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虐待それは出薄!拉致な

機械仕掛けの神、なんて言葉がある。

元々は、演劇で「どうやってオチつけるのー」という場面で投入される終わらせ役。

古代ギリシャあたりの話ってことだし、ぶっちゃけ本物の神様役が豪腕でねじ伏せる、的なアレだったようで。

で、そんなんがワイヤーアクション的な機械装置で登場したため「機械じかけの/機械じかけから出てくる」神、なんて感じになったそうで。


ミステリー物の終盤投入される、お前が犯人なんじゃね? 的に真実を言い当てる名探偵やら。

バトル物で今まで鎬を削っていた敵役を鼻歌交じりに大物ヅラして横から掻っ攫っていって去っていく次シーズンの敵やら。

脈絡もなく容赦無く。

オッス、オレ神様! 何モメてるの? ああ、俺に任せとけって! 万 事 解 決 ! 

・・・とばかりに物語終盤に叩きつけられる終劇爆弾。

もう、なんというか、うわぁ、としか言えない手法ではある。

一応オチがつくのはいいことだとは思うのだけれども。

・・・だったら最初から出てこいよ、出を待ってんじゃねぇ、と突っ込まざるをえない。

そんなことを思った矢先に、思い出す。


ああ、ギリシャ神話の神様って・・・アレなのしか居ないんだっけ、と。


デウス・エクス・マキナ。

デウス(ゼウス)で神、マキナがマシーンって感じで機械仕掛け、かー。

なーんて、言葉の意味を調べた時にほほぅ、と唸らされたもので。


「元がゲームとするならば、機械じかけの~のままで、まんま自分達の立ち位置な気がするなぁ」

などと自分は独り言。

他愛無い事を考えつつ、待つこと十数分にしてようやく待ち人達、来たる。

気配視覚に死角なく。

自分を囲むように接近してくる彼らの姿を、脳内に知らせてくる。

イメージ的には赤外線暗視カメラの映像って感じ。

厳密には色味や濃度が違ったりする。


そんなこんなを考えてるうちに、どうやら彼らは<狩り>の配置についたようだ。


大きめな通りにつながる、得体のしれぬゴミが転がる細い通り。

若干残っていた人通りが途切れる瞬間を見越したかのように。


「かかれっ」

小さく響く、幼い声。

薄汚れた、などとはお世辞にも言えないボロ布を身にまとう、子供の群れが。

辺鄙な場所に1人佇む、獲物な自分へと。

一斉に踊りかかってきた。




「かかった」

寸鉄帯びぬ小さな刺客たちに一斉に飛びかかられたその刹那。

自分は少年らに聞こえぬように快哉を・・・呟く。

流石に荷物配送中に襲われてなお、逆襲にパンツ抜きを放った器用さお化けのようにはいかないが。

それでも流石に。


飢えに飢えてヒョロヒョロなガキンチョ共の突貫戦法なんぞ捌けない外の人ではない。


順次コチラに手を伸ばしてくる少年らを。

掴んで浮かせて当身をこう、コツン、と。

次から次へと流れ作業的に、浮かせて落とす。

浮かせて、落とす。

浮かせて。

落とす。

みるみる標高を高くする、浮浪児気絶体の山。

ジオ直伝の当て身投げは自動的に色々処理するぞ?

一斉に襲いかかったがウヌらの不運よ・・・今度からは波状攻撃とかも考えような?

逃亡する選択肢を選ぶ時間が得られる・・・かも、しれないからね。


さて。

この寸鉄一つ身につけている様子のない彼らが、こんな場所でこんなことをしている背景情報などは、レザード達の話を聞いた後それとなく宿受付から仕入れている。

単純なる貧困による、様々な過程を経た、結果として同じような境遇の浮浪児集団。

捨てられたり親をなくして且つ引き取り手の現れなかった子供たちの共同体。

魔王<貧困>の暴力の一端。

その、最先端被害者達。

国としてはクーデター絡みで末端救済にはとても目が行かず・・・と言う建前で、実際はそんな問題がなくても切り捨てられただけだと思うが・・・生きるためには喰わねばならぬ、たとえ奪い取ってでも・・・という帰結。

