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馬鹿王子  作者: よもぎ
4/11

馬鹿王子4

4話目。

 放たれたナイフは、兄が叩き落としてくれた。


 問題は私の体だった。


「ラファエル!!大丈夫か!!」

「ゴホッゴホッ、だい、ゴホッゴホッ」


 発作だ――――――――。


 元々私は気管支に病を持っている。ゆえに、主のそばに居ながら隣にいることが出来ない。戦の時は、本来後方の拠点で待っている。今回は、たまたま前線に出ただけなのだ。


「ゴホッゴホッ、か・・・イン様」

「なんだ!!水か、果物か!!薬か!!」


 慌てて私を抱き上げ、第1王子の所まで引いた主。兄は、医者を呼びにいった。


「いい・・・から、聞いて・・・ください」

「しゃべるな!!のどから変な音がする!!」


 うるさい!!ただの発作だ。


 そう、私は怒っていた―――――。


「何故・・・あんな・・・・こと・・・を?」


 息も絶え絶え、咳き込みながらでは全く力のない声になってしまった。けれど、目だけは必死に彼をにらみつけていた。


「??なんのことだ??」


 とぼけているのか、本当に分かっていないのか。おそらく後者だろう。それでも、私は怒りを鎮められない。


 あの時、身を挺して盾になった私を、あろうことかこの男は!!


「私を・・・・かばう・・・馬鹿・・・が、どこにいるんですか!!」


 叫んだら空気がなくなった。のどが裂けそうなくらい咳が出る。


 そう、この男は私を受け止めるどころか、体を反転させたのだ!!自分の体が盾になるように!!あの一瞬で、それが出来るこの男は、やはりすごいのだが、それが問題なのだ。


「あな・・たは、王子・・・なんです。誰を・・・犠牲にしても、いき・・・のびねば」

「ラファエル、体に障る。これ以上は・・・」


 第1王子の言葉に、小さな子がだだをこねるように首を振る。


 正直に言おう。


 怖かったのだ。


 自分をかばって、主が傷つくのが――――――――。


 運悪く命を落としてしまうのが――――――――。


 苦しい―――――――――。


「ゴホッ、ゴホッ・・・・ゲホッ、ゴホッ」

「エル!!」


 小さい頃の呼び方で、主が必死に私を呼んでいる。


 苦しいのは、体??


 苦しいのは、心??


 あの時は、本当に怖かった。


 あの光が、主を貫くくらいなら――――――――。


 私の体を―――――――。


 そう思ったのに。


 彼は私を守ろうとした――――――。


 血に濡れた彼を見るのが怖い。


 けれど、どこかで自分を守ってくれる腕に安堵した―――――。


 もう、限界なのだろうか?


 薄れゆく意識の中、必死に私を呼ぶ声がどんどん大きくなっていくきがした。


 

毎日更新頑張ります。

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