王都には天使がいる…とある平民の男視点
君影草「オリーブとの話で出てきた平民のとある男視点での話です。すこしいつもより短めです。」
俺は田舎から出てきた平民の男だ。俺の町では近くにハニービーが巣をよく作るために定期的にハチミツが入手出来る所に住んでいる。まぁ、田舎といえども他よりは大きめの町で冒険者ギルトがあるためにまぁまぁ栄えてる所だったが王都にきた時には驚いた。俺がいた町は王都とは比べ物にならないほどの田舎だったのだと実感したな。
俺の幼なじみも同じ村で育っていたが果物が大好きなやつで色々な果物食べたさに王国にでて果物のシロップを作り屋台を始めた。定期的にそいつにハチミツを持ってきてやってくるようになったのが俺が王都にいくようになったのがきっかけだった。ハチミツは町で売るより王都のが高く売れるからな。兄貴が定期的にハニービー狩りに参加する冒険者だったために俺は王国に売りにいくようになった。幼なじみに合うついでに安くそいつに売ってやる為でもあるがな。幼なじみのジュースの店はハチミツも使ってるし果物もけちることなく沢山使っているからか少し高い為に売れ行きは微妙だった。まぁ、保存が効くシロップで良かったからか赤字にはなっていないらしい。
久々にそいつにハチミツを届けに行った時には驚いたもんだ。常に客がきていて幼なじみの店のシロップは種類も増えていた。なによりも顔つきが変わっていた。すっげぇ幸せそうだな。彼女でもできたか?
夜に幼なじみの家に泊まり、理由を聞けば「天使が来たんだっ!!!」っと興奮しながら長々と話された。どうやら彼女ではなかったみたいだな。
話をまとめると王都には『幸運を運ぶ天使』がいるらしい。艶やかな銀色の髪に神秘的な金色の瞳、服は商家の娘の格好をしているが髪や瞳の魔力の色合いだけでなく所作は貴族のもので幼いながらに綺麗なのだとか。更には貴族のはずなのに傲った所はなく平民にも優しい。噂ではその子と同じ位の幼い子供が近くで転んだときには誰よりも早く駆けつけ手当てをするほど優しいらしい。
は?女の子が手当てだと?そんな子は平民にすらいねーよ。
平民の女の子でも貴族ほどじゃねぇが女の子が少ないからか甘やかされて育ち傲慢な女の子になる。だからか媚を売ってくる女の子は少ない為にそんな女の子で可愛いと言われるぐらいだ。まぁ、俺もそう思っているがな。キーキーうるさい女よりはすりすり寄ってきてくれる女の子のが可愛いってもんだ。まぁ、顔を選ぶか可愛さを選ぶ買って感じだよな。大概顔が良い平民ほど傲慢で顔が普通や悪いやつは媚をうってくる傾向にあるために、どちらも揃ってるやつは滅多にいねぇからモテる。
なのに女の子が自ら手当てだと?!しかも貴族と思われる女の子が平民の幼い子を手当てとか…その子も幼いが…いや、尚更天使だろ?!幼い時期とか一番甘やかされて当然の時期じゃねぇか!その時期は顔が悪い女の子ですら自分はお姫様みたいなように振る舞うんだぞ?!
はぁ、こいつが見たことがあるってことは夢じゃなく現実の女の子みたいだが、本当に人間か?天使か精霊が人間のふりをして紛れてる方が納得いきそうだ。
その天使がこいつの店に来て以来、こいつのジュースの屋台は人気店になったらしい。しかも少し会話をしたらしいが、丁寧に答えてくれるし、何よりも可愛くてやばいらしい。やばいってのが分からず問い詰めると、どうやら顔も天使の様に可愛くてかなりの美少女らしい。笑顔は強烈に可愛すぎて20歳なった幼なじみがしばらく幼女好きだったかと悩んだほどらしいが、よくよく冷静になり考えたらそういう対象ってよりは信仰対象の様な感じだと気がつき安堵したとか。流石に笑っちまった。いや、お前年上好きだろ…。そう突っ込んだがその子を見るとドキドキするし笑顔は忘れられないし、拝みたくなるとか…いや、生きてる人間を拝むなよ。聖女か何かか?いや、聖女もお伽噺の世界か。
その女の子は王都では『天使を見守る会』ってファングラブまであるらしく、その子が下町にいる時には柄の悪いやつらは近寄らせず、下手に下町の女の子を見せて天使が穢れてもいけないからと大丈夫そうな女の子以外は女性すらも近寄らせない徹底ぶりらしい。はじめはその子の護衛達がそうしていたから自然に下町のやつらもそうしだしたらしく、基本性格が良さげなおばさんやまぁ媚は売ってるが害はなさそうな女の子ぐらいしか近くに寄れないらしい。男より女のが近寄れないってどうなんだ?っと聞けば、「普通の男ならあの天使を害するわけないだろ!下町にこなくなったらどうするんだ!天使が見れなくなるんだぞ!あほかっ!俺達は天使に下町に来てもらえるようにちゃんと天使守らねばっ!」っと怒鳴られた。どうやら幼なじみも『天使を見守る会』のメンバーらしい。しかも、『天使が好む人気店』の名誉を貰ってると胸を張ってるが…なんだそれは…。
