未来の予定を回避したい
君影草「熱はないですが倦怠感と眠気が…。頭痛もする。今日も早く寝ます。内容が変だったりいつも以上に誤字沢山ありましたらスミマセン。」
ティアラローズが10歳の夏。乙女ゲームであればロベルトが大怪我をするはずの時期である。
事前にティアラローズからの未来の知識により回避出来そうなので、夏前から騎士団の一部は魔物を減らすための遠征に出ていた。ロベルトが大怪我をする程の魔物ならば数が多いか、もしくは何かしらの理由からの変異種の可能性が高いために調査も兼ねていた。魔物は春には前年よりも多く、何よりも集団で動くタイプの魔物が増えていた。ロベルトの妻が利用する道はもし気がつかねば夏には大発生していた可能が高かった。事前に増える前に駆除出来た為に近辺の村や街への被害を減らす事が出来た。
それについての話し合いがウィリアムの執務室にて行われている。陛下をはじめ、宰相のゼノール、騎士団長のロベルト、ティアラローズの父であるリチャードが集まっていた。ついでにいえば、ジャスミン侯爵のキースは不在である。キースは王城勤めではないために普段はジャスミン領にいるためわざわざ呼んでいないのだ。緊急事態ではないため呼び出すことはしなかったのである。
「ふむ。ティアの知識の通りかは分からぬが近年で一番魔物が増えておるな。」
「はっ!事前に討伐したために被害は少なくすみました。」
「ティアちゃんには感謝ですね。」
ウィリアムの言葉にロベルトは報告をする。ゼノールはにこやかにティアへの感謝と言っているが愛称呼びが許されてからは「ティアちゃん」と呼ぶようになりそれが定着している。
「ロベルトの夏の予定は防げそうか?」
「そうですね。妻には秋の終わりにあちらに向かいそのまま冬を過ごさせることで納得頂きました。」
ロベルトが妻と共に警護として動くのは妻の夫である辺境伯の所へ向かう為であったが夏に襲われるのが分かっていた為に時期をずらして夏の長期休暇の時ではなく、秋の終わりに向かいそのまま冬をあちらで過ごしてもらうことにしたのだ。「この夏は陛下の命で大量発生した魔物を狩る為に護衛が出来ない。しかも大量発生しているのはその地域に行くまでの道のりである。」と伝えれば魔物にトラウマがある妻はすんなり諦めた。変わりに冬をあちらで過ごす事を条件に出されたが、ロベルトからすれば送ってすぐ王都へ帰るので仕事に支障がでなければ困らないのであった。
「して、リチャード。ティアの様子はどうだ?」
「家でも特に変わったことはありません。」
リチャードは相変わらず家族以外には無表情で冷たい印象を与えるが、これが普段のリチャードなのでここにいるものは気にとめていない。
「エドワードの魔力はアリウムの家系が強く出ているためか複合魔法が得意ですね。」
この世界の魔法の基本は火、水、風、土の四大元素と光と闇の二大元素に分かれている。その為にこの世界での氷や雷などは複合魔法で難易度では上級魔法となっている。デルフィニウム家が結界魔法が得意なようにアリウム家は複合魔法が得意なのだ。特に氷の複合魔法が得意な為にリチャードは若い時には「氷の貴公子」と呼ばれていた。本人はかなり嫌がっているが、アリウム家の男性は何故か家族と愛する人以外には興味がもてない為に代々アリウム家の子息はその様に呼ばれる事が多い。
「はぁ?!もうエドワードは使えるのか?!」
「はい。ティアの兄として、そして婚約者として負けないようにと日々訓練してますからね。闇の日にはティアに会いに帰りますが朝ティアが起きる前までに魔法訓練が終わるようにと朝早くから頑張っています。」
「はぁ~。ティアは規格外だと思うが…」
「男としてはやはり愛する人を守る力は必要ですからね。あの子達は早くから学んでる為に習得も早いですね。」
