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ブラコン大事件…リチャード視点


君影草「リチャード視点はこの話で終わります。ただいつより長いです。」



 朝早くからフリージアと共に王城についたリチャードはウィリアムの執務室に急いで入った。ウィリアムとは現国王であり、リチャードの幼馴染みだ。

 ついでにフリージアはリリア王妃の元に向かった。リリアは元平民だが、ウィリアムと結婚するためにライラック辺境伯に幼い時に養子に入り、フリージアとは仲の良い姉妹である。その為、リリアはウィリアムにとってリチャードと同じく幼馴染みである。

 


「びっくりした…ノックぐらいしたらどうなんだ。」


 突然入ってきたリチャードに苦笑いをしながら話すウィリアムだが、リチャードはキョロキョロと辺りを見渡す。そんなリチャードの奇妙な様子に首をかしげる。


「なにかあったのか?」

「フレデリックは?どこだ?」

「フレッドか?あいつなら昨日から隣国の外交の為にちょっと行って貰った。早くて1週間は帰ってけないぞ?…用事か?」

「…いや。」


 それを聞き脱力したようにソファーに座り込む。はぁぁぁぁ。深いため息を吐いているとウィリアムが前のソファーに移動してきた。そして執事を呼び、お茶の準備を指示する。


「すまないが、人払いを頼む。」

「…わかった。」


 お茶が来た後には人払いの指示をだし、部屋はウィリアムとリチャードの2人となった。ついでにカギもかけて、盗聴防止の魔道具を起動する。リチャードは頭を抱え、再び深いため息を吐く。


「何があった。」

「…ティアラローズが…悪役令嬢かもしれない。」

「はぁ?!ちょっと待てどういうことだ?!」


 びっくりしたウィリアムが声をあげる。が、リチャードは頭を抱えたまま話し出す。


「ティアは転生者なんだ。ただ、前世の記憶はあまりないらしい。好きだったことぐらいで、ティアの前世好きだったのは本…小説らしい。」


 ポカーンと口を開けたまま固まるウィリアムは放置で話を続ける。


「その小説の中で、ティアは全攻略対象での悪役らしい。ヒロインはカンナ・クローバーらしい。」

「クローバー…男爵家は…確か女の子がいたな。その子がヒロインなのか?」

「みたいだな…。攻略対象はお前の息子のアルフレッドに私の息子のエドワードもだ。」

「なにっ!エドワードもか?!」

「それだけじゃない。オリーブ・デルフィニウム。レオナルド・ジャスミン。ルーファス・クロッカスだ。」

「まてまてまてっ!アルフレッドの側近全員じゃないか?!はぁ?!」


 ついにはウィリアムまで頭を抱える。


「いや…それも問題だが、殿下に関してはリリアとティアの影響かいまはそこまで問題では…ないはずだ。」

「どういうことだ?」

「小説では殿下…いや、アルフレッドはバカだ。」

「…はぁ?」


 顔をあげると口を開け固まってるウィリアムが目に入った。まぁ、気持ちはわかるぞ。


「ティアラローズと小さい時から婚約していながら、交流は最低限。むしろ嫌っていたみたいだな。勉強もサボる俺様バカ王子だ。ティアラローズがヒロインと仲良くするのを注意しても邪険にして、全く聞く耳持たず、卒業式前には王族でありながら性行為まで済ませてる。」

「はぁぁぁああああ?!まてまてまて!ほんとか?!」

「あぁ。」

「ちょっと待て、ではあやつは国王にならないのか?!この国で国王になるものは結婚するまで最後までの性行為は禁止だぞ?!王妃も処女ではなくてはならない。まぁ、この国の場合は貴族までそこまで厳しくないが…国王と王妃は別だぞ?!」

