第一章登場人物・用語紹介
●プリムラ・シフォーディ
性別:女
年齢:16歳
身長:156cm
所持アニマ:ガラテア、ヘスティア
黒髪ロングの非常におとなしそうな少女。
体つきは女性らしく丸みを帯びており、あまり運動が得意そうには見えない。
5年前、母アヤメが父ラートゥスと兄クラース、そして母の兄夫婦――つまり叔父と叔母を殺し、直後に自殺したことで人生の全てが狂う。
報道のせいでコロニー全体がプリムラを“加害者”として扱い、預けられた親戚にも虐げられた。
その後、15歳になったプリムラは、父から受け継いだ高い適正値のおかげで、操者養成機関アスタリフト――通称“学園”に入学。
太古に存在した魔術師の魂“アニマ”を得ることで、異形の怪物“フォークロア”と戦うための力“ドール”を操縦できるはずだったのだが、彼女が得たのは正体不明の、何の力もないアニマだった。
そして1年間、ドールの訓練もできず学園で過ごしたプリムラは、ついに退学を言い渡され、そのついでに殺されかける。
その時、プリムラのアニマが弾け、彼女は邪悪なる魔術師“ガラテア”の力と残虐性を得た。
ドールの操縦もできるようになったプリムラは、その力で数多のフォークロアを撃破。
さらには襲いかかってきたザッシュも残虐に撃破し、彼のアニマである“ヘスティア”を奪うことに成功した。
○アニマ・ガラテア
本来、ドールとは操者と契約したアニマの性質を具現化したものであり、操者にその形や性質、武装を決めることはできない。
アニマとは“偉大な功績を残した魔術師”の魂だが、ガラテアは未来に転生し自らの知識欲を満たすため、自らの魂を皮膜で覆い、あたかも“アニマ”であるかのように偽装した。
だがその方法は完全ではなく、プリムラが追い詰められ、皮膜が割れて弾けるまで魔力を扱うことすらできなかった。
また、弾けた後もその挙動は他のアニマとは異なる。
通常、アニマは魂に刻まれた“偉大な功績”を動力源とし、ドールを動かす。
すなわち“都市伝説”や“噂”を動力源に動くフォークロアと同様の理屈である。
しかしガラテア、現在アニマとして存在しているわけではない。
プリムラにかつてガラテア自身が所持していた魔力と残虐性を与え、弾けて消えてしまった。
つまりプリムラは、“自身の魂”と“アニマ”、二つの魂を保持する他の操者と異なり、“魔力を得たプリムラの魂”一つだけが存在している状態である。
また、ガラテアの記憶も一部引き継いでいるため、彼女が過去に使っていた魔術そのものを生身で扱うことができる。
○ドール・ガラテア
ドールは本来、アニマの元となった魔術師が遺した“偉大な功績”をベースに形を変える。
しかしガラテアにそれは存在しないため、“アニマの入っていないドール”、すなわち“ブランクドール”と見た目は同じである。
プリムラが魔力を自由に扱えるため、ドール・ガラテアは彼女の意思によって自由自在に形を変えることができる。
撃破したフォークロアの残骸を武器に変えたり、腕を変形させて“弓”など、新たな武装を作りだすことも可能。
○ガラテア・モード賢者
ガラテアの生前の記憶に合わせ、ドールの形状を変えた姿。
オリハルコンを自在に操れる能力を利用し、1からプリムラが作り上げたドール。
機体色は赤。頭部の両側からはアンテナが二本突き出し、また細身の体や尖った爪など、全体的に“悪魔”を思わせる姿をしている。
背中には魔法陣が浮かび上がっており、加速、上昇、耐久など用途によって機体性能と陣の色が変わる。
・武装
スペルキャスター
腕部に装着された、最大3段階まで魔術に加速・増幅等の効果を付与できる魔術装置。
・魔術
身勝手な許容
他者に自分の適応指数の一部を分け与える魔術。
契約の書き換え
他者の契約を書き換え、アニマを与えたり、奪ったりできる魔術。
●ザッシュ・エディアン
性別:男
年齢:16歳
身長:173cm
所持アニマ:ヘスティア
クラスC、序列19位。
プリムラと同学年で、昔から彼女をいじめていた金髪の男子。
完全にプリムラを見下していたが、ガラテアの力を得た彼女に完全敗北。
アニマ・ヘスティアを奪われた挙句に、重傷を負う。
○アニマ・ヘスティア
ザッシュと契約していたアニマ。
髪は茶色。子供にしか見えないほど背は小さいが、胸は大きい。
ザッシュは適性指数が200も無いため自由に動くことはできなかったが、身勝手な許容によって意思を持つ。
普段から粗暴な行動が目立つ上に、悪びれもせずにプリムラを殺そうとしたザッシュに愛想を尽かし、プリムラと“再契約”を行い彼女のアニマとなった。
非常に面倒見がよく、太古の時代では何人もの男性に言い寄られていたらしいが、特定の相手は居なかった模様。
○ドール・ヘスティア
