第一話 1
広い荒野にはただならぬ雰囲気が流れている。
空には雲がかかり、辺りは薄暗い。
終わりが見えない平地には、数千、数万という銀の甲冑をかついだ兵士であふれていた。
兵士達の向かう先。
山の麓にある漆黒の森。
その森と平野の境目を彼等は目指していた。
そこには四つの影。
向かい来る軍勢とはあまりに相反するいでだちをした、人の影だった。
洋風と言える大軍勢に対し、着物や、ズボンに上着といった和風の4人。
右から、短身薄赤髪、長い髪を後ろで結わいている和服男。
長身薄青髪、長い髪をポニーテールで結んだ和服男。
短髪で濃青の色の髪をもつ普通な格好の男。
肩程の明るい茶色髪をもつ、眼鏡をかけた男。
威風堂堂を思わせる四人は、それぞれの手に武器をもっている。
誰に合図された訳でもなく。
銀の軍団は四人にむけて突進を開始した。
「オイオイ、なんだよこの数は。」
濃青髪の男は言った。
「 まあ、もうすぐ目的地に着きますし…その前に僕達を消しちゃおうって魂胆でしょう。」
眼鏡の男。
「 どうでもいいかっ、オレは先行くぜ。」
濃青髪の男は、手にした深紅の槍を片手で回しながら言った。
「援護はまかせたぜぇっ!!」
言い放って軍勢に突っ込んでいく青い閃光。
「そんなに前に出て、流れ弾に当たっても知りませんよ」
眼鏡男も、手にした長銃を肩にかけ、歩き出した。
残された2人の和服組。
両者とも腰に刀を携えている。
「我々に人権は無いのか…」
薄青髪の男がつぶやく。
「まったく…地球が滅びかけてるというのだから…ほかにやることはないのか…」
薄赤髪の男に語りかける。
「……ああ……そうだな。」
薄赤髪男はポツリという。
そして2人も、軍勢に向かいなおると、足速に歩き始めた。
砂埃をたてる大軍勢と四つの閃光は、荒野で激しくぶつかりあい、平原を駆け巡った。