あまりによくある話で、実に気に入らない。

なので、彼らを捕らえて。


思うさま虐待しようと思う。




最近(具体的にはクーデター裏処理の最中)魔改造に成功した<瞬間移動>の発展版<範囲転移>及び、シオン考案によるシンボルワープ(所定図形設置箇所への任意転移)の混成実用化により、無力化した全浮浪児達(物陰から様子をうかがっていた連絡役的な子供及び、アジトに残っていた非・行動員)を拉致してきた、この場所。

西の国に地獄からコンニチワした<西方の希望>跡地。

その一角に、新設された施設がいくつかあった。

昨日の夜の段階で、流石に一日呑んだくれてるだけというのもアレだなぁ、と思いたち。

酔いの勢いに任せて「ちょっと行ってくる」と、夜の散歩と洒落こんで出掛けて、結果としてできたのが、コレら施設である。

まぁ、自分だけの力でなく。

外出しようとした時に「オイオイ、どこ行くつもりだよぉぅぉぅ? お前だけを行かせないぜ?」「まったく、僕らにも手伝わせろよぅ」などと、ノリノリな酔っぱらい数人を道連れに。

秘奥義すら乱発しての整地やら、生産と魔法の合成技術やらを無駄なまでに乱用した結果完成した・・・この。


大浴場である。


・・・ひとえに、ほろ酔い気分でデカイ風呂に入りたかったがゆえの施設である。

酔った勢いで水源掘り当てて、ボイラーがわりに<爆炎壁>をコンパクトに永久化、その周囲に温度調節用の機構をアレしてコレしてメンテナンスレス化を実現し。

結果、人工の温泉を気取れる施設が完成したのだった。


で、実はここで驚きの事実が判明。

掘り当てた水源について、であるのだが。

地獄から続く柱の中心が空洞になっていて、どんな作用が働いてるかわからない感じで水を吸い上げている模様。 海無くなっても雨降ったり出来るのはココらへんからの水分補給のおかげなのかねぇ、などと湯上りのコーヒー牛乳飲みながら協力者たちとダベったものだが。

っと、酔った勢いの説明で行を割いてしまったが話を戻そう。


ひとまず、汚れきったガキンチョどもからその衣類を剥ぎ取り。

掛け湯をしてから石鹸まみれにして垢擦りし。(このあたりで数名気絶から回復したりもしたが、即時意識を刈った)

