ティアの日常(1)
君影草「やばいです。話が進まないです。」
ティアの朝はなかなか早い。まだまだ2歳であるので本来この世界の女の子はまだまだ寝ている時間ではあるが、ティアは家族で朝食を食べたいが為に喋れるようになってからお願いした為である。
この世界の女の子はそんなことをお願いしたりするなんてあり得ないほど小さい時は特に甘やかされてるのでそんな可愛いお願いをしてきたときのアリウム家にいるすべての者達が「うちのティア(お嬢様)は天使っっっ!!!」っと萌え悶えたことをティアは知らない。
朝6時ティアラローズの部屋。
「「「「おはようございます。お嬢様。」」」」
っと使用人たちが声をかける。が、ティアはすぐには起きない。2歳の体はまだまだ寝たいのである上、ティアは朝が弱かった。
「あれー?お嬢様起きませんね。起こすの可哀想っすよ。」
「気持ち良さそうに寝てますね…」
「私が起こします。ですので皆は支度を。クロードはお嬢様の服をお願いします。」
「わかりました。」
っと皆行動に移す。
「お嬢様。起きてください。」
「…ん。…ぅにゅ……。」
「おはようございます。お嬢様。立てますか?」
「…ん。マリー…おはよぅ…。」
「お嬢様。目を開けてください。目を閉じたまま歩いては危ないです。」
「…ん。ティア…目…ありましゅ…。」
「あるのは知ってます。開けてほしいのです。」
マリーは布団を剥ぎ、ティアは軽く揺する。ティアはコクコク頷くが目は全く開いてない。マリーが支えて顔を洗うスペースまで促す。
「お嬢様♪おはようございますっ!」
「…ん。リオン…おはよぅ…。」
「どうします?私がお顔拭きましょうか?」
「…大丈夫。ティア…できます…。」
濡らしたタオルを渡すが全く拭く気配はなく顔にタオルをあてただけで停止したティア。
「ぷっ!ティア様。全然動いてないっすよ(笑)激可愛っすよー♪」
「リオン口調。ある程度は流石に気をつけてください。」
「あ~…すみません。可愛くてつぃ。こー本音がポロっと。それにお嬢様もこっちの口調がいいっていってくれますし。他ではちゃんとするんで大丈夫っす!お嬢様がニコニコしてくれますし。かしこまると悲しそうな顔をみると無理っすよ。」
「…仕方ありませんね。ですが、崩しすぎてはいけません。あと外ではちゃんとしてください。」
「了解っす♪」
マリーがリオンを叱るがリオンはニコニコして受け流し、ティアをだすとマリーも強くは言えなくなる。ティアを悲しませるなんてアリウム家ではありえない。優先されるのはティアの笑顔と幸せである。固まってるティアラローズの代わりにリオンはささっと顔を拭く。
「マリー。服はこちらでよろしいですか?」
「ミントグリーンですね。はい。可愛らしくお嬢様にお似合いです。リボンは…」
「同じ色で大きさ別に持ってきました。」
「よろしい。」
今日のティアの服はミントグリーンベースで白をポイント使いしたのプリンセス型の部屋着ドレス。ミントグリーンのリボンは白のレースのものがいくつか持ってきてあった。
「お嬢様。おはようございます。」
「…ん。クロード…おはよぅ…。」
「今日はこちらのドレスでよろしいですか?」
「…ん。」
「(可愛ぃ…)」
ちらっと頑張って目を開け確認して頷くティア。だが、また目は閉じられてしまった。
「髪は私が。…お嬢様おはようございます。」
「…ん。ヘンリー…おはよぅ…。」
「今日はどうしましょうか。ふむ。」
「俺ツインがいいっす!」
「ハーフアップも捨てがたいですね。」
「あーっ!いいっすね!大きめなリボンでどうっすか?」
「それなら…こちらは?」
「こちらのリボンもいいですね。」
「どれも似合いますね。可愛らしい…。」
「選べないっす!無理っす!天使が妖精みたいになってるっ!!!」
っと周りが騒がしく鳴り出してやっとティアの目が開きだした。
「あ。目が開いてきましたよ?」
「お嬢様っ!どれがいいっすか?!」
「リボンがなかなか決まらないのですが…」
「こちらの3点までには絞りました。」
「…これ。(どうしよ…あまり違いがわかんない…)」
「わかりました。お付けします。」
結果、ティアが適当に選んだリボンに決まった。
鏡の前に移動すると…そこには天使にも妖精にもみえる幼女がいた。
「ん。(どうしよ。今日の私可愛い。この世界の私って何でこんな天使さんなの?私も眺める側がよかったよー。)」
ティアはしばらく鏡の前でくるくる自身を眺めコクコクと頷く。
そして、使用人達に振り返り…自分で可愛いって思ってしまったことに照れながら指をもじもじさせながらいつもと同じようにお礼を伝える。
「えっと…ね。ありがとう…なの。」
ティアにはそのつもりはないが皆の目を見るようにお礼を伝えるため自然と上目遣いである。もちろん使用人たちの心は一つであった。
「「「「(うちのお嬢様天使っ!!!いや今日妖精かっ?!)」」」」
リオン以前は丁寧に対応していましたが、実は素の話し方が違うことにティアが気がついてしまい、無理して丁寧に話されるのが嫌でリオンに口調を戻すようにお願いしたのであった。
なによりリオンのニコニコ笑顔にあの口調ってのが可愛くて「ティア…そっちのリオンのが好きだな…。あと、その方が嬉しいの。」っと言ってしまったのが決め手であり、周りの使用人たちも聞いており、ティアの両親にも伝わり許可が降りてるのであった。
ついでに、寝ぼけてるときのティアラローズは「私」ではなく、自分のことを「ティア」って言ってます。
ティアラローズは無意識なんでしょうが、これも使用人達からしたら可愛いポイントとされてます。