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【台本】喫茶"OL"の1日目

作者: 清水 波衣

ご使用の際は事後で構いませんので、感想欄にてご一報及び感想をお願いします。なお、私からの許可がない限りは演じたものを何らかの形で残すことは現在お断りとさせていただきます。


所要時間:約10分


【登場人物】

山田♀:喫茶"OL"の新しいバイト。ごく普通の女子高生。特徴は普通。普通の女の子だから山田。特異な環境に戸惑いつつもそのうち染まっていく感じの女の子。


マスター♂♀:喫茶"OL"のマスター。見た目はおっさんだけど、お茶目で可愛い。これが小さな女の子だったらよかったのに……。色々残念なおっさん。


栗栖川(くりすがわ)♂:喫茶"OL"の従業員。愛称はクリス。厨房もホールもこなす喫茶"OL"の大黒柱。とにかく優秀。いつもニコニコと人当たりも良いけど、実は短気。そして毒舌。


裕二♂:喫茶"OL"の常連。こいつだけなぜか名前。それ言い出したらマスターは『マスター』だけど。栗栖川の友人。実は『友人』だから『裕二』っていうのもあったりなかったり。外見はチャラ男。色々頑張ってるチャラ男。でもヘタレ。童貞。


*「ーー」のところは、次のセリフを被せてください。


山田:山、マスター:マ、栗栖川:栗、裕二:裕

山「えっと、喫茶"OL"……。ここでいいんだよね。よし、ごめんくださーい」


マ「ふはははははははっ! よく来たな、勇者よ。さあ、お前の力を見せてみよ!」


山「……すいません間違いました。……あれ? ここで、合ってるよね。……喫茶"OL"。うん、合ってる。……ということは、今のはきっと何かの間違いよね! 平常心平常心。……よし、もう一度。ごめんくださーー」


