馬鹿王子
いきおいで書いたもの。リハビリ作品。
設定もありません。誤字脱字だらけです。
私の仕える主は、ここ、ランド王国の第3王子であるカイン様である。
「おい、今度は北の小競り合いだ。いくぞ!」
「行きません」
「何!!」
艶めく漆黒の髪に、新緑の瞳。20歳という若さで、近衛騎士団長の位まで上り詰めた武の天才。身分は言わずもがな。端正なお顔と、天性の才能でのし上がる若き獅子。女性に人気。しかしその中身は・・・。
「何故だ!!小競り合いといえど戦だ。俺が行かなくて誰がそれを終わらせるというのだ!!」
「今回は第2王子の護衛です。前線は第2王子が指揮をとるとのことです」
「?レオ兄さんが戦地に行くのは分かるが、なんでラン兄まで来るんだ?」
レオ兄こと、第1王子レオナルド様は、カイン様の5つ上の25歳。金髪碧眼の美青年だ。
ラン兄こと、第2王子ローランド様は、2つ上の22歳。銀髪に青い瞳の美青年。王族や、貴族は顔の美醜も大変重要視される。なので、王族とそれに近い貴族はみな美形ばかりだ。王宮内はどこも眩しすぎる・・・・。
「殿下、兄上たちを愛称で呼ぶのはお止めください。・・・・なんでも、知識としてではなく、実際に目でみなければそれは身についたとは言えない。ということで、知識としての戦地は知っているが、実際に目の当たりにしなければ意味が無い。ちょうど北で小競り合いが起きたならちょうどいい、僕が行こう、ということになったようです。筆しか握ったことのない王子が、迷惑しか生まない思いつきによる、今回の初陣となりました」
「なんだ!!そうか!!やっとラン兄も初陣か!!なら、俺が手本を見せねばな!!」
何故そうなる?
「ですから、今回は護衛です。戦地にたてないのに、どうやって手本を見せるのですか?」
ここまでくれば大体分かると思うが、我が主は基本筋肉でものを考える。
「何故だ!!戦地に立てねば戦に行く意味がないだろう!!」
「ですから、今回は護衛だと先ほど申し上げたはずです」
「むっ、そうか・・・」
やっと理解してくださったらしい。やれやれである。
「そうだな、是非ラン兄にも戦に出てもらおう!!実際に戦に参加すれば、俺が手本を見せることができるというわけだ!!」
それは困る。筆と本がお友達のもやしっこが、いきなり戦地に赴くだけで無謀なのに。そのすきに暗殺でもされたら困る。第2王子を狙った刺客から、彼をかばって主が負傷、なんて恐ろしすぎる。
そもそも、誰かが変なことを吹き込んだのだ。絶対。絶対刺客は来る。ああ、胃が痛い。刺客の狙いは第2王子だ。あれが王位を継承するわけないだろ。あれの頭の中は知識しか無いんだから。
私のため息を知ってか知らずか、いや確実に知らないだろう。主は勝手に盛り上がっている。
「民を守ってこその王族だが、その前に、男として弱い者を守らねばな!!な、エル!!」
その力を、もう少し頭にも回して欲しいものである。
私、ラファエル・セラ・シルベール。性別、女。
「そうですね、殿下」
半眼棒読みも気にしない。主はそういう御方。
初めて会ったその日から――――――――。
「普通、気づきませんかね・・・・」
「ん?何か言ったか?」
「いえ、何も」
私の性別を間違えている、主は確実に馬鹿王子だ。
一応10話完結予定。
もうホント、すみません。