毎週暗いうちから訓練をするエドワードもだが、それに付き合うリチャードも家族が大好きなのだ。リチャードも普段から魔術が衰えないようにと仕事の合間には訓練を欠かさない。体が弱いフリージアを守るためにも必要なのだ。この世界では基本妻は夫が守る。貴族な為護衛も要るが女性が少ない為に魅力的な女性を奪おうとするバカはやはりいるのだ。それは外出時だけではなく、屋敷に侵入してくる輩もいる。ティアラローズには秘密にしてるが毎月アリウム家にはフリージアだけでなくティアラローズを狙う侵入者が絶えないのだ。御披露目パーティー以降はかなり増えた。その為、アリウム家の執事や使用人に限らずメイドも戦闘技術は必須なのだ。夫が二人しかいないフリージアは護衛が手薄と考えられる為に結婚当時は特に多く、その為にアリウム家の使用人達の戦闘技術は更に磨きがかかりティアラローズの御披露目パーティーまでは侵入者は年々減り、年に数回ほどだったのが御披露目パーティー以降はフリージアと結婚した時以上の侵入者がいるのだ。もちろん、エドワードだけではなくクロードも日々訓練を欠かしていない。
「ティアちゃんは魅力的な女性ですからね。うちの息子も魔術だけではなく、刺繍や裁縫も頑張ってますよ。女性嫌いだったあの子がまさかそこまでするとは予想外でしたね。」
一妻多夫のこの世界では、夫が妻に尽くすのは当たり前であり、女性は社交と住んでいる屋敷の管理ぐらいが当たり前で、その屋敷の管理すら内縁の夫がする場合が多いのである。刺繍は貴族令嬢であればするが、平民では実は女性がするものは少ないのだ。女性は子供を産むだけでもかなり大変なので、そのサポートや護衛を内縁の夫がする。ついでに、男性は仕事だけではなく、裁縫から刺繍が出来るのは当たり前だったりする。貴族の男性では嫡男は必須ではないが、次男以降は女性へのアピールポイントとして必須だったりする。愛する女性の衣類を縫い着てもらうのは夫のステータスだったりする。ただ、一から全てを作るのは難しいためにお針子は要るがその場合、愛し合う妻に送るドレスは一部の刺繍をしたりするのである。ついでに、下着も中の良い夫婦であれば手作りが普通だったりする。デザインが下手な者は一般的なものになりがちな為にデザインのみデザイナーに頼むのこともよくあるのだ。
平民同士の夫婦に関しては夫が妻の服を作るのは当たり前で、市販品もあるがそれを着せるのを嫌がる男性もいる。
そう裏話になるが、こんな世界であるためにレオナルドの様な男性は実はかなりモテるのである。乙女ゲームでは容姿だけではなくその様な点からもレオナルドは女性好きなだけではなく、女性からも自分の夫にならないかとのアピールから囲まれていたのだ。レオナルドがティアラローズの下着まで作るのは実はこの世界では優秀な夫である証なのだ。
「ティアラローズ嬢に関しては本当に凄いです。魔術だけではなく、素で人を魅了する力があり騎士達の中には崇拝する者もいます。」
「…崇拝か?」
ロベルトは苦笑いしながら話すが、ウィリアムはティアラローズの愛らしさは崇拝するようなレベルまであるのか?とポカンとしている。
「ティアラローズ嬢はよく訓練所にいますからね。合間を見つけて訓練をする努力家なだけでなく、平民の騎士にまで優しく、日によっては差し入れまでしてくれる優しさ。更には最近では簡単な治癒も使えるようになったらしく、練習の為にと騎士達の怪我を直してくれます。汗だくな騎士に囲まれても嫌な顔をすることなく、常に笑顔で愛らしい。今では成長されて女性らしさも出ているために一人の女性としても魅力的ですから。婚約者と婚約者候補が既に決まっており、更にはその方達が王族だけでなく上級貴族であり、仲が良い為に下手をやらかす者はいませんがその反動からか信仰対象のように崇拝する者が増えてますね。将来、王妃となられるのなら寧ろ心強いと思い放置していますが宜しかったでしょうか?」
