第1話
新作です!よろしくお願いします!
光り輝く装飾品で彩られた広場。
それは酷く綺麗で、さすがは装飾品を特産品とするマートラスが主催しているだけあると思わず目を奪われてしまうような光景でした。
………ですがその美しい広場には酷く重々しい空気が流れていました。
「隣国リオール国の王女シリア・リオール!」
そしてその原因、マートラス国の王子カルトスが何故か得意げなかおで口を開きました。
この王子がどれだけ問題児かを知って今度はどんな問題を起こすのかと集まった視線をどう勘違いしたらそんな顔が浮かべるんですか?
それに王子の隣にいる女性が何故か勝ち誇った目で見てくるんですが、もう本当になんなのですか………
私はもういやな予感しかしなくて隣にいる護衛騎士のロミルに視線でこの場から離れたい思いを伝えましたが、酷く申し話なさそうな顔で首を横に振られ無理だと否定されました。
………うん。最初から無理なことは分かっていました。
王子に直々に指名されてこの場に連れ出され、そして周りをマートラスの貴族に囲まれたこんな状況から逃れる術がないことくらい!
だけどロミルにも無理だと言われても、それでも私は逃げる手段を考えようとして………
「今まで貴女は他国の王族と言うことで許されていたかもしれないが、今日、私マートラス王子、カルトスが貴女の罪を告発させてもらう!」
………そして王子の言葉によって起きた周囲のざわめきにもう手遅れになったことを悟りました。
今これだけ周囲が騒いでいる状況でなにも言わずに去ることなんて出来そうではありません。
そして私は渋々王子の話を聞くことを決めて振り返り………
「私の愛しのエリーナを嫉妬から傷つけたその罪、幾ら王族であろうが許し難い!よって私との婚約を破棄する!」
「えっ?」
次の瞬間、突っ込みどころしかない王子の言葉に絶句することになりました………
いや本当に婚約破棄てなんでしょう?
しかも私だれも虐めてませんよ!
というかそもそもエリーナて誰なんですか!?
◇◆◇
「そうなんですぅ!私はあの女に虐められてましたぁ!」
やけに耳に残る不快な甘えたような声で喋る王子の隣にいる女性の言葉に、私はようやくエリーナがその女性のことを示していることを悟りました。
………いや、本当に初対面なんですが。
エリーナと呼ばれていた女性はかなり可愛らしい容姿をしていて一度みれば忘れられないような印象をもっています。
ですが私の頭の中にはその女性に対する記憶が一切ありませんでした。
つまり本当に初対面のはずなのにまさかあの女呼ばわりされるとは………
何でこんなに一方的に疎まれているのでしょうか?
「あの女男爵家の癖に生意気ですね」
「えっ!」
ですがその私の思考はロミルの衝撃的な言葉により吹き飛ぶことになりました。
「男爵家の御令嬢ですって!」
消して私は身分を傘に着るつもりはないし、親しくなれば平民で砕けた口調ではなされても気にしません。
いやそれどころか親しい人間には少しでも砕けた口調で話して欲しいと思う人間です。
それでもいきなり対して話したことのない人間、それも男爵家の人間にあの女呼ばわりされるのは初めてです。
「………男爵家程度がおこがましい!」
「何様のつもりなんだ!」
そして周囲にいるマートラスの貴族もエリーナの態度に驚き呆れ、それからそう口々に怒りの言葉を漏らし始めました。
「待て!」
そのマートラスの貴族の反応は当然ので、その場にいる殆どが同意するかのように頷いていましたが、一人王子だけは認めないとでも言うように声を上げました。
そしてそう声を上げたときの王子の顔は正義感に溢れていて………
その王子の顔に私はまた王子が訳の分からないことを考えていると確信しました。
だがそんな私の内心など露ほども知らず王子は自信満々に口を開きました。
「身分を傘に着て男爵家だからと差別するとはシリア、お前はつくづく王族の風上にもおけないな!そんな人間の言葉にほいほい動かされて情けないと思わないのか!」
「そうよ!この性格ブス!」
そして王子が言い切り、エリーナが信じられない罵倒をした瞬間、しばしの沈黙が広場を支配しました。
それから誰かマートラスの貴族の一人が耐えきれなくなったように言葉を漏らしました。
「………それ、シリア様じゃなくて王子達のことですよね?」
ー ですよね!
その瞬間、マートラスの貴族達と私の心が一致しました………
◇◆◇
誰かは分かりませんが、マートラスの貴族が漏らした言葉それは至極当然の指摘でした。
私がロミルとこの国にきてからの短い間だけでも、王子がどれだけの人間に対して王族という自身の身分利用し、好きかってしていると聞いたことか………
おまけに誰か諫めようとする人が現れても、私は王子だぞと態度を改めようとしなかったとか。
そんな王子の日々の態度にたいして私はなにも威張り散らしても、好き勝手もしていません。普通に失礼な態度をセリーナに取られただけです。
さらには周囲は確かに厳しい反応をしていましたが、私はただ驚いていただけです。
王子に非難されるいわれなんて一切ありません。
………本当にそんな状況を見たら思わず口から本音がでても仕方がありませんよね。
私はそう言葉を漏らした人間に対して心の中で頷きます。
「誰だ!」
「ひぃっ!」
だが王子が私と同じように声の主を見逃すことはありませんでした。
………いや本当にそんな言葉でも侮辱として自分は激怒するくせに、明らかに侮辱されていた私に対して身分を傘に着ているなんていえましたね。
「少しよろしいですか?」
そして私は王子のあんまりな態度に今すぐここから逃げ出したい衝動に駆られながら、王子に目を付けられている貴族を救うため口を開きました。
「何だ!」
王子は突然の横やりに不機嫌になりながらも、それでも貴族から注意を私にむけました。
私は注意を逸らせたことに安堵しながらも、不信感を抱かれないよう前々から気になっていたことを尋ねることに決めました。
「その、私はエリーナ譲との面識がないんですが………」
「っ!ふはははは!」
「え………」
そしてその私の言葉に王子は突然笑い始めました。
その突然の奇行にロミルは剣を抜き、私は本格的に逃げ出そうかと考え始め、その前に王子は口を開きました。
「とうとう本性を表したな!エリーナは私と同じく王立学園に通っているのだぞ!お前が知らないなんてことあるわけがないだろう!」
一瞬私は何かまずいことをいってしまったかと身構えましたが、次の瞬間なるほど、と私は何故王子達がエリーナと私の面識があると判断していたのに私がエリーナを知らなかったのかその理由を納得しました。
それならあったことがないのも納得です。
「お前の底が浅い嘘などこの私に………」
「いえ私は王立の学園など通ってませんから」
何故なら当の昔に私は通う学園を変えていたのですから。
「通じる………はぁぁぁぁぁ!?」
次の瞬間広場に王子の叫びが響き渡っていきました………
本日9時にもう1話投稿予定です!