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第25話

勢いよくロミルを怒鳴りつけてしまったその後、私はやってしまったという後悔に襲われながら部屋の椅子にもたれかかっていました。


「何であんなことを……」


口を引けば漏れでてしまうのは、先程の後悔でした。

頭の中では今でもあのエリーナの言葉が何度も何度も蘇ります。


私とロミルが結ばれることは絶対に許されないという。


それは確かに私にとって衝撃的すぎる言葉でした。

私はロミルに長年の恋心を抱いているのですから。


「本当に何であんな風にロミルに……」


けれども、ロミルに当たるのは見当違いでしかない行為でした。

何せそれは決してロミルの所為などではないのですから。

それどころか、ロミルはずっと私を守る為に行動していて……


「はぁ……自分で自分が嫌になります……」


……けれども、そのことを知りながら私は自分を抑えることはできませんでした。


そして、その理由こそが今私が自己嫌悪に陥っている一番の理由でした。


「はぁ……」


私がマートラスにロミルを諦める為にやっきたつもりでした。

リオールにいたとしても私とロミルは婚約を結ぶことはできません。

だからこそ私は諦める為にマートラスに政略結婚に行くことを決意したのです。


ですが、私は未だロミルのことを諦めることはできていませんでした。


それどころか、私のロミルに対する感情はどんどんと高まっていて……

そしてその事実に私はあっさりと自分を抑えられなくなってしまいました。


「本当に私は何をしたくて……」


私はぽつりとそうため息を漏らしました。

本当に私のやっていることは全て裏目に出ていました。

諦めなければならない、そう考えながら私はまるで何も諦められていないんですから。

そして自分を追い詰め、ロミルに当たる、それはあまりにも情けないことでした。

その事実がただただ情けなくて、私は唇を噛み締めます。

そしてベッドに蹲って眠りに就きたい衝動に私はかられました。


「……行かないと」


ですが、未だ私は休むことは出来ません。

感情的になってロミルに告げた祖国に帰れという宣言、それを私はロミルに謝罪して、撤回しなければならないのですから。

例えどれだけ気が重くても、そのことを今すぐしなければロミルは数日以内にマートラスから去ってしまいます。


「本当に私は何をしているのでしょうか……」


そしてそこまで考えて、再度そう呟き私は乾いた笑いを漏らしました。

本当に情けない、そうとしかいうことが出来ませんでした。


「シリア様?」


トントン、とそう扉が鳴らされたのはそう私が笑みを浮かべたその時でした。


「えっ?」


その時はもう、かなり遅い時間でした。

ロミルから別れてかなり長い時間が経っていたのです。


「いらっしゃらないのでしょうか?」


「っ!います」


ですが、その声の主は世話を焼いてくれた女性の声であることに気づいて私はすぐに扉を開けました。


「いらっしゃいましたか……」


「えっ?」


……そしてその女性に告げられた言葉と手紙に私は言葉を失うことになりました。








◇◆◇








女性が去った後、私はもう何の気力もなくベッドに横たわっていました。

そしてその時にはもう、ロミルのもとに行こうという気など消え去っていました。


何せ、もう手遅れなのですから。


「あはは、想像通りならもう私は諦めきれていたはずなのに……」


私の口から乾いた笑いが漏れました。

それは隠しきれない虚しさが込められていました。

もうどうすることもできない、そんな時になってさえ諦めきれない。

それは本当に笑うことしかできないことで……

ですがその空虚な笑いは直ぐに止まりました。


「……私はどうすれば良かったんですか?」


そして笑いが枯れた後、私の口から漏れたのはそんな言葉でした。


リオールでは結ばれることは出来なくて、そして諦める為にマートラスに向かっても諦められない。


「……そんなの、もうどうしようもないじゃないですか」


そう呟き、枕へと顔を埋めた私の側に置かれた手紙、そう先程女性から送られたものには……


ーーー 私の婚約者発表、そしてさらに結婚が明日に決まったことを示していました。


それはもう私が引き返すことが出来なくなった証でした……

更新滞っていて申し訳ありません……

大まかな設定は決まっているのですが、細かい設定が決まってなくて時間がかかってしまいました……

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