天才な公爵令嬢
花の妖精と腹黒王太子のサフィーがまだ幼い頃のお話です。
ここはアクアリスト王国。
魔法を操ることのできるものたちがいる国。その中でも王家の人間は特に魔力が強く、民たちへの配慮も決して欠かさないため、民たちからも強く慕われている。
そんな王国の貴族たちも皆、温和であり、ほとんどの貴族たちが優秀かつ民のみかたである。
優秀な貴族たちをたばねるのは三柱貴族の三公爵家である、
ユリニスト公爵家
ロードゼリア公爵家
アイリオール公爵家
....である。
____これは、由緒正しき公爵家のかわいい妖精が、腹黒の無駄に優秀な王太子に連れ去られ....ゴホゴホ....溺愛され、妃((王太子妃))になる前のお話。
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「おりておいで?__サフィー。」
そういって私に声をかけたのはお兄様のレイドお兄様でした。
「木の上なんかにいたら危ないよ?」
そう、私が今いるのは木の上....そう木の上なんです!!!木の上に登るなど私の魔法を持ってすればチョロイですわ!!
お父様のお顔の色も優れませんが、お母様なんてすでに青いお顔になって横たわっていらっしゃいます。
「嫌ですわ!私、けっしてここを降りません!!お兄様はどこかに行ってください!」
兄にここに来て初めて放った言葉がそれだ...普通はてか、普通の人はここで何か言うと思うのだけど...。
「お、おにいさま..何故そんなに嬉しそうなので、すか?」
い、いけないこんなことで動揺を言葉に示してはいけない...でも、あれはちょっと....
そんな兄の顔は、怒った顔をするわけでも、ましてや怪訝な顔をするわけでもなかった__。
そう、その顔はあまりの嬉しさに悶えているときの顔だった....。口許はひどく緩み、普段爽やかな印象を与える目元は、これでもかというほど垂れ下がっている...。兄のきれいな顔の造形が跡形もなく消え去り、非常にマヌケな顔だ。さらに決定的なのは兄の口からもれるその奇妙なむふむふっという笑い声だった___。
お、お父様は...。と父に対処を求めるが、流石の父もこれには引いていた....。
父親だろ!自分の息子に引くなよ!!
....。っと内心突っ込んではいたが、なんとも言えない気持ちだ.....。
すると今度は....
「サフィー。君の意見は分かったよ...。それ以上そこにいて怪我でもしたら大事だ。研究の許可を...というか研究棟の使用を許可する。
.....ただいったはいいもののサフィーお前はまだ..5歳だぞ!!!!考え直してくれ!!!」
「お父様!本当に許可をくださるのですね!!あぁ、嬉しいですわ!」
父の頼みをガン無視するご令嬢なんて私くらいですわね。
兄に引いていた父だったが一応、周りの見える人で良かった。まぁ宰相だから当たり前か___。
ん? 5歳? だーかーらーなーにー。5歳をなめるなよ、好奇心旺盛なだけだよ!!!
こうして魔法を最大限用いた、私の解毒薬のない毒の、解毒薬作りの研究は両親の公認のもと執り行われることとなった....。
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甘かったのだ、あそこでサフィーに許可を出してはいけなかった....。そう一生研究を続けるつもりの王太子妃になった娘に後悔の念を見せるのであった_____。