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003 転生賢者は転生できませんでした

 



「ゴミだな」


 短髪の女――ガラテアは、ベッドに全裸で横たわる男性を見て、そう吐き捨てた。

 男の腹は生きたまま開かれており、恐怖する彼の感情の抑揚に合わせるように脈動している。

 ガラテアも鬼ではない、ちゃんと痛覚は麻痺させてある。

 しかし彼女には、傷口を縫い合わせて生かして帰すつもりもなかった。

 そんなことすれば、自分が顔も知らないこの男を拉致し、実験に使おうとしたことがバレてしまうからだ。


 ガラテアという“魔術師”が生きていたのは、プリムラの時代から数十億年前――いわゆる“神話の時代”と呼ばれる頃のことだった。

 科学ではなく、魔術という不可思議な“現実改変能力”で文明が発展した時代である。

 後世で神と呼ばれた存在のうちの多くは、実際のところ非常に優秀な魔術師だったと、現在の研究で判明していた。


 さて、魔術とは、魔力を用いて現実を書き換える能力のことだ。

 魔力を生成する器官は魂魄に存在する。

 だが科学の発展とともに、人類は一部の天才にしか扱えない魔力を必要としなくなり、退化して失われてしまった。

 火をつけるだけでも、煩雑な計算が必要になるのだ。

 切り捨てたのは、種として当然の判断と言える。

 だが、扱える人間にとっては、これほどに便利な力は他にない。


 ガラテアもまた、同じ時代を生きたゼウスやヘスティア、テミスなどと同格の力をもった、優秀な魔術師であった。

 だが、彼女は少し、他の魔術師とは違う部分がある。

 “魔術”を、他者を助けたり、世を変えるために使おうとはしなかったのだ。

 徹頭徹尾、ひたすらに自らの知識を満たし、力を向上することだけに使い、表舞台に姿を現すことはなかった。

 ゆえにガラテアは、自身が持つ膨大な力に反比例するかのように、知名度が低い。

 もっとも、彼女に関する記録が残されていないのには、実はもうひとつ別の理由があって――


「人体の探求も、大した暇つぶしにならねえ」


 ガラテアは魔術を使い、横たわる男を生きたまま焼きながら、退屈そうに言った。

 男は叫ぶ間もなく息絶え灰になる。

 超高温の炎による焼却処分により、彼女の実験の犠牲になった二百人を超える人々は、死体すら見つかることがなかった。

 だが、それだけの人間がいなくなれば当然騒ぎにはなるし、怪しげな研究を繰り返すガラテアに疑惑の目が集中するのも当然のことだ。


「さて、次は何を暴くかねえ。もうこの世界には、私を満たす“未知”が残っていないようにしか思えないんだが」


 疑惑が確信に変わり、人々がガラテアを“人殺し”と罵りはじめても、彼女はマイペースを崩さない。

 ひたすら研究室にこもり、研究と探究を続けた。

 たちの悪いことに、外見だけはまともだった彼女は、男女問わずによくモテた。

 疑いの目が向けられても、味方をしてくれる愚か者たちが、勝手に時間稼ぎをしてくれたのである。


 だがもちろん、そんな日々がいつまでも続くはずもなく――やがてガラテアは捕らえられ、処刑されることとなった。

 彼女が殺した人間たちと同じ、骨すらも残らぬ高温の炎で、生きたまま焼かれるという方法で。

 そして、遺した研究資料や、彼女に関する記録は抹消され、後の世には残らなかった。


 しかし、当時の時点で、誰もがこう思ったはずだ。


『あの悪女(ガラテア)が、なぜ素直に処刑を受け入れたのだろう』


 処刑を待つ牢の中でも、ガラテアは終始落ち着いた様子だったという。

 まるで自らの死を、最初から受け入れているかのような――


 実際、その通りなのだ。

 ガラテアは死ぬつもりだった。

 死んで、“生まれ変わる”はずだった。


 プリムラが生きる時代になると、魂の存在は科学的に証明されている。

 地球という星が人間の記録を残すため、肉体以外の部分に用意されたデータのバックアップ領域――という存在意義も明らかになりつつある。

 一方でガラテアは、魔術的に魂の存在を証明し、死後それがどうなるのかも理解していた。


 歴史に大きな影響を与えた人間の魂は長期間保存される。

 場合によっては、その魂は再利用され、世の中を正しい方向へと導くために利用される。

 それ以外の有象無象の魂は短期間で分解される。


 ガラテアは、己が後者であることを把握した上で、こう考える。


『この世界で学べることはもうなにもねえ。未来へ行くんだ。生まれ変わって、その世界でまた己の知識欲を満たせばいい』


 と。

 そのために、処刑前に自らの魂に細工を施した。

 死後、分解されるのを避けるために、特殊な皮膜で己の魂を覆ったのだ。


 その魂はやがて転生し、未来の、別の肉体へと宿るはずだった。

 ――プリムラのアニマとして採取されなければ。




 ◇◇◇




「……他人の肉体に宿ったあと、転生前の知識量に耐えられる年齢まで成長したら皮膜は解除されるはずだった。でも、予想外にわたしのアニマになっちゃったから、ずっと引きこもって表に出てこなかった。まさか、そんな理由でドールが動かせなかったなんて」


