異世界転生したらしい
残業続きの中、やっと仕事が一段落して明日から2日も休み。くたくたでフラフラしながらもなんとかアパートに帰宅した。
(あぁ…つかれたぁー。眠たい…とりあえずゆっくり寝たいよ…。)
っと、シャワーもご飯も食べる元気もなくベットに倒れ込んだ。そして…目が覚めたら真っ暗な温かい所にいた。
(あれ~?よく寝たと思ったけど…ここは夢の中なのかな?…まっいっかー。真っ暗だしポカポカ温かいし…とりあえずまだ寝たい。ゆっくり寝たいよ~。)
っと夢だと思いながら夢の中で寝た。どんだけ寝るんだ?!ってほどゆっくりぐっすり眠れた。
そして、何度寝ても起きても真っ暗だった。
(仕事大丈夫かな…結構寝た気がするけどまだ夢の中?いやいやいやいや…だとしたらどんだけ寝てんだよ!いっつも真っ暗で…もしかして…私死んでるとか?あぁ。過労死か…まともに食べれず寝れずの生活だったもんね。ぽっくりいっちゃうのも仕方ないか。)
とりあえず、することが無いので現状を考えることにした。
(死んだとしてもベッドだったし、痛みもなかったからまだマシかなー。親はいるけど就職してから連絡もとってないし、愛情とかもなく放置されてたし。仕事も私が居ないならいないで何とかするだろうし。よしよし!大丈夫だ!とりあえず真っ暗なここはなにかないのかな~♪)
ペタペタ…ペタペタ…ペタペタ…。
とりあえず何となく体は動くけど上手く動かないことがわかった。そしてすぐ目の前には壁があった。手足を曲げたり伸ばしたり転がるようにだが動けることがわかった。
ペタペタ…グルグル…ペタペタ…ゲシゲシ…
(???あれ~???)
グルグル…ゲシゲシ…ペタペタ…グルグル…。
(…ふむ。どうやらどれだけ回っても壁ってことはわかったよ!…えぇぇぇぇ!!!!何もないっっっっ!!!!)
そして、叫んだつもりだったが声が出てないこともわかってしまった。
(まじですかぁ~…これは流石にないわぁ。死んだとして生まれ変わったとしても周りに何もなく、声も出ないとかないよぉ~…ふぇ~…。生まれ変わったら人じゃなかったとか?でも壁に囲まれてなにも出来ないとか…ないないない。)
ショックで凹んでしまう。そして、声も出ないし泣いてるつもりだが涙が出てるかわかんない状態である。
(生まれ変わったら壁に閉じ込められてるってあり?!せっかく生まれ変わるなら異世界転生して冒険したり乙女ゲームの世界でした!じゃないの???もしかして手足動くけど人じゃないとか?でもスライムとかのモンスター系でもなく壁に囲まれてるって詰んでない?!)
そう。私はそういうファンタジーな物語が好きだった。最近は携帯でも読めるから帰宅中の電車とか休みでも疲れて遊ぶ元気もないから読むのが好きだった。
ゲームもまぁまぁ好きだけど時間がなくて乙女ゲームの小説とかみた時にゲームも気になってネットでチラチラ~っと調べたりするぐらいだったけどね。
することなくて沢山寝ていたし、実はお腹も減らなくて、温かいし居心地はまぁ良いが壁に囲まれた真っ暗な世界とは…。
そして、更にあることに気がついた。
(あれ?私働いてたけど仕事何してた??思い出せないって…。名前は…?んー、確か水城薫…みずしろ…かおり…だよね??確か22歳。うん。これはわかる。ファンタジー系の物語が好きなのもわかる。見た目は普通で胸はあったけど痩せてるってわけでもなくデブってわけでもなく地味な感じで普通って感じだった。料理や掃除とかはまぁ普通にできるけどこの状態では役にたたないよね~。)
うん。壁に囲まれてて寝るしか出来ないから意味ない知識であった。
ぐにゃ…
(ん?)
ぐにゃぐにゃ…
(んん?!)
ぐにゃぐにゃぐにゃ…
(え?!ちょっ!ちょっとまって!なんで壁が動いてるの?!今までこんなことなかったよね?!)
ぐにゃぐにゃ…ぐにぐに…ぐにゃぐにゃ…
(ぎゃーーーっっっ!!!待って!潰れちゃう!!逃げなきゃっ!何か押されてるよ~っ!ふぇ…待って…狭いよ~。)
押し寄せる壁から逃げるように潰されないように頑張って逃げるが狭い…今まで壁に囲まれてたのに…狭くてぐにぐにと軽く押し潰されながらぐにゃぐにゃ移動させられてる気がする。
(ふぇ~…誰か助けて~…痛くはないけど苦しいよ…。)
ぐにゃぐにゃ…ぐにぐに…
(ん?…何か声がする?音も??)
ぐにぐに…ぐにゃぐにゃ…
(おぉ?!するする!!!何か聞こえるよっ!?がんばれ私!声がするほうに頑張れー!!!)
ぐにぐに…ぐにゃぐにゃ…
「おぎゃーっ!おぎゃーっ!(やったー!でれたー!)」
「奥様!産まれましたっ!元気な女の子ですっ!女の子ですよっ!!!」
(ん?産まれました?んん?誰かに抱かれてる?そして、誰かにまた抱かれた??)
「…あら?!…ほんとだゎ。女の子…可愛いゎ♪」
「体は大丈夫か?!」
「大丈夫ですゎ。疲れましたが…元気に産まれてくれて良かったゎ…。」
「良かった…お疲れ様。女の子…凄いぞ!本当に女の子だっ!ありがとう。頑張ってくれて…産んでくれて…ありがとうっ!」
「ふふふ。どういたしまして♪ママですよ♪」
「おぉ!目が開いた!綺麗な瞳だっ!パパだぞっ!ぬぉーっ!!!可愛いっ!女の子だぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」
目を開けたら…綺麗な女性に抱っこされてた。隣には綺麗な男性…ただし号泣している。せっかくのイケメンが台無しである。
「おぎゃ?(産まれた?ってことは…?)」
ふむ、生まれ変わって転生して壁に囲まれてたとおもったが…どうやら産まれてすらなかったらしい。
肉体的疲労と精神的疲労(更に綺麗な女性とイケメンの眩しさ)に私は目を閉じ…そのまま眠りに誘われた。
「あら?寝ちゃったゎ♪」
「あぁ。もっと瞳を見ていたかったが…疲れたんだね。ゆっくりおやすみ。」
「ふふふ。みて?綺麗な銀の髪の毛…あなたの魔力は髪にでてるゎ♪」
「瞳は君の魔力だったね。綺麗な金だ。」
そう話してる声を聞きながら…。どうやら私は魔力のある世界…異世界に転生したらしい。
ぐぅ。