別用途(というか只の趣味)により作成された寝湯ベルトコンベアーにて運ばれ、汚れた黒泡を流し。

綺麗にされた順に、待ち構えるジオの<応急処置と言う名の漲るビンタ>により覚醒、の流れを取る。


目覚めて早々マッパの、まるで何が起こったか理解できない子供たちはと言えば。

ジオに大浴槽へと導かれつつ「肩まで浸かって100数えてから出なさい」とだけ伝えられ。

彼の強面な迫力も手伝ってか、無言、素直に従い。

・・・本当は洗濯魔法一発で終わらせちゃおうかなぁ、なんて思いもしたのだが、それだとそれだけで終わってしまうので、こんな虐待行動となった次第で。


習慣として、というか、ひとまずは。

風呂の気持ちよさと綺麗になる爽快感あたりを刷り込めればいいかなぁと。

ガキンチョどもに麻薬のごとくに記憶させちゃえ、と。

悪い大人達一同、話し合いの末決定した次第である。

さて、ではお次の虐待準備に入るとしようか。


「ジオー、後よろしくー。 小さい女の子に手ェ出すなよー」

「ウチにロリコン疑惑かけるなとアレほどっ・・・!」

ビキビキィ




風呂上りの牛乳を押し付けられた子供たちを次に待ち構えるは、テーラー半裸プレゼンツ。

256色のバリエーションを誇る、機能、着やすさ、耐久性重視の逸品。

その名も竹綿ジャージであった。

木綿と竹繊維の夢のコラボレート。

蒸れずに暖かく、無駄なまでに頑丈。

今回はシンプル形状を周囲に強要されたため、冒険野心的なデザインは全てボツを喰らった。


「なぜこのデザイン及び灰色の素晴らしさがわからんのだ! 犯してやる!」

「穴という穴から灰汁でも噴いて死ねばいいのに貴様!」

といういつものやり取りと。


「そういうの、いいから」

という粛清番長レザードの喧嘩両成敗ツッコミにより。

色々と事なきを得たのは、余談である。


流れ作業で寸法調整を施していくシオンの魔技。

傍目には針と糸で袖やら裾やらを一刀のもとに切り伏せているようにしか見えない不思議。

ククク、着慣れたボロ布を無理やり清潔な衣類に交換してくれるわクハハハー。


「生産と剣術の夢のコラボっ・・・今、ワチキはっ、輝いている!」

「SHINE」(勿論、シネと読む)

ガルルル。


「子供が怯えるから遊ばないようにー。 ってかメリウはさっさと持ち場に戻れー」

「ういさー」

シオンに茶々入れて楽しんでたら、普通にマックスに怒られた。

普通なのに限界とはコレいかに。


ってか、持ち場といっても既に配膳なんかは女性陣がやってくれてるしなぁ。

ちょいと目を離した隙にボイラー爆炎壁で焼き物始めていたあのアマはそのうちボイラーに蹴り込もうかと思うが。


さてさて、では自分もガキンチョ共が集められた場所に向かうとしますかね。




煮こまれた肉野菜を包む、香辛料の香り。

メインの茶色に対する、サブの緑黄色なサラダの彩り。

その脇に備える舞台装置のドライアイス的な冷製スープの涼やかさ。


要はカレーのセットなのだが。


今回自分が用意した献立は、みんな大好き(とも言えないけど、まぁ大多数は食えるだろうと言う期待を込めて)カレーライスにしてみた。

お子様に振る舞うものなので、程々に甘口である。

ルーには心持ち多めの牛乳投入。

薄く焦がさずフワフワに仕上げた薄卵焼きはライスとルーの間に。

尖った味のものに牛乳やら卵やらを入れれば大体味が丸くなるので、今回のカレーはそこら辺が決め手といえば決め手。


ただし、皆も慣れてしまうと麻痺してしまう感覚ではあるのだが。

カレーと言えば初見殺し。

見た目が「アレ」であるので、初めて目の当たりにする彼らにはイイ香りのするウ○コに見えているかもしれない。


最後の最後に待ち受けるこの虐待を、果たして彼らはどう切り抜ける!?

ククク、風呂上りの空腹感に負けずに未知の食べ物を我慢することが出来るか「いただいきますウマー、ウマー。 私は断然甘口( ゜д゜)ハッ!」痴 ロ リ ン ん ん ! ?

台無しだ! 

畜生っ、あんまりだぁぁぁぁぁぁぁぁ。


・・・まぁ、見た目大差ない年齢のエリスが先陣切ったので、それ見てたガキンチョ共が目の前の物体を食べものであると認識し初めたし、良しとしよう。

なぁに、一口食べてしまえば後はこっちのものよククク。

おぅおぅ、そんなに慌てて掻っ込まなくても平気だゼェうへへへ。

ってか落ち着けっ、そんなに無理に流し込まなくてもカレーは逃げないからっ。

おいぃ、喉詰まらせるな水、水ー!?


かくして。

拉致から始まる虐待連鎖は。

満腹で動けなくなってそのまま寝入るガキンチョ共を、一連の虐待時に自分達とは別行動を取っていたエイジが内装魔改造した彼らのアジトに放り込んだあたりで無事終了した。




「あ、今日のカレーは甘口なんだね」

「ガキンチョ相手だしねぇ。 辛いのが良ければ作るけど」

「コレはこれで美味しいからいいよ。 さて、僕のリフォームした住居は気に入ってもらえるかな」

「やりすぎてさえいなければ、恐らくは」

「・・・」

「同士エイジよ、なぜ目をそらす?」




機械仕掛けの神様を冒頭からぶち込むと酷い話にしかならないなぁ、というオチ。

存在自体が酷いから、結局の処どこで登場してもダメなんだがな!

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