マ「ふはははははははっ! よく来たな、勇者よ。さあ、お前の力を見せてみよ!」


山「えっと、……え?」


裕「あ〜らら、可哀想に。固まっちゃったぜ」


マ「…………。ふはははははははっ! よく来たな、勇者よ。さあ、お前のーー」


山「いえ、聞こえなかったわけじゃなくてですね。あの、ここって喫茶店ですよね?」


マ「ふむ、他の何に見えるというのだ?」


山「いや、何ってーー」


栗「あー! ごめんごめん。バイトの面接に来た山田さんだよね。どうぞこっちに座って」


マ「クリス、私が話している途中だぞ。そもそも面接は私のーー」


裕「はーい、マスターはちょっと静かにしとこうか!」


マ「むぅ」


栗「僕は厨房兼ホールの栗栖川。履歴書ありがとう。早速だけど山田さんはどうしてここで働きたいと思ってくれたのかな?」


山「あ、はい! えと私、そのコーヒーとか好きで、喫茶店とか憧れてて、あとあと人と接するのも好きだから……」


栗&裕「採用」


山「え!? こんなのでいいんですか?」


裕「いーのいーの! 君可愛いし!」


マ「こら勝手に決めるな。そもそもお前は従業員でもーー」


栗「はーい、マスターは静かにしててくださいね」


マ「むぅ」


栗「ところでーー」


裕「ところで、山ちゃんから何か聞いときたいことない?」


山「特には……山ちゃん?」


裕「山田さんでしょ? だから、山ちゃん」


山「あ、あーなるほど。そういえば、ここの店名なんですけど……」


マ「よく聞いてくれた! 喫茶"OverLoad"、略して"OL"だ! つまり私の風格を店名にしたのだ。どうだ、カッコ良かろう?」


栗「あ、"Office Lady"じゃなかったんですね」


マ「おふぃすれでぃ? なんだそれは」


裕「えー!? マジで違うのかよ! なんだよ、そのうち可愛い女の子が出てくるかと思ってわざわざ通ってたっていうのによ」


栗「嘘つくな裕二。ちょいワル気取った万年ヘタレ童貞が」


裕「ちょ、言い過ぎじゃね!?」


マ「おい、おふぃすれでぃ、ってなんだ?」


栗「マスターはそのままでいいですからね。さて、山田さん。仕事内容について説明するけど、今日はまだ時間あるよね」


山「大丈夫です。面接が思ったよりも早く終わりましたから。というか、面接あんなのでいいんですか?」


栗「え、ああ、いいんだよ。もともと、よっぽど変な人じゃない限りは取るつもりだったし。なにより、山田さんは弄りがいがありそうだから」


山「弄りがいって……」


栗「ま、細かいことはいいでしょ? 無事合格なわけだし」


山「ええ、まあ……。それより、あっちはいいんですか?」


栗「あっち?」


山「あの、マスターさんと裕二さん?」


裕「万年童貞、万年童貞、万年童貞……」


マ「おふぃすれでぃ、おふぃすれでぃ、おふぃすれでぃ?」


栗「静かになったね。これで説明に集中できるよ」


山「いや、かえって気になる……」


栗「さて、山田さんの仕事内容だけど」


山「放置!?」


栗「話が進まないから。山田さんの仕事内容だけど、基本はホール。そのうち厨房も手伝ってほしいけど、それは慣れてきたらで。山田さんは人見知りとかするタイプ?」


山「大丈夫だと思います」


栗「それはいいね。接客や厨房については僕が教えるから心配ないよ。わからないことは何でも聞いて。あともう一つやってもらいたいことがあるんだけど、これが……」


山「なんなんですか?」


栗「マスターの話し相手」


山「え、マスターさんと? そんなことでいいんですか?」


マ「ん? 呼んだか?」


栗「……おい起きろ裕二。マスターが再起動したぞ。何のためにコーヒーたった一杯でお前がそこにいるのを許してやってると思ってる」


裕「なあクリス、俺ってもしかしてダメな奴なのかな……。彼女なんてもうできないのかな……」


栗「ちっ、山田さん、ちょっと」


山「あの、説明は」


栗「少し仕事を体験してみよう。その方が早いしね。さ、ここに座って」


山「は、はあ」


栗「サービスでケーキセットもつけてあげるよ。ケーキは何がいい?」


山「じゃあ、ショートケーキで」


栗「OK。じゃあマスターのお相手よろしくね」


山「(話するだけなら簡単よね。結構割のいいバイトかも)」


マ「……」


山「……あの」


マ「ふはははははははっ! よく来たな、勇者よ。さあ、お前の力を見せてみよ!」


山「ひっ!」


裕「あ、まだやるんだそれ」


マ「して、勇者よ。お前は私を楽しませることができるか?」


山「勇者って、もしかして私?」


マ「他に誰がいる? さあ、お前の力を見せろ」


山「力って……」


裕「何かやれってことだよ。山ちゃん」


山「何かって、何ですか?」


裕「さあ? とりあえず一発芸でもやればいいんじゃない?」


山「そんな無茶苦茶な」


マ「さあ、まだか? そちらから来ないなら私からいくぞ」


裕「お! マスター何かやんの?」


マ「うむ、勇者が何も出来ぬと言うなら仕方ない」


裕「いいね。ちょっと期待しちゃってもいい感じ?」


山「……」


マ「今日来た山田とかいう奴を解雇する」


裕「はははははっ! おとなげねえ!」


山「それ私じゃないですか! わかりましたよ! やればいいんでしょやれば!」


裕「それでは、やっていただきましょう! 喫茶"OL"新人山ちゃんの一発芸! それ、山ちゃんのちょっといいとこ見てみたい♪」


マ「見てみたい♪」


裕「よっ、見てみたい♪」


マ「見てみたい♪」


山「えと、……。ゆ、指が〜……」(両手を使って親指が切れるように見せる芸)


マ「ふぅむ…………」


裕「あ〜………………」


山「うぅ………………」


裕「覇王様! 勇者の奴がついにここまで!」


マ「ふはははははははっ! よく来たな、勇者よ。さあ、お前の力を見せてみよ!」


山「スルーしないでくださいよ! なかったことにしないでくださいよぉ!」


栗「ずいぶん楽しそうだね。これなら心配なさそうかな?」


裕「クリス! 遅かったじゃねえか。俺この子気に入っちゃったよ。これから楽しくなりそうだな! あ、俺コーヒーもう一杯ね」


栗「それはよかったよ。だったらお前はもう少し金を落とせ。ああ、そうだろうと思って淹れてきたよ」


裕「さすが! 気がきくねえ」


栗「お疲れ様。山田さんもどうぞ」


山「いただきます。はむっ……。あ、美味しい」


栗「気に入ってもらえたかな? ケーキは僕の手作り、コーヒーはうちのオリジナルブレンドなんだ」


山「コーヒーも、すごく美味しいです。なんだか落ち着く」


栗「それはよかった。ところで、どうかな? うちでやっていけそう?」


山「あの……、それはちょっと自信ないっていうか。正直ちょっとやめようかなって……」


マ&裕「なにゆえ!?」


山「だって、私初めてなのに、変なことさせられて……もうダメ」


裕「(ゴクリ)」


栗「おい興奮すんな童貞。そうか、仕方ないね。でもね、山田さん。これを見て」


山『ゆ、指が〜』(携帯で録画した動画の音声)


山「へ?」


栗「この動画、すごく可愛く撮れてるよね。SNSとかにも投稿したいんだけど、どうだろう?」


山「な!? 犯罪です!」


栗「山田さん、何を言ってるの? 動画に映ってる本人が可愛く撮れたからSNSに投稿するだけだよ? 誰も罪なんて犯さないさ」


山「何言って……! あ、それまさか私の携帯!? いつのまに!」


栗「山田さん。今どきパスワードに誕生日はないよね」


裕「ヒュ〜、やる〜」


栗「ちなみにこれもあるよ」


山『私初めてなのに、変なことさせられて……もうダメ』(録音音声)


山「なっ!?」


裕「あとでくれ」


栗「別に構わないけど、山田さんがここで働いてくれるなら、必要はないよね?」


山「わかりました! やります! ここで働かせてください!」


マ「ふはははははははっ! よく来たな、勇者よ。さあ、お前のーー」


山「それはもういいです!」



一応私の初台本ということになります。実は5年ほど前に書いた短編で、友人に失笑されたものの加筆修正版です。


続きを書くかは未定です。

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