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第3話

 「はっ!たかが騎士ごときががこの私に意見するつもりか!お前も主人に似て礼儀を知らぬ奴だな!」


 いつもは殆ど怒らないロミルの怒りが込められた言葉、ですがその言葉を聞いた王子の反応は嘲笑でした。

 まるで王子である自分に危害を与えようとする人間などいないだろうとそう確信しているようなそんな無駄な自身に溢れた顔。


 「それ以上の侮辱は許さないと言ったはずだ」


 「っ!」


 ですが次の瞬間、ロミルが殺意と共に喉元に突きつけた剣の存在に王子の顔から血の気が引きました。


 「な、なっ!」


 そして王子は今更ながら自分がどんな状況であるのか分かったのか、震え始めました。

 だがそれでも王子は無駄に果敢に口を開いて………


 「ふ、ふざけるな!この私にこんなことをして………」


 「はっ!マートラス程度の王子を殺してか?そんなことよりもリオールの王女であるシリア様を侮辱した方がよほど問題だ!」


 「なっ!」


 そして次の瞬間ロミルに言葉に絶句しました。

 だが何故か得意げな笑みを浮かべ口を開きました。


 「馬鹿め!こともあろうかにマートラスを侮辱するとは!これでこの場にいる全員がお前達の敵に………は?」


 しかしその王子の得意げな笑み、それは途中で固まることになりました。


 ーーー ロミルの言葉に対して一歩も動こうとしないマートラスの貴族達の姿を目にして。


 そしてその光景を前にしてようやくロミルの言葉が嘘でないと分かったのか王子は呆然と辺りを見回して………

 そしてぽつりと王子は言葉を漏らしました。


 「信じられない………」


 ………いや、信じられないのはこちらですから。

 マートラスが大国であれる理由、それがリオールが支援しいるからだというのは国際的な常識です。

 なのに何故マートラスの王子がそのことを知らないのか………


 「はぁ………」


 本当にこの王子はどれだけ愚かなんでしょうかと私は思わず王子に対して呆れて溜息をもらしてしまいました………

 だがそのことに気づくことなく王子はマートラスの貴族に向かって叫びました。


 「リオールなどに後れをとるとは………この、恥知らずどもが!」


 「いや、恥知らずは明らかにお前のことだろ………」


 もはや敬語を使うことすら忘れたロミルの言葉、それはこの場の人間の心の叫びでした………







 ◇◆◇








 「無礼者………」


 「黙れ」


 「ひぃ!」


 最早王子を王族いやそれどころか人間だとさえ認識していなさそうなロミルの目を見てもうそろそろ止めどきかと私は溜息を漏らしました。

 確かにリオールはマートラスなどより遙かに大きな大国です。

 ですが幾ら何でも侮辱されただけで他国の王子を勝手に処分するなんてそんなことはしないでしょう。

 なぜならその国自体に恨まれるわけにはいかないので。

 今回に関しては王子の私への態度が、最早宣戦布告レベルなのでここで王子をロミルが手にかけてもお父様が何か言うことはないでしょう。

 ですがわざわざ物事をめんどくさいものにすることはないと私はロミルへと制止の声を上げようとして………


 「………今回はいいですか」


 そして途中でそうつぶやき口を閉ざしました。


 「だ、誰か!」


 ロミルに剣を突き立てられ、がたがた震えながら助けを求める王子。

 ですが、自国の王子がそんな目に遭っているのにも関わらずマートラスの貴族は誰一人助けようとしていません。

 つまりこの光景はロミルが王子を殺したところで、文句を言う人物がいないというこの上ない証明でした。

 だとすれば今までさんざん侮辱されていた王子をわざわざ助ける理由など皆無です。

 それに激怒したロミルの姿、それはすごく衝撃的で、私は制止する気持ちがなくなってしまい………


 「まって!私は証拠を持っています!」


 ですがロミルが剣に力を入れるその前にやけに自信満々なもう一人のトラブルメーカーであるエリーナの叫び声がその場に響きわたりました………







 ◇◆◇







 「皆様!その性悪女になど騙されてはいけません!」


 一瞬静まりかえった広場、ですが次の瞬間広場中の人間の怒りは王子からエリーナへと移りました。

 ………いやだから本当に何故彼女は男爵令嬢にも関わらず隣国とはいえ王族にこんな罵声を放てるのでしょうか?

 私でないほかの王族であれば反意があると思われ身分剥奪されることも分からないのでしょうか?

 一瞬証拠と聞いて興味を持った様子だった貴族達にも睨まれていますが、それにも気づいていませんよね………


 「特にそこの騎士様も!すぐにその女の悪事を暴いて貴方を救い出してあげますからね!」


 「はっ?」


 そして私はエリーナの様子に思わず溜息をついてしまいそうになって、エリーナの言葉に思わず声を上げてしまいました。

 は?この女はなにを言っているのでしょうか?

 ロミルを見つめるその目には欲望が浮かんでいて、思わず私の心にエリーナに対する嫌悪感がわき上がってきました。

 ロミルは確かに整った容姿を持っています。

 ですが幾ら何でもエリーナの態度は浅ましすぎます。

 ほら!ロミルだってエリーナに対してなに言ってんだこいつみたいな目を向けていますし!


 「この洋服こそがその証拠です!」


 ですがそんな周囲の反応に気づくことなくエリーナは何かを手に掲げ………


 「この私が学園の寮の最高級の部屋で見つけてぼろぼろにした服こそがその証拠です!」


 ーーー そして次の言葉で広場の人間の目を丸くしました。


 なにを言っているのか分かりませんが、ただ一ついえるのは………


 「その服はなんですか?」


 「えっ?」


 それは私のではないです………

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