「それが…王子はアルフレッドだけらしい。」

「…。」


 顔を真っ青に固まるウィリアムを見るが…はぁ。そうなるよな。だが、問題はこれからなんだよな…。


「ただな。これ以上に問題がある。」

「…なんだ…これ以上なにがあるんだ…。」

「フレデリックがこの件に関わっているみたいだ。」

「…フレッドがか?ありえないだろ。」

「とりあえず今フレデリックがいなくてよかった。念のために早急に調べるぞ。」

「…フレデリックについて調べるのか?」


 苦虫を噛み潰したような顔をするウィリアム。だが、まずはそこじゃない。


「いや…調べるのはフレデリックから貰ってるリリアに良いって行っていたお茶だ。」

「あれか?あれはただの魔力増加の効力のある茶葉だぞ?」

「…ティアの話ではそれにもしかしたら魔力で育てられた薬草が混ざっているかも知れん。」

「…どういうことだ?」

「フレデリックが自ら魔力で育てた薬草が混ぜた特別仕様らしい。」

「…。」

「あと話では、アルフレッドとの会話の中で幼い頃から壊れていないか気にしている魔道具があるらしい。」

「…魔道具。」

「確かあっただろ?私は見たことないかがお前から聞いた事がある気がするんだ。その魔道具は、綺麗な湖と花畑の映像を写し出すものらしいぞ。」


 もはやウィリアムは真っ青を通り越して真っ白な顔色になっている。


「あ…あれは、アルフレッドが産まれた時に祝いで貰ったものだ…それに茶葉もあの後から…魔力が増えるから実が定着しやすくなる茶葉だったはずだ…。」

「その茶葉は調べたのか?」

「確か…初めて貰った時のみ産後にリリーが飲んで大丈夫か調べて貰うのに見てもらったときのみだ…。」

「じゃぁその後から薬草を混ぜたものを渡しだしても分からないんだな。薬草によっては処理すると人間には無味無臭のものもあるからな。」

「…あぁ。」


 真っ白で固まったままのウィリアムの頭をリチャードは立ち上がりながら叩く。


「しっかりしろっ!このブラコンがっ!まだ確定ではないんだ。とりあえずフレデリックもいないし急いで調べるぞっ!リリアにも茶葉を口にしないように言わなきゃだろ?!」

「っ!!!そうだ…。」

「茶葉もだか、魔道具も研究所に持ってくぞっ!もしリリアの身体に負担がかかるものだったらどうする!」

「あぁ。そうだな…そうだ。調べてなにもでないかも知れないしな。」

「あぁ、とりあえず内密に調べるぞ。今セバスをフリージアと共にリリアのとこに行ってもらってる。人間には分からなくても獣人には臭いが分かる場合もあるからな。」


 盗聴防止魔道具を切り、急いでフリージアの元へ行く。フリージアなら私達がくるのも考えて私も入れるいつものサロンにいるだろう…と。







 サロンに着くと既に人払いはされていて、真っ青な顔のフリージアとリリアがいた。部屋にはすでに盗聴防止魔道具が作動しており、机にはリリアが愛用していたフレデリックからの茶葉とそのお茶が準備されている。ティアの言っていた魔道具もあるな。くそっ!この様子なら茶葉はアウトかっ!


「セバス。」

「はっ。確認しました。私の鼻でも僅かな香りですが薬草の臭いがします。種類は魔力操作を高めるもので…薬草からは闇魔法の魔力を僅かに感じます。たぶん魔力を乱すものかと。昔、その魔法にかかったことがあるので確かかと。」

「はぁ…わかった。」


 セバスチャンは報告を済ませるとフリージアの後ろに戻った。リリアはウィリアムに背中を撫でられながらも何とかソファーに座っている感じだ。リチャードはフリージアの隣に座り、リリアに話しかける。


「リリア様…いや。リリアすまないが、こっちでいいか?こっちも余裕がなくてな。」

「人払いも魔道具してますから大丈夫よ。それどころじゃない状況ですから。」

「あぁ。すまないがこの茶葉はもう口にするな。」

「はい。まかさフレデリック様からの茶葉に薬草が混ぜられているなんて…。」


 ん?まさか…まだ話してないのか?チラリとフリージアを見ると苦笑いをされる。


「あまりにも取り乱されたのでまだ話せていませんゎ。」

「…あぁ…なるほどね。」

「どうしたの?」


 状況が分かっていないリリアにリチャードはウィリアムにした話と更に前日のティアの話を詳しく説明した。


「…では、フレデリック様に罪を被せる為に茶葉に薬草を混ぜたのではなくフレデリック様自身が混ぜたものなの?!」

「ティアからの話だとそうだな。あとこの茶葉だけでは子供が出来ないほどの魔力を乱すことはないだろう。ティアの話から予想するとこの魔道具が関係してるはずだ。とりあえずこれはすぐに研究所で調べるぞ。」