 テケテケとの戦いを終えたあと、プリムラは操縦席に深く腰掛け、頭の中を整理していた。

 先ほど強烈な頭痛を彼女が襲ったのは、アニマであるガラテアの記憶や情報が一気に流れ込んできて、脳がパンク寸前だったからだ。

 まだ全てを把握できたわけではないが、だいたい事情は理解した。


「それにしても、アニマから力だけじゃなくて記憶まで流れ込んでくるなんて。そんなことあるんだ……」


 過去世界より採取されたアニマには、元いた場所――つまり死後、魂が保管される場所へと戻ろうとする力が働く。

 それを回避するために、アニマと操者は約定(プロトコル)によって繋ぎ合わされる。

 魔力とは魂魄に宿るもの。

 魂同士が繋ぎ合わされば、もちろん力は操者にも流れ込んでくる。

 操者の身体能力が高いのは、その魔力が全身に満ちているおかげだった。


「だとしても……おっかしいなぁ。ドールは動くようになったのに、見た目はブランクドールのままなんだよね。武器らしい武器もないから、素手で戦うしかないし……いやそれでも十分強いんだけども」


 本来、アニマとの約定が結ばれた時点で、ブランクドールは姿を変える。

 ザッシュのドール、ヘスティアは角ばった灰色の胴体で、後頭部には吹き出した炎が揺れており、どことなくヘスティアが司ると言われる“炉”をイメージさせる。

 アリウムのドール、テミスはまるで正義を体現したような、水色の騎士のような外見である。


 なぜ形が変わるのかと言えば、ドールとフォークロアは、同じ素材を使っているから。

 オリハルコン。

 平行世界より持ち込まれ、人類が衰退する原因となった金属こそが、その正体である。


 当初、オリハルコンは人の感情によって形を変え、身体能力や感覚器官の性能を大幅に向上させる新物質として、研究者たちの間でもてはやされていた。

 しかし、一定以上に感情が高ぶると、その緑色の水晶は人体を侵食し、同じオリハルコンに変えてしまうことが判明。

 暴走を始めたオリハルコンによって、国家がひとつ飲み込まれ消滅する事故が発生したため、平行世界への干渉実験は中止された。

 国ひとつ分というあまりに巨大な水晶塊は、その後長らく放置されていたが、この世界の物質と結びつくことで色、形、性質に変化が生じる。

 緑色の水晶は白色の金属へと形を変え、人の感情に反応する性質は、“人の感情を動かすもの”に反応する性質へと変わっていった。

 結果、ネット上に氾濫した都市伝説に反応してフォークロアという化物が生まれ、またアニマと関わりの深い神話に反応することでドールという機動兵器も誕生したのだ。


「あー、そっか。ガラテアっていう人が、歴史から消し去られたんなら、他の人たちと違って逸話なんて残ってないから、ドールも変形しようがないのか。あれ? だとするとおかしいよね。フォークロアが動くのはオリハルコンに都市伝説が宿ったから。ドールが動くのはオリハルコンに神話が宿ったから。魔力はあくまで、制御と補助動力に使うものでしかなかったはず……」


 ドールが人間の想像したとおりに動き、なおかつフォークロアを上回る出力を出せるのは、魔力の補助があるからだ。

 しかし、基本的に操者たちは、魔力というエネルギーを漠然とドールに流し込んでいるだけで、魔術が使えるわけじゃない。

 元々、難しすぎて切り捨てられた技術だし、魔術の使い方を示した文献なんて残っていないのだから当然である。


「……感覚は、わかる。魔力が全身に満ちてる。手のひらから、操縦用のイメージデバイスを伝って魔力が機体に流れ込んでることも」


 プリムラがイメージすると、ドール・ガラテアは右掌を閉じたり開いたりした。

 操縦席の両側の手元には、半球形の水晶が埋め込まれている。

 ここに手のひらをあてることで魔力をドールに流し込み、機体を動かすのだ。

 ちなみに、アニマとの約定が結ばれたおかげか、プリムラの左腕は少しだけ動くようになっていた。

 あくまで少しだけで、今でもかなり痛いことに変化は無いが。


「つまり、今このドールは補助動力であるはずの魔力だけで動いてるってこと? それだけの力が、あの卵の中には宿っていた。たぶん、本当は転生した後にガラテアって人が使うつもりだったんだろうけど……まあ、別に同情するような人でもなかったかな。本物の人殺しだし」