「あぁ~…大丈夫だろ。アルフレッドが手放すとは思えんしな。」
王族の独占欲の強さを知っているウィリアムは息子がティアラローズを逃がすようなへまをすることはないとサラッと流した。一瞬、リリアが言うヤンデレなるものが過ったが口には出さなかった。そうならないようにリリアがティアラローズのサポートをするだろう。
「あぁ、陛下。ティアちゃんの人気は王城に勤める使用人達にもありますよ。こちらも崇拝に近いですね。」
「は?何故だ?あまり関わりはないだろ?」
ティアラローズは陛下の命により基本人が少ない道を通るようにしている。接点があるのはリリアとお茶をする時ぐらいなのではないのか?!と驚きを隠せない。国王であるのにすぐに顔や態度にでるポンコツを見るリチャードの視線は冷たいがウィリアムからすればいつもの事だ。後で小言をゼノールと共に言われるのは分かっているがこれが普段のポンコツ陛下の日常の姿なのである。寧ろ、リリアとティアラローズとお茶をする時には人払いをするために更に国王としての姿としてヤバイ自覚はあるが、「ティアは俺の娘だ」っとウィリアムの中では既に家族扱いなのである。リチャードにバレると怖いために最近では口にしないようにしている。
「それがですね。訓練所付近に騎士を捕まえる為にくるのは女性だけでなく、最近ではティアちゃんを一目見ようとその当たりに仕事があれば取り合いになるレベルですし、王妃様とのお茶の時間に出入りする使用人も王妃様付きだけではなく、最近では信頼における使用人であれば女性ならお茶をいれる機会があるのですよ。毎回「美味しいです。」などの一声を頂けるらしく、お茶の入れ方が上手い者はティアちゃん自身が入れ方を学びたいと声をかけられて「天使にお茶の入れ方指導させてもらえた」なんて大盛り上がりですよ。ついでに、ティアちゃんが作ったチーズ入りのクッキーは甘さ控えめでワインにも合うので男女問わず人気ですし、更にそのレシピを独占することなく商業ギルドにレシピ登録するのみで皆がレシピを開示することができ、手軽に皆が食べれるようにされたことで、下町でも人気が高まっていますね。」
「あぁ、それなら騎士達も感謝していたな。遠征時の携帯食糧としても保存が効き、旨さも逸品、酒にも合う。今では手軽に下町でも買えるから個人的に買うものも多いですからね。ついでに私も良く買います。」
「私もですね。ついでにうちの料理人はレシピを購入済みなのでいつでも食べれます。」
「私はティアが作ってくれるから店のは買ってないな。」
「うぐっ!俺だって王城の料理人に頼めばいつでも食べれるからな!」
大の大人が何を張り合っているのか視線をバチバチさせつるが、要は皆ティアラローズが大好きなのである。
「あ。話を戻しますがティアちゃんですがまだ特異性の発現は分からないってことですよね?」
「あぁ、そうだな。」
「さらっと話を戻すな…はぁ。」
ゼノールが脱線しつつあった話を戻すが急に戻されたウィリアムは脱力気味に机に腕をのせ、拳に額をつける。リチャードに関しては話すのが面倒になってきており口調が完全に私的なものに変わっている。まぁ、あの流れから幼馴染み達のみの空間で取り繕う必要性はない。
「フリージアがあの体ですし、魔術な苦手なので…何よりティアは他の魔術に関してもかなり優秀でしすから可能性は低いかと。」
「ふむ。ライラックの家系な特殊だからな。」
「…確か、ライラック辺境伯の血筋の女性は未来視の力があるとの噂ですか?」
ロベルトも完全に私的モードで腕を組み考えるように口に出す。