「わかった。私はとりあえずこのお茶はやめるゎ。」


 淡々と話し出すリリアにウィリアムは絶句する。


「っ!ちょっ!ちょっと待てっ!リリアなんでそんな簡単に受け入れてるんだ?!」


 取り乱すウィリアムにリリアはため息をつく。


「ウィ~ルっ!いい加減にしなさい!このブラコン男がっ!!!状況をみなさい状況をっ!!!」


 バシンッ!!!と良い音が部屋に響いた…リリアにウィリアムが扇子で叩かれた音である。おぉ、いつの間に扇子が…。


「だって…あの可愛いフレッドがそんなことを…。」

「はぁ。いい?!昔から言ってたけどフレデリック様は少し変だからねっ!なんか時々違和感があるっていってたでしょ?!」

「でも、今まで何もなかったじゃないか…。」

「私と結婚するときにフレデリック様だけはギリギリまで反対してたのを忘れたの?」

「いや…あれは結婚を反対じゃないだろ。」

「私は一夫一妻を願ってるのにしつこく付きまとって、フレデリック様も私の夫にって大変だったじゃないっ!!!」

「いや…だがその案は無くなっただろ?!」

「はぁ、そもそもフレデリック様は私を好きって感じではなかったの。」

「え?そうなのか?」

「えぇ、しつこいわりに恋愛感情は向けられてなかったのよ。セリフはくっさいけどね!それに昔に「君は本当はウィリアムではなく私の結ばれる運命なのですよ。マリアがそう言っていたんだ。」って。」

「「「えっ?!」」」


 セバス以外の皆が驚く。セバスも驚いてるかも知れないが顔にも声にもでていない。


「ちょっとまて!マリアってあの意味不明な男爵令嬢だろ?!」

「そうよ?あの転生ヒロインの元平民よ。言ってたでしょ?下町でウィリアムが出会うのは私ではなく、本来ヒロインであるあの子。私は学園にいたモブよ。私はその乙女ゲームを知らないけどね。あの子の話だとウィリアムと下町で出会い、学園で久々の再会。仲良くなって卒業式前には公爵家に養子になり結婚だったかしら?」

「…。」

「で、確か私はフレデリックルートで出てくるバットエンドでフレデリックが結婚する女だったかしら?顔は後ろ姿だったから知らないけど髪の色がそうだとか言っていたゎ。」

「…え?なんで、今さらそんなことを?なんでその時言ってくれなかったんだ???」


 ウィリアムはポカンとしたまま首を傾げる。リリアは呆れたようにため息をつく。


「私話したわよ。でもあなたフレデリック様の事になるとポンコツじゃない。それに都合が悪いことだったりしたらすぐ忘れるじゃない。お人好しで忘れっぽくて…あなたが国王でいられるのもリチャード達が助けてくれるからでしょ。能力的にはフレデリック様の方が相応しいって声は昔からあったじゃない。…ん?ってことは…。」


 考えるように黙り込んだリリアだったが…。私もまさかの答えに行き着く。


「おい。リリア…まさか…。」

「…きっと、そのまさかね。」


 お互いにリリアとリチャードが視線を合わせて頷いてるとフリージアまでもがその答えにいきつく。わかっていないのはウィリアムだけだ。


「…ねぇ、リリア、リチャード様…まさかフレデリック様は昔から国王としての実権を握りたがっていた。ってことかしら?」

「たぶんな。」

「そうでしょうね。」

「っ!!!なんでだ?!」


 ウィリアム以外の皆ため息をつく。とうとうセバスチャンまでもがため息をついていた。


「いい?!ポンコツ国王。ない頭を働かせなさい。」

「え?酷くない?」

「フレデリック様は…もうフレデリックでいいわ。昔からフレデリックは好きでもない私の夫になろうとした。私が国王の妻だったからじゃない?あと、マリアの言う通り私がバッドエンドで妻になるのなら落とせると踏んだが、それは失敗した。そして、普通なら結婚して臣下に下るのをずっと拒否して大公として王城にいる。更には今私を妊娠出来ないようにしてアルフレッド以外の子供を作らないようにし、ウィリアムに似てポンコツであったアルフレッドを裏から操り実権を握ろうとしていた。」

「ん?アルフレッドは優秀だろ??」

「っ!それは私達があなたを叱って、あなたがアルフレッドを叱ったからでしょ?!あれがなかったら間違いなく我儘な俺様な子に育ってたわよ!!!」

「…そうか??」


 これは…リリアの言う通りポンコツだな。バカだとは思っていたがそれ以上だったか。


「ウィリアム。あの時のアルフレッドはエドワードと同い年なのに酷かったぞ。忘れたのか?我儘だし勉強はしない。マナーもダメ。あのあと見直ししたらアルフレッドに仕えていた執事達はアルフレッドを甘やかし、気に入られようと媚を売る奴らばかりだっただろ?!」