ザッシュの操るドール。
機体色は灰色。
ヘスティアの逸話通り、主に炎を用いた武装を多く搭載している。
一方でザッシュの深層心理を反映した特殊能力もある。
・特殊能力
虚勢こそが真なり
直前に起きた現象の結果を自由に変えることができる。
ただし消耗が激しく、発生する熱量の関係上、連発はできない。
・武装
フランベルグ
炎をまとった剣。いくらでも生み出せる。
ファミリアバード
炎の鳥を射出する。
鳥は相手をどこまでも追尾しつづける。
サーヴァント・リクトール
炎の巨人が現れ、自律した動きでヘスティアをサポートする。
●アリウム・ルビーローズ
性別:女
年齢:16歳
身長:165cm
所持アニマ:テミス
クラスC、序列1位。
1年生最高順位を誇る優等生。
髪は肩まで伸びた青。スタイルが良く、モデルのような体型。
目つきは鋭く、どこか“騎士”を思わせる姿をしている。
プリムラとはいとこ同士で、同時に幼馴染の親友でもあった。
しかし、プリムラの親が自分の両親を殺したという事実、そして眼の前で虐げられるプリムラを見捨てるという出来事を経て、関係は断絶。
以降、今日に至るまで他人として過ごしてきた。
ただし、10年以上親友として過ごしてきた日々の記憶は消えず、互いに心のどこかで相手を気にしてはいたらしい。
それゆえに、“実はプリムラが5年前の事件に関与していた”という話を聞いたときは、『裏切られた』と思い込み激昂。
また、それが嘘とわかると、強い罪悪感に苛まれる。
全体的に、プリムラが絡むと精神的に不安定になる部分があるようだ。
○ドール・テミス
片手に槍、片手に盾を持った、騎士のような姿をした水色のドール。
●クリフ・ヴォルビート
性別:男
年齢:33歳
身長:175cm
クラスCを受け持つ教員の一人。
ザッシュとは仲がよく、プリムラへの暴行も見て見ぬふりをしていた。
●ボタン・テュリーパ
性別:女
年齢:24歳
身長:159cm
クラスCを受け持つ教員の一人。
どうやら5年前の事件について何か知っているようで、プリムラのことを気にかけている。
■用語解説
・魔術
太古の時代、人の魂に宿っていた“魔力”と呼ばれるエネルギーを使い、現実を改変する能力。
・魔術師
魔術を生業とし、その研究を行った人々。
・アニマ
過去に功績を残した魔術師の魂を、“世界”は記録用に保存している。
デルフィニア・インダストリーの開発した装置によってその“領域”に干渉し、強引にこの世界に引き出し、保管したもの。
・操者
人一人分の魂の大きさを100とした時、自分の中にある“魂の保管領域”が一定数値以上ある者。
つまり、自分の保管領域に、自分の魂と“アニマ”を保有できる者のこと。
・適性指数
魂一つ分を100として、魂の保管領域がどれだけ存在するかを示す数値。
120あれば一応操者にはなれる。
操者全体での平均値は135。150を超えると才能あり。
・シナプスネットワーク
大気中に散布されるナノマシンが作り上げる、完全無線、端末不要のネットワーク。
かつて、とある反社会的な研究団体によって“人類に自由をもたらす”ために散布された。
・オリハルコン
平行世界で発見された、人の勘定によって形を変え、人間の能力を大幅に向上させる金属。
本来は緑色の結晶体で、あらゆる物質、生物を飲み込み同じ結晶体に変えてしまう危険な物体だった。
しかし、シナプスネットワークの要であるナノマシンと結合することにより、その特性は変化し、“人の感情を動かすもの”に反応する性質に変わった。
また、生物を同化する性質も消えたため、人類は“ドール”と呼ばれる機動兵器を開発するなど、オリハルコンを積極的に活用しはじめた。
だがナノマシンとの結合により、フォークロアと呼ばれる化物を生み出すことにもなった。
・ドール
オリハルコンで作られた機械人形。
それ自体に動力源は入っておらず、アニマと契約した操者が搭乗することではじめて動く。
・フォークロア
オリハルコンで出来た、都市伝説の具現体。
理論上はドールとほぼ同一のものであり、人の噂話がネット上に存在する限り、無限に生まれ続ける。
・コロニー
フォークロアの増殖により、住処を失った人間が逃げ込んだ、ドーム状の障壁に包まれた都市。
・ロクス・アモエヌス
コロニー軍が所持する、ドール数十体を搭載可能な戦艦。
主にフォークロア討伐のために使用される。
・学園
正式名称は、操者養成機関アスタリフト。
3年制の学校で、普通の高等学校と同じく一般教養を教える傍ら、ドールの操縦方法やフォークロアの対処方法なども教えている。
学園に入った時点で実質プロの操者という扱いとなり、給料も発生する。
コロニーの中において最上級のエリートであり、誰もが憧れる存在。