ついでに男からだけでなくおばさん達からも天使は人気らしい。理想の娘だとか。
そんなこんなで俺は今王都で一口カステラの店を出している。町ではハチミツを王都に運ぶ仕事をしてない時は一口カステラの屋台をしていたために一時的に王都で店をだしてみた。ついでに家はしばらくは幼なじみの家に邪魔してる。幼なじみは「家賃をいれてくれるなら助かる!なんならこのまま王都にきて一緒に住もうぜ!」っと行ってくれてるが…はぁ、客がこねぇ。場所は離れているが一口カステラの店は他にもありこの場所は端にあるために人もすくねぇ。ここしか空いてなかったからしかたねぇがこれはダメだな。場所も悪けりゃ値段もハチミツ使ってるから少し高くなるんだよな~…。はぁ。店の場所代の期限がきれたら田舎に帰るか。これならあっちのが儲かるわ。
「1袋もらえないかな?」
客か。っと見れば10歳ぐらいか?えっらいキレイな顔立ちの男の子供がいた。あ~…こりゃ貴族のお忍びってやつだな。
「はいよ!お?デートか?…えっらい…可愛い彼女だな。あれ?この子…」
隣を見ればすっげぇ可愛い女の子がいた。うゎ!人形見たいに可愛い子だな。隣の子供より顔整ってる美人じゃねぇか…あれ?この髪に瞳の色…あいつが言ってた…。って考えてっと目が合った女の子はにっこり笑った。
っ!!!!なんじゃこりゃ!うわ、うわ、うわ!可愛っ!!!笑ってないと現実味がない天使の人形みたいだったのが花咲く笑顔ってこの子の為の言葉だな。マジで周りに花が咲いて見えたわ。うわ~…可愛い、やっべ。頭の中、可愛いと天使しか出てこね~…はぁ、マジで可愛い…天使みてぇ。ずっと眺めていて~…。
やっべ。一瞬飛んでたわ。とりあえず慌ててカステラを袋に詰めて…。
「そ。デートなんです。彼女はこの一口カステラが好きなんです。」
まじかっ!天使は一口カステラが好きだと?!え?じゃぁ、この店してたはまた来てくれるってことか?味には自信があるから天使も気に入ってくれるはずだ。他よりも味が旨いのは確認済みだからなっ!
「お、おぉ。そう…なんですか。ありがと…う…ございます。」
うわ。やべっ。緊張する。はぁ、可愛っ。拝めねぇが頭はしっかりさげっぞ!なんとか頑張って声に出せば、天使はへにゃっと笑って男の子に手を引かれて行った。はぁ。また来てくれねぇかな…声聞けなかった…ぜってぇ可愛い声してっだろうな…。そんなこと考えてっと周りが騒がしくて天使から視線を離して前を見れば…
「はぁ?!」
なんじゃこりゃ!!!いつの間にこんな列がっ!!!くそっ!もっと天使がみてぇのにっ!!!ぬぉーーーーっ!!!これが『幸運を運ぶ天使』の効果か?!絶対あの子のことだよな?!すっげーな!
その日は材料切れになるまで列は途切れず、次の日もその翌日もある程度時間によっては列は途切れるが屋台として俺の人気店になっていった。場所が悪いし、値段は他よりも高いが食べてさえ貰えば味の良さは分かって貰えるし、値段も納得がいくもんで自信があるものではあったが…俺は天使に出会って生活は潤い変わっていった。
ついでに兄貴のハチミツを王都に持ってくるのは弟がするようになり、俺は王都で人気の屋台として生活するようになった。
天使の効果はその後何年たっても衰えることはなく、寧ろ天使が下町に来た時には必ず寄ってくれる為に『天使が好む人気店』の名誉をもらった。ついでにこの名誉を貰ったいくつかの店はずっと人気店である。
俺もその人気店の仲間入りをした。あぁ、俺ももちろん天使に会ったその日から『天使を見守る会』のメンバーになった。
ついでに教えてやるよ。天使はな、あれから下町にくるたびに色んな可愛らしい表情を見せてくれて、今では会話だってするさ。天使はマジで声まで天使だった。可愛くてやっべぇのなんの。しかもこの間なんて「私ね。この店の一口カステラ大好きなの♪いつも美味しいカステラありがとうございますっ♪また来ますね♪」だって…ぬぉーーーーっ!まじか!こっちこそありがとうございますっ!!!俺の一口カステラが大好き!くっ。生きてて良かった。この店してて良かった!勧めてくれた幼なじみにはマジで感謝だ。人気店になり大通りでしないかと声もかけられたが、ふざけんなっ!ここは俺と天使が初めて出会った場所だ!誰が譲るかよっ!!!俺の店がここになかったら天使が悲しむだろ!?
あの子が…あの天使が望む限り俺はここで店をしていくさ。あぁ、次はいつ来てくれるのかな。楽しみだ。
こうやってティアラローズの民への人気は幼い頃から既に広がっていた。ティアラローズが平民達にアリウム家の令嬢だということがばれて、もともと平民にも人気が高かったアリウム家の人気が更に上がっていくのはもう少し後のことであったとか。




