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さだめ  作者: しらすぼし
1/1

下宿人

 一人の人を失って自身の心を手に入れた



 失って得たものは大きかった。

 では失ったものはどうでもよかったか、そうじゃなかった。

 失ったものが大きすぎて結局私は何一つ変わってはいない。

 否、むしろ感情のせいで毎日失ったものの大きさに心がきしんでいる。









 痛い。こんな思いをするくらいなら心なんて存在しなくてよかった。

























 あれはある、短い夏の出来事でした。


























 「初めまして。今日から2週間、この下宿所でお世話になります笠間正也かざままさやです!」


 「・・・」

驚きと戸惑いと自分でも分からないくらいのわずかな動悸に、頭と体が運動を停止した。


玄関を壊そうとするノックが聞こえて何事かと思い外に出た。そしていきなり寝起きの耳に爆発音、もといこれから2週間此処に泊める下宿人のあいさつ。自分がかなりいらついているのを自覚しながら、我慢が抑えられるはずもなく、引けを取らないボリュームで怒鳴った。


 「もっしもー「うっるさいなあ!私寝起きなの、寝癖見える!?そんなに大声で言わなくても耳にちゃんと届くの!大体今何時だと思ってんのよ!6時よ6時、そんな時間に起きてる奴いると思ってんのかー!ふつう9時とか10時でしょ。常識考えろー!!!」


                        バシッ 

 

 

 「あんたの声の方が近所迷惑よ阿呆。ようこそいらっしゃい、早いのねえ、えっと

正也くんだったかな?」


痛い、地味に痛い。実は何気に地味な音の方が痛いんだぞコラッ。それに母さんだって6時に起こされて実はイラついてるの知ってんだからな。青筋立ってるよあんた。八つ当たりしやがって、私よりタチ悪い。でも母さんあいつの顔見たら・・・


 「あらっ。」


何頬染めてんの気色悪!気色悪!!


 「ごめんね、玄関なんかに突っ立たせたままで。あんたのせいよ真咲まさき。さ、入って入って!」


 「あっはいお邪魔します。」


なんだあの母のテンションのあがりっぷりは。しかし分からなくもない。確かに新しい下宿人は整った顔立ちをしている。某事務所にだって簡単に入れるだろう。そこらのモデルなんて比じゃない。それに性格も良さそうだ。














 「ぼうっとしてんじゃねえよ。通行の妨げだ。さっきオレに働いた無礼、覚えとけよ?」


私の横をすり向けざまにこう言った、言わずもかな下宿人だ。


















          撤回する、性格最悪だ。怖い怖い怖い!




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