「ロベルトにしてはよく覚えてますね。そうですよ。デルフィニウム家は結界。アリウム家は複合。ライラック家の未来視。上級貴族のみが発現はする家系魔術の特異性ですね。それも血筋でも必ず発現するわけではありませんが…第一王子の試練がある年には関係者は発現しやすいんですよね。理由は分かりませんが。」
ゼノールは難しい表情をしている。そう、既にオリーブだけではなくエドワードまでもが特異性を発現している。そうなればティアラローズも可能性は高いのである。ついでに王族には特異性魔術はなく、魔力量が通常の貴族異常に多いのである。その魔力量は実はオッドアイのオリーブよりもアルフレッドは多いのである。ついでに発現の時期は学生卒業時期までなのである。だが、希に早くから発現する。オリーブは魔力量も多いために早かった。その為、魔力量が多いティアラローズも早くから発現するのではと話が以前からあったのだが、リチャードからすればフリージアには発現がなく、更に体も弱く魔力量も少ないためにティアラローズの発現は可能性が少ないと考えている。ついでにライラック家の血筋とは家発現するのはライラックで産まれた子供がライラックの地域で育ち、家を出てもその子供までしか発現しない。更には女性のみと本当に希な発現条件なのである。ティアラローズに関してはライラック領地にすら行けていないので発現の可能性は低いと皆分かっているがそれでも未来視の力は希少であり、国の事を思えばあれば嬉しい力なのである。もちろん、なくても対処可能なようにしているが、もしその力が発現した場合、魔力の相性が良ければ王命で王家で囲うのが歴史となっている。その未来視は自分の力で見れるのではなく、関係者の未来を見るという感じとまたまた限定的なので王族と結婚した場合は国の未来を見ることができるらしい。歴代のライラックの女性であれば王家に嫁げば国全体の天災から自らの危険などまで見れる為にその力での協力を求めて来ている。
なんだかんだ年々成長するティアラローズが可愛く、美しく、魅力的に成長しているためにウィリアムは焦っている。息子がティアラローズを逃がすとは思えないがもし、愛がなくとも囲い込める理由があれば「俺の娘になるのが確定だ!」っとちゃっかり考えているのだ。もちろん、卒業まではその事をティアラローズに伝えることはしないが、もしアルフレッドがフラれても娘にしたい程ティアラローズを可愛がっているウィリアムは何とかして娘にしたいのだ。例え、夜伽がなくとも良い。最悪、戸籍上娘になれなくても王宮に気軽に遊びにこれるような条件が欲しいのであった。もし、娘に出来ずとも未来視があれば「王宮に頻繁に出入りしていれば未来は見れるだろうなんて言えばいけるはずだ!」なんて言えばティアとお茶がいっぱいできる!なんて考えているポンコツ陛下なのであった。完全に私的な理由であった。もちろん、その話を聞いたゼノール達は呆れた顔をしている。なんだかんだ「俺の娘」発現がポロリと出ていたが怒りを通り越して「相変わらず残念すぎるな」とリチャードは考えていた。
「とりあえず、ティアの事を気にかけていてくれ…俺のためにも…。」
「ウィリアムはほっとくとして、私の娘ですから気にするのは当たり前です。」
「うぅ…ずるい。リチャードばかりずるい。俺もティアを大切に思っているんだからな。」
「あ、それなら私もですよ~。」
「私もです。」
…だから何故皆張り合うのだ。ウィリアムは自分だけではないと分かっているが口に出されると凹むのであった。
ついでに、その日の夜にはリリアに「なんでティアは俺の娘に産まれなかったんだろ…。」とマジ泣きをするが「いやいや、ウィルと私の娘として産んでいたらティアではなく別の娘ですからね。リチャードとフリージアだからのティアラローズですから。」とサラッと言われて更に号泣したのであった。
相変わらずの残念陛下。国王なのにポンコツ過ぎる。でも、そこが好き(笑)