「…あ~…そうだったな。」

「あの後あいつらを解雇してちゃんとしたやつらに変えたからアルフレッドは今まともに…おい。リリア。あいつら確か…。」

「…元々フレデリックが選んでウィリアムが指示して付けていた執事よ。」


 おぃおぃ。これはティアの話の通りかもな。


「なるほどね。元々フレデリックは国王としての座を狙っていた。第一王子が学園で問題を犯せば第二王子であるフレデリックが国王になっていた。元々は今よりもポンコツだったのを私達が支えて何とかなって、更にはヒロインからのシナリオにも外れて私と婚約していて、無事私と結婚。ウィリアムが国王に。…もしかしたら恒例となってる第一王子の試練…ヒロインってのでウィルが潰れるのを狙っていたとか?…今までも歴史には潰れた第一王子もいた。無能はほぼ潰れてたし、有能なものもダメになったケースもあったはず。でも、ポンコツだったウィリアムが国王になった。その為焦って私に接触するが夫には慣れなかった。そして、今は臣下にも下らず大公としてウィリアムを支えたいからと独身を貫き側にいる。」

「しかも、元々あの方は子供嫌いだ。なら別に結婚して子供を作る理由もない。それに学園ではヒロインと接触していた。だが、フレデリック様も攻略対象だった。」

「確かフレデリックのルート…は…なんていってたかしら?「ウィリアムはキャラが違う」とか「リチャードも落とせないから逆ハーレムは無理だ」とか、「フリージアもいい子で悪役令嬢じゃない。ちゃんとやりなさいよ」とか叫んでたのは覚えてるんだけど…。」


 ウィリアムは放置で頭を悩ますリリア、リチャードにフリージア。


「あ。あれかしら?「フレッドにのみ絞れば良かったわ!そしたら王妃だったわ!」って言ってた時の…」

「でも、フレデリックのみに絞ったとしてもウィルが居たら国王にはなれない…ねぇ?ウィル。」


 いきなり低い声で呼び掛けられたウィリアムはビクッ!っと固まる。


「お…おぅ。…なんだ??」

「もし、私と出会わなくてそこら辺の令嬢と政略結婚していたら…国王になってた?」

「え?なんだ、そんなことか。ん~…リリーと出会うまでは国王になりたくなかったがまぁ、何もなければなってたとおもうぞ?」

「…もし、あなたが大好きな可愛い可愛いフレデリックから「私が国王になりたい。譲ってくれないか?」って言われたら?」

「もちろん譲ったさ♪フレッドのが優秀だし、フレッドからの頼みだからなっ!でも譲らなかったぞ?リリーだけを娶るには国王じゃなきゃ無理だからな♪」


 どや顔で胸を叩き威張るウィリアムをみて、皆ため息をつく。なんで、このポンコツが国王なんだ…。


「ウィ~ル~?言われてたんじゃない!!!フレデリックは国王狙ってたの確定じゃないのよ!!!」

「え?!でも、いてっ!断って笑ってたぞ?いっ、冗談だったんじゃ…。いたっ!叩くなっ!いっ!!」

「フレデリック様がそんな冗談言う性格ではないだろ。はぁ~…。」

「リチャード様いつもご苦労様ですわ。」


 ウィリアムの頭を扇子でペシペシ叩くリリア。頭を抱えるリチャードはフリージアに日々の苦労を労われていた。


「ウィルはほっときましょ。魔道具は早急に調べ、薬草の魔力も調べましょう。」

「あぁ、さっさと終わらせるぞ。」

「そうですわね。」


 と、ウィリアムを再び放置して調査を開始した。




 


 ウィリアム、リリア、フリージア、リチャードは幼い時からの幼馴染みである。そして、ウィリアムはリリアをリリーと呼び、リリアはウィリアムをウィルと呼びます。

 

 昔からお人好しでおバカなウィリアムをリリアが支えるようになります。知り合った頃はここまでおバカなとは知らず格好付けていたウィリアムに惚れた。が、そのうち絆されて、おバカなウィリアムも好きになる。

 お人好しでおバカだが根がいいウィリアムなのであった。

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