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第14話

「その顔は何故そのことを私が知っているのかと驚いてるのか!ふははは!」


あまりにも酷い誤解に思わず絶句した私の様子、それををどう解釈したのか国王はそう私に告げて笑い始めました。

いや、もう何でこんな時にあの馬鹿王子と親子であることを無駄に主張するんでしょうか、この国王は……

そもそも何でそんな勘違いを、と私は首をひねりかけて……


「愚息、カルトスからあの場所で何があったかは全て聞いた!あの時貴女は我が国のエリーナ嬢を虐めていて、それをカルトスに糾弾されたのだな!」


……そしてその私の疑問を親切に国王は教えてくれました。

……うん。なるほど。つまりこの国王はあの王子の話を鵜呑みにしたというわけですか。

……何で私の周りにはこう頭の足りない人が集まるんでしょうか?


「その、あの王子のいうことは……」


私は最近自分の身の回りで起きる不幸の数々に頭を悩ませながら国王の誤解を解こうとして口を開きかけ……


「分かっている!」


「えっ?」


そして私の言葉に被せるように告げられた国王の言葉に自分の勘違いを悟りました。

そうですよね!やはり流石にこの国王でもあの王子の言葉を信じるてことなどあるはずが、とそう思いかけて……


「まぁ、決して私も馬鹿ではない。息子の自分は一切悪くないという発言は嘘だと分かっている!」


ー いや、十分馬鹿です。というか、王子レベルの馬鹿ですから!


と、次の瞬間内心で叫んでいました……

いや、あれだけの騒ぎが起きていた後、その騒ぎの中心であった王子が自分は悪くないなんて言ったところで誰だってそれが嘘だって分かりますよ!

そもそも冤罪の話だって相当な馬鹿でなければ王子の話なんて信じませんから!

というか、私国王様に転校の件に関しては手紙に書いていたような気がするんですけども……


「広場では貴女がリオールの王女ということで周囲の貴族が怖気付き、カルトスの訴えは無視されたが、この私が直々に貴女の両親に訴えればそうはいかない!それが嫌ならカルトスと婚約を……」


「あの、転校のことですが……」


私へと言葉を怒涛の勢いで重ねる国王。

私はその国王の姿に若干引きながらも、恐る恐る口を開いて……


「なんだ?今更私に転校していたなどと告げて騙そうなど……」


「いえ、転校の件に関しては国王様にもちゃんと許可を取ったはずなのですが……」


そして私がそう告げた瞬間、こちらへと勝利を確信したような表情を向ける国王の顔に怪訝そうな表情が浮かび、次の瞬間なにかを思い出したように目が見開かれました。


「そ、そういえば!」


その国王の反応に思わず私は絶句しました。

いや、何で転校に関して私に許可したことも忘れているんですか!

本当に何でそんなボンクラで王子のことを愚かだと罵れるのか……

もういっそのこと全て忘れて私を解放してくれはしないのでしょうか……






◇◆◇







私のもう解放してくれないかという願い、それは当たり前のことですが国王には伝わることはありませんでした。


「……あの馬鹿が!この私に嘘を教えるとは……」


一切私を解放するそぶりも見せずに、ぶつぶつと何事かつぶやき始めた国王の姿に思わず私は小さくため息を漏らしてしまいました。

はぁ……本当に私は後どれだけここにいなければいけないんでしょうか……


「本当にどれだけ愚かなんだ!」


というか、王子に対して愚かだと言われていますが、騙された時点で自分にはその王子と変わらない知性しかないことに国王は早く気づいていください……

私はそう国王に告げたい気持ちを抑え、精一杯の笑顔を浮かべそして口を開きました。


「その……お話が終わったのなら私はそろそろ……」


「ま、まて!まだ終わっていない!王子との婚約を結ぶとお前は言っていないではないか!」


この場からもう帰りたいという要望、それが素直に国王に認められると私は思っていませんでした。

しかし、実際に国王にその要求を跳ね除けられ私の顔は耐えきれず歪みました。

……いや、もう解放してください。

というか、何でこんなにも私は王子との婚約を跳ね除けているのに何故強引に婚約を推し進めようとするのでしょうか?


「ですが、本当に私が王子との婚約を認めると思いますか?」


「っ!」


その理由のわからない国王のしつこさに私は流石に気味の悪さを感じ始めて、強引にでもこの場を去ることを決意しました。

恐らくこの国王になら幾ら強制されても王子との婚約をはねのけることは出来そうですが、しかしこのしつこさは明らかに異常でした。

もしかしたらそれは理由が分からない所為でそう感じているだけなのかもしれません。

ですがそれでも私がこの場を去りたいことは変わらず……


「その反応は分かっておられますよね。私が絶対に王子の婚約を受けるはずがないことを。でしたらもうこの話はなかったことにしませんか?」


「ぐっ、」


だからこそ私はこの場を去るべく国王へとさらに言葉を重ねました。

恐らく異様にしつこい国王ですが、流石にここまで言われれば諦めるでしょう。

私はそう確信して、国王の返答も聞かずその場を立ち去ろうとして……


「……転校の話、私ならばそれをもみ消すことができる」


「はっ?」


しかし、またもや私は国王の言葉に足を止めることになりました……

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