭の木々や花にはまぁ沢山あるけど、森の中とは比べ物にならないかな。」


 屋敷の木々にも魔力はながれているけど森の木々のが量が多い。何より魔力が綺麗で澄んでる。


「ティアには魔力が見えるの?」

「うん。目に魔力を込めると見えるようになるよ。ただ、普通に魔術を使うより難しいかな。目にもってくる魔力はかなりいるし、一定に維持しなきゃだから…。役に立つのかは分かんないけど身体強化してる時に相手の体に纏う魔力の流れが見えるから強く魔力が込められてると威力が上がってるのが分かるぐらいかな?」


 魔力の視認は中級魔術レベルらしい。だから、珍しいものでもないけど普段はあまり使わないから知らない人もいるんだよね。


「へぇ。身体強化の魔力量ね…使いようによっては便利かもな。」

「うん。自分を見ながらすれば体に使う魔力の無駄とかも見えるから無駄に使ってる魔力や上手くとどめられずに消える魔力の霧散もわかるから留めるように練習すれば魔力の無駄も防げるよ。」

「まじか!?え?ってか、魔力って無駄に使う分は消えてるの?」

「うん。」


 過剰魔力の霧散は実は学園で習うけど気にしてる人は少ないとリリア様から聞いた。発動しないわけではないし、魔力切れになるまで魔力を使うこともあまりない。もし魔力が少なくなっても魔力を回復させる回復薬があるらしく、それを飲めばよいためにわざわざ気をつけてする人は魔術を沢山使う騎士ぐらいらしい。戦場での魔力切れは命に関わるからである。


「私が使う魔法と違って魔術の場合、基本となる魔法の必要魔力量を過剰にかかるのは消えちゃうの。足りないと発動しない。でも、訓練をして無詠唱で発動出来るぐらい安定すれば、魔力を加えたら加えた分の魔力の漏れが無くなるように維持出来るようになるみたい。そしたら威力は増すみたいかな?だから、同じ魔術でも威力が高い魔法を打てる人はそれだけ努力をしてるってことだよ。」

「はぁ~…よく知ってるね。」

「訓練所でも違いを見てるからね。」


 訓練所に行くようになってからは他の人の魔力の流れを見ていたら違いがあったんだ。それでリリア様に聞いたら教えてくれたの。まぁ、初めはすぐに教えてくれなくて自分なりに検証を重ねて答えたら正解だったみたいで詳しく説明してくれた感じなんだけどね。


「ティアは転生者ってだけで満足せずにちゃんと勉強して努力もしてるんだね。はぁ~…俺も頑張ろっ!ティアに負けてられないからさ。」

「ふふ、私も負けないように頑張るね。」

「いやいや、ティアは十分凄いじゃん。」


 ん~…魔術に関しては私は魔法が初めから使えた分早く使えてるけど結局勉強もしなきゃいけないからな~…でも、基礎を学んだ方がそれを知るだけでも魔法が安定して少ない魔力でいけるから知識も大切みたいなんだよね。まぁ、モノによっては効率が悪い魔術もあるんだけどね。


「私からすればルーファスも凄いよ?」

「え?」

「だって、ルーファスには剣もあるじゃん。剣を使いながら魔術も使う方が私からすれば凄いよ?ルーファスが一生懸命頑張ってるのも知ってるし、努力し続けるルーファスは格好いいよ♪」


 ルーファスは頭も悪いわけでもなく普通に勉強も出来るってお兄様から聞いたもん。それに苦手なのも避けずに頑張って食らいついてるらしい。剣術に関しては同い年の子の中では一番強くて、最近では見習い騎士の年上の方相手でも遅れを取らないって騎士さん達が話してたもん。毎日剣術の訓練は休みの日でも体の負担がかからない程度にしてるのも知ってる。ちゃんと休みの日に体を休ませなきゃいけないのも理解してるから最低限らしいけどね。これは実はロベルト様から直接聞いたんだ。「息子が脳筋すぎなくて良かった。騎士は脳筋ってよく言われるが頭も使わないと危ないからですから…。柔軟に考えて動けるのはルーファスの凄いとこですよ。これからもそこは変わらず成長してほしいものです。」っていってたよ。


「っ!!!」

「うきゃ?!」


 ふぇ~…ビックリした。急に抱き締めるんだもん。…湖に落ちなくて良かった。ちょっ!ルーファスさんやい、ぎゅうぎゅう締め付けたら苦し…え、ちょっと更に力入れたら本当にやばい。


「るー…くるちぃ…いたぃ…。」

「え?!あぁー!!!ごめんっ!!!」


 ふぅ、本当に痛かった~…力強いね~。そのまま抱き上げられてクロードが居るとこまで運ばれて、敷かれていたシートの上に下ろされた。


「痛いとこはない?ごめん。」

「ふふ、もう大丈夫よ?でも、痛かったから次は気をつけてね?」

「うん。怪我がなくて良かった…。嬉しくて加減忘れて抱き締めちゃった…ごめんね?あと…ありがとう。」

「ん?うん?もう謝らないで。大丈夫だから。」


 でも、何がありがとうなんだろ?それよりもしゅんとしちゃってるルーファスには耳や尻尾がないはずなのにしゅんとしてる耳や尻尾が見えちゃうよ。おっきいのに可愛いな~。ヨシヨシ撫でながら話しかければへにゃって笑ってすり寄ってきて可愛いっ!!!


「ティアがちゃんと俺を見てくれてたのが嬉しかったんだ。」

「え?当たり前だよ?」

「ん。ありがとう。」


 そんなことが嬉しかったんだ。でも、当たり前なことだよね。ルーファスは友達だし、それに婚約者候補でもある。お兄様も学園に行ってるから今では誰よりもよく居るから尚更ね。


 そのままシートに転がって膝枕してお腹に抱きついてるルーファスの頭を暫く撫で続けるティアラローズだったのであった。




 ルーファスはクロードがいても気にせずいつもと変わらずです。基本、本能に忠実で素直なルーファスさんなのです。それにこの世界では妻となる女性に対して夫同士であればそばにいてもいちゃいちゃするのが普通な世界です。ただ、恥ずかしくて人前ではくっつかない人もごく僅かにいますが、ルーファスにはその恥ずかしさについてはありません。それよりも、良く分からないティアラローズに対するドキドキする気持ちがバレる方が恥ずかしいルーファスなのであった。そのドキドキが恋と自覚するのはいつになるやら~…(笑)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