 自分の知的好奇心を満たすために罪のない人を拉致するなどと、クズ中のクズである。

 むしろプリムラに有効活用されてよかったぐらいかもしれない。


「でも……このアニマとわたしの相性が最高って、なんかやだな」


 人殺し。

 まるでそれが事実であると突きつけられているような気分であった。

 もっとも、正確にアニマとの相性が検査されたかどうかも怪しいものである。

 ザッシュと仲の良かった教員のクリフあたりが、裏で数値を操作していたのかもしれない。


「さて、と。ここでぼーっとしてる場合じゃないよね。ドールが動くようになったんなら、コロニーに帰れる可能性だってあるはず。フォークロアと戦えるぞ、ってアピールしたら考え直してくれるかな。ま、その前に水と食料をどうにかしたいけど……あの川かぁ」


 巨大人面魚に追われた記憶が蘇る。

 たとえ飲める水だったとしても、あんな気持ち悪い化物が泳いだところの水は飲みたくない。

 まださっき飲んだ泥水のほうがマシだ。


「うーん……賢者の知識が頭にあるなら、現実改変で水を出せたりしないのかな。このあたりに、ぽこっと」


 右手を胸の前で広げる。

 魔術の行使には、複雑な術式を必要とする。

 たとえ水を出すだけであったとしても、世界に対して『今からここをこういう風に変えますよ、かわりに魔力を差し出すので許可してください』と呼びかけなければならないのだ。

 そのメッセージを示したものが、魔法陣。

 形や記された古代文字はもちろん、大きさ、色、光の強さまで厳密に決められている。

 また、空中に陣を描くこともまた、それ自体が魔術である。

 他の現実改変に比べれば非常に単純な術式ではあるが、多くの魔術師志望者は、陣を描く前に挫折し諦めていたそうだ。

 今のプリムラなら、魔法陣の描画は問題なく行えるが――ここまでやって、ようやくこぶし大の水が目の前に浮かび上がる。

 もちろん、使用する魔力量を調整することで水量は増やせるのだが、使ってみて実感する。


「水道から飲んだほうが楽だよね……」


 結局、そういうことなのである。

 もっと便利な代物なら、退化して人類がこの力を失うことなどなかったのだから。


「でもいただきますっ」


 水の球体にかぶりつくプリムラ。

 飲み込むと、乾いた体に冷えた水分がじわりと染み込んでいく。


「水がこんなにおいしかったなんて……」


 感激しながら、あっという間に生み出した水は消えてなくなった。

 そうやって水分補給をしているうちに、彼女の頭には、“魔力の有効活用法”が浮かんでいた

 いや、この場合は思いついたというより、アニマから流れ込んだ知識があったからこそ浮かんできたわけだが。


 現状、テケテケに剥がされた装甲はそのままだ。

 つまり、操縦席に座るプリムラはむき出しの状態ということになる。

 単純に危険だし、精神に干渉してくるようなフォークロアと遭遇した場合、防ぐ手立てもなくなってしまう。

 なので、プリムラは地面に落ちている、テケテケの成れの果て――すなわちオリハルコンの塊に手を伸ばした。


「ドールが魔力で動くんなら、オリハルコンそのものも魔力で加工できたりしないかな」


 言いながら、魔力を注ぎ込む。

 この場合、現実改変とは異なる使い方なので、魔法陣は必要ない。

 ただ、イメージするだけでいい。

 失われたパーツの一部を。


「お……おおぉ……変わってる変わってる……」


 想像通り、テケテケだった物体は、破損したドールの装甲へと形を変えていった。

 若干歪んでいる気もするが、応急処置としては十分だろう。

 それを剥がされた部分を塞ぐ形であてがい、変形させて接合する。


「治療完了。ふふ、やるなぁわたし……なんちゃって」


 できなかったことができるようになった。

 プリムラはいつになく上機嫌であった。


「ふうぅ……砂っぽいから、蓋しとかないと喉痛かったんだよね……」


 力を抜いて、椅子に座り込む。

 そして目を閉じると――ぼんやりと――奇妙な男性の顔が浮かんでくる――


「……忘れてた。そういや、これもあったんだっけ」


 外を徘徊するうちに、目を瞑るたびに見るようになった男の姿。


「ディス・マン……えぇっと、これも二十一世紀初頭だっけ。発祥はアメリカだったよね。世界中の人たちが夢の中で、眉毛がつながりそうで、微妙に頭が薄い変な男の人の顔を見るとかいうやつ。精神にダメージ与える系のフォークロアかな。外にいる間に、いつの間にか攻撃を受けてたんだ」


