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Way of life  作者: 覇剣士
3/3

放課後。

いつもどうり、親友と一緒に町に繰り出す。

といっても、ゲーム屋を見たり、本屋に行くくらいしかやることはない。







もっと毎日刺激が欲しいと、ここのところよく思う。


都市の外に出て、もっとたくさんの事を知りたい。


でもその半面、危険なことに首を突っ込みたくないとも感じる。


そんな矛盾した日々に、なんとも言えない心境を抱いているのだった。








友達と別れて、一人で町を徘徊しはじめた。

あてもなく歩いているだけ、小さい頃から探険を繰り返していて、町の構造は知り尽くしている。







ボケッと歩いていたら突然空が反転した。なにかにつまずいて、ころんだのだ。



「いってぇ……。」

スネを押さえながら回りを見る。

いつの間にが留置所に来ていた。




この町の留置所とは、悪さをした族の処罰が決まるまで、一時的に閉じ込めておくところだ。


岩場に穴を開け、鉄棒を何本も埋め込んで作られた牢屋状の部屋に、悪党をガチャン…と閉じ込めておくのだ。



何につまずいたのかと足下を見る。



牢屋の隙間から赤い棒が突き出ていた。それに足をとられたのだ。





「ハハハハハ……。」




笑い声が聞こえる。

その声をたどってみると、持ち主は檻の中に座っていた。




「足下がお留守だぜ…兄ちゃんよ。」




そいつは笑いを押し殺して言った。

座っているのは、青い短髪の若い男。服装は長ズボンに長袖の上着。手にはさっきつまずいた棒……深紅の槍が握られている。



「なななななっ………!?」

困惑する和佐。

それに追い討ちをかける男。





「コイツにつまずいたのはお前が初めてだぜ、おバァカさん。」




突然つっかかってきて何なんだこの男は…?しかもいきなり馬鹿よばわりされた。




「なにすんだよっ!!このスカタン!!」

あたふたしながら言い返す。




「威勢がいいな、俺をスカタンよばわりするたぁよ。」




ニヤニヤしながら言う。



「先に馬鹿よばわりしたのはそっちだろう」




呼吸がみだれる。




「だって事実だろうが。」




真顔でいう。どこまでも腹がたつやつだ。


だが、あまり関わらない方がいいと、直感が伝えてくる。





「くっ……お前みたいなのに付き合っている暇は無いんだよ。」


実は暇だったが、そう言って踵をかえした。なぜか悔しい様な気分だ。















コンッ








和佐の頭に石が当たった音だった。たいして痛くは無かったが、投げる奴は一人しかいない。



「………」



ゆっくり後ろを振り向く。

檻の中で男は、和佐に向かってあっかんべーをしていた。























ブチッ



和佐の中で何かが切れた。もうムカついた。

その辺にある石を次々に、これでもかと投げ付ける。




「何しやがるこのバカァッーーーー!!」

辺りに和佐の声が響く。





「おっとあぶねぇ!!そんなピッチじゃ俺からストライクは取れねえぜっ!!」




男は槍で巧みに石を打ち返す。




そんな事をしている二人に、三つの人影が近付いてきた。









「なーにしてるんですか?まったく。」







眼鏡をかけた茶髪の男が喋りかけてきた。




「あっ、お前等何処行ってやがったっ!?」




新たに現れた3人に困惑の表情をうかべる和佐。


騒ぐ牢屋の男の頭を、押さえ付ける眼鏡の男。



後ろの2人は髪が長く、赤い髪と薄青い髪をしていた。おまけに和服なんて着ている。

見るからに怪しいだろ。




「すいませんね。僕達のツレが何か変なことでもしましたか?」




怪しいが、清々しいほど丁寧な言葉使いだ。




「そいつが喧嘩ふっかけてきやがったんだよ。」




牢屋の男が言う。




「あ〜あ、なるほど…」




眼鏡はクルリと牢屋の男の方を見る。







「貴方が喧嘩をふっかけたんですねっ。」







全ておみとうしだった様だ。ギリギリと牢屋男の頭に指圧をかける。






「なっ、なんなんだよ…あんた達…。」






まったく…と言った感じに和佐がいった。





「あ、僕はクレイ。こっちの単細胞はスティンと言います。」




眼鏡の男が言った。

別に名前が聞きたかった訳じゃないんだけどね。




「誰が単細胞だ…。」




喋ったスティンにさらに指圧をかける。





「向こうのムスッとした和服組は、小さい方が嬰歌(えんか)、大きい方がクロウって言います。」




クレイは、傍らで、いってぇ〜とか言ってる単細胞そっちのけで話続けた。






「ム…、失敬な…我々はムスッとなどしていないぞ。」

クロウはムスッといった。




「テメエも名乗ったらどうだ?」




やっと指圧から解放されたスティンがいう。




「あ…僕は…黒澤和佐…」



見ず知らずの人間に名を名乗っていいのだろうか。



「馬鹿には勿体ない名前だなっ。」



ニヤッと言ったスティンの頭を、クレイが檻の鉄棒に打ち付ける。

スティンはキュウ…といって無言になった。


流石にちょっと可哀相に思える。



「この辺じゃ見ない顔ですね。何処から来たんですか?」



彼等に少し興味を持って、たずねてみた。



「オレ達はなあ……。」



喋りかけたスティンの口を、クレイがふさぐ。



「フガッ、フガフゴッ!?」



「あはっ、気にしないでください。」



そんなことされたら気になるに決まってる。




「そもそもなんでコイツは捕まってるんですか?」




檻に入っているのだから何かしら罰せられる事をしたのだろう。


コイツなら何でもやらかしそうだし。









「少年…。」






突然だった。

後ろの方にいた嬰歌が、近付いて来た。




「もう日も暮れる…そろそろ帰ったらどうだ…?」







何かと思えば時間のことか。

あまり遅くならなければ問題はない。





「別に、時間は平気だけど…。」







その時だった。

嬰歌から威圧てきな空気を感じた。

目に鋭さが現れている。








「帰れ………俺達に関わるな……。」








ゴクリと唾を飲んだ。恐怖を感じたのだ。


その感覚は普通じゃなかった。


いままでに感じたことがない。










「………」










少し間があいた。


そこにクレイが割ってはいる。





「夜、外にいると、そこの単細胞みたいなのにからまれちゃいますよ。」





場を和ませる様な感じで言ったが、和佐の感じた違和感は消えなかった。








「あ………うん、じゃあそろそろ……。」







やっとの事でその言葉が出た。





「ええ、それがいいでしょう。」





クレイの笑顔を背にその場を離れる。




だが、心に残ったさっきの感覚は、和佐の中から離れそうになかった。






























「まったく、見ず知らずの少年に素性がばれて、巻き込んでしまったらどうするんです?」




クレイが、檻の中にいるスティンにいう。




「自分だって、名前教えてたじゃねーかよ。」




ふてくされるスティン。




「それは……まぁ…。」




やってしまった…というふうなクレイ。





「それよりはやくそこから出る方法を考えたらどうだ?」




クロウがいった。




「だってよう、クレイが壊すなって…。」




「当たり前です。」




言い切るクレイ。




「僕達はこの辺にいますから、はやくそっから出て来てくださいよ。」



言い残してゾロゾロとその場を去ってく3人。



「おいっ、置いて行くなぁっーーーー!!」



スティンが叫んでも、むなしく辺りに声が響くだけだった。


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