第2話
次回は明日の朝7時投稿です!
「そんなことあり得ない!」
私が実は別の学校に通っていたという発言に王子は少しの間呆然としていたが、だがすぐに再度怒鳴り始めました。
「私はお前を王立学園で見たのだからな!覚えていないとは言わせないぞ!」
「………はい。そのことについては覚えております」
そう大声で告げた王子の言葉それは本当のことで、私の頭にも残ってました。
いえ、忘れられなかったという言うべきでしょうか。
「ふははは!やはり………」
「その数日後に学園を変えさせていただきましたが」
「はっ?」
そして次の瞬間学園での王子との遭遇、それを思い出し思わず顔を苦いものにしながら告げた私の言葉に、そんな切り返しをされると思っていなかったのか笑っていた王子の顔は固まり、黙り込み始めました。
数日では殆ど限られた人間しか覚えられなくてもおかしくはないことを悟ってどうするか悩んでいるといったところでしょうか。
………いや、本当のことなんですがね。
「嘘をつくな!転校などよほどのことがなければ認められるはずがないだろう!」
そしてしばしの沈黙の後王子が選んだのは私の言葉を信じないというものでした。
しかも言い切った王子の顔には自信が溢れていて、私は王子が自身の言葉に確信を持っていることを悟り………
「貴方がそう言いますか………」
その瞬間耐えきれない怒りが私の口からぽろりと漏れました。
確かに普通婚姻の為にやってきた隣国の王女に問題を起こそうなんてする人間は居ませんし、そんなことを考える人間などいないというのが世間一般的な人間な人間の認識でしょう。
ですが私は目の前の王子だけはそんな認識をしていることを許すことが出来ませんでした。
「し、シリア様?」
ただならぬ私の様子に気づいたのか微かに震えた声をロミルが漏らすのが分かりましたが、今回私はあえて見えなかった振りをして王子へと笑いかけました。
「では一つお聞かせ願いたいのですが、学園で毎日肉体関係を迫ること、それはそのよほどのことには入らないのでしょうか?」
「なっ!」
そして次の瞬間その私の言葉に、今まで愉快そうに笑っていた王子の顔から血の気が引いていきました………
◇◆◇
「まさかそんなことが………」
「だがそんなことするような考えなしなど………」
私の一言にそんなざわめきが広場を覆っていきました。
「それは言っていいような話ではなかろう!」
………だが次の瞬間王子は広場の声を黙らせる大声を上げました。
「私に対する気遣いをしろ!」
さらにまるでなにも考えずに王子は言葉を重ね、すしてその言葉にこの場にいる全員の思考が一致しました。
………あぁ、こいつがいたなと。
一応言っておきますが私にはその人間が王子とまでは明かすつもりはありませんでした。
別に王子に対する気遣いなど一切するつもりはありませんが、明かしてしまえばめんどくさくなりそうだと感じたので。
だから私は敢えて皮肉程度で止めていたのにまさか本人がカミングアウトするとは………
そう私は思わず呆れ果てていましたが、周囲の反応はそれどころではありませんでした。
「………この王子まさかこんなことまでするとは」
「国王からは考えられない愚物ですな」
「なっ!」
それはこの広場にいたかなり年のいった高位貴族達の言葉でした。
顔に隠しきれない呆れを滲ませたその言葉に広場に緊張が走り、そしてあの王子さえも言葉を失い呆然としています。
ですが本当にそれだけの事態でした。
高位貴族がこんな場で、それも王子を罵るような言葉をあげるなどそれはどれだけの異常事態か。
これはさすがに応じも堪えるだろうと周囲に弛緩した空気が流れ………
「貴様無礼だぞ!」
ですが次の瞬間王子の叫んだ言葉に、王子はまるでなにも理解していなかったことを私たちは理解させられることとなりました………
そんな口の効き方をするとはもしかして王子は高位貴族の存在をいつも喋らない人間が喋った程度にしか認識していない?
いやもう本当にどれだけ愚かなんですかと私はその場に崩れ落ちたくなる衝動に駆られました………
「それにシリアお前もだ!」
ーーー ですが王子はそれだけやらかしても止まりませんでした。
「ふざけるな!なにがよほどの事態だ!この王太子である私がお前を抱いてやるといっているのだ!感謝しておとなしく身体を差しだすのが当然だろうが!それを勝手に騒ぎ学園を変えさらに私への報告までも怠るとは何事か!」
そう王子がまくし立てた言葉それを聞いて私は思わず絶句しました。
………いやなんですか、この無理矢理理論。
まず王太子てなんですか。
私がこの国にきてから一切聞いたことがないのですが。
しかも肉体関係を迫られれば感謝してからだを差し出せってこの王子もかしてナルシストですか。
………うん何故か自信満々な顔しているしそうなんですね。吐き気がします。
それにストーカーみたいな人間から逃げるために学園変えたのに、そのストーカーにそのことを教えるはずがないでしょうが………
というかもうそろそろ、誰か咎めないのかなと思ったその瞬間でした。
「それ以上の侮辱は許さない!」
まるで私の考えに反応するかのようにすぐ近くから隠しきれない怒りが込められた怒鳴り声が響………すぐ近く?
「ロミル!?」
疑問に思った私が振り向くとそこにいたのは王子をまるで視線で殺そうかとするように睨めつけている護衛騎士の姿でした………
この作品以外に、
「婚約破棄のその前に〜英雄の逆鱗に触れた王族」
https://ncode.syosetu.com/n2368ef/
という作品も連載中ですのでお気が向いたら是非!