 巨大化して動き回るフォークロアもいれば、こういった形で地味に嫌がらせをしてくるものもいる。

 その場合は、テケテケのように人型の姿は取らず、球体の精神汚染源が近辺に浮かんでいる場合が多い。

 基本的にドールの中にいれば影響は少ないが、一度攻撃を受けてしまうと、汚染源を取り除くまでは攻撃が続く。


「それに、ここを縄張りにしていたテケテケが排除された今、“穴”を埋めようとして別のフォークロアが近づいてくるはず」


 フォークロアとして具現化する都市伝説は、基本的に“人に害をなすもの”が多い。

 つまりあれは、人類を排除するために存在すると考えられている。

 活動範囲なんてものがあるのもそのためだ。

 効率的に、人が暮らせる地域をしらみつぶしに消していく――そんな意図が感じられた。


 そしてプリムラの予感どおり、アニマの覚醒によって研ぎ澄まされた彼女の聴覚が、近づいてくる足音を捉える。

 人型の多いフォークロアだが、今回はどうも違うようだ。

 四本脚。

 この場合、犬であるパターンがほとんどである。

 都市伝説は、決まって身近な題材を使用することが多い。

 日常に密接に絡んだ、どこかリアリティを感じられる内容のほうが、多くの支持を得られるからだ。

 それゆえに、動物の場合は、ペットとして飼われることが多い犬、ということになる。


 ドール・ガラテアが動く。

 パイロットであるプリムラのイメージをトレースし、音の方角を向いてにらみつけるような動作を取った。

 近づいてくる犬は、おそらくシベリアンハスキーだ。

 テケテケ同様、サイズが十メートルを越えていること以外は、大部分が犬そのものである。

 唯一異なる点は、口が犬のものではなく、“人に近い形”をしていることだろうか。

 不気味なまでに白い歯を見せつけ、ニタリと笑っている。


 スマイル・ドッグ――海外で発生したネット怪異談(ロア)である。

 ただし、その話に登場するのは、人のような口で笑う不気味な犬の“写真”であった。

 それを見た人間は、別の人間に拡散しなければ呪われる――そんな、ありがちな話。

 ディス・マンのパターンから言って、精神汚染源として具現化しそうなものだが、どういうわけか犬そのものが現れてしまったらしい。

 いや、あるいは精神汚染源としての性質も兼ねているのかもしれない。

 見るだけで人を不安に陥れる、そんな恐ろしさがそいつにはあった。

 だが、今のプリムラにはそんなもの通用しなかったが。


「ちょうどよかった」


 それどころか、彼女はそう言ってのける。

 あれほど恐れていたフォークロアが近づいてきているというのに。


「試してみたいことがあったんだ、色々と」


 そう言って、ガラテアの手はテケテケの亡骸を拾い上げた。

 魔力を注ぐ。

 オリハルコンが形を変える。

 スマイル・ドッグまでの距離はまだ遠い。

 ならば作るのは、遠く離れていても射抜くことができる武器。


「武器がないなら作ればいい」


 作り出されたのは弓。

 そしてつがえる矢もまた、オリハルコンを変形して製造する。


「姿が変わらないなら変えればいい」


 さらに強い力で、限界まで弓を引けるよう、腕を補強する。

 特徴のなかった白い両腕は、まるで篭手を装着したように一回り太く、鎧のような姿になった。


「この力で――てめえの頭を、ぶち抜いてやる!」


 自覚なく、アニマ・ガラテアの人格の影響を受けた彼女の罵倒と共に、矢は放たれた。

 まるで光のごとき速度で一直線にスマイル・ドッグへ向かった矢は、宣言通り眉間に命中。

 突き刺さるとか、貫くとか、そんなレベルではなく、頭を吹き飛ばし体をえぐり、獣は跡形もないほど粉々に砕け散る。


「……っは!」


 飛び散る残骸を見てプリムラは実に気持ちよさそうに息を吐き出す。

 そしてガラテアは次なる獲物を発見し、すばやくそちらに矢を構えた。

 そこに居たのは単体ではない。

 “群れ”だ――


「百鬼夜行……!」


 フォークロアはオリハルコンがある限り生まれ続ける。

 数が一定以上になると、ときに群れを作り、活動範囲を離れて人に襲撃をかけるのだ。

 襲撃時刻は人の寝静まった夜が多いこと、フォークロアの種類は問わず入り混じりながら進軍するその様から、日本の言葉を借りてその群れを人々は“百鬼夜行”と呼んだ。


「上等じゃねえか、皆殺しだ。何体でもかかってこい。さんざん嬲ったあと、亡骸でわたしの進む“道”を作ってやるよ!」


 “逃げる”という選択肢は、今のプリムラにはなかった。

 目の前の群れに対する恐怖も。

 いや、そもそも彼女は、目の前のそれをもはやフォークロアとは思っていないのだ。

 今の彼女に見えているのは――自らのドールを強化するための“糧”。

 ただ、それだけだ。




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