閑話:とうぼうしゃ エアふんとうき
適当書いてたらなんか出来たので、ひとまず廃棄即逃亡。
捕まったら、ヤられる。
ウチ等は、さっきから走っていた。
既に人ごみは利用し尽くし、現状は都会の獣道こと路地裏を絶賛爆走中。
・・・ぶっちゃけ、ノリで逃げてしまったのは、失敗だったんじゃね?
正直「こやつめ、ハハハ・・・」で済ませておけば、こんな羽目には。
これが後悔おっきせず、急ED。 と、言う奴か。
ぬぅ、なんと恐ろしい。
立て、立つんだ我が息子。
あいむ ゆあ ふぁぁざぁぁー。(意訳:昔パパは溶岩で焼かれた状態で放置されました)
っといけねぇ、思考が逃げることから逃げていた、いかんね。
今回の鬼ごっこの鬼役は、恐ろしいことに感知系であるのだ。
用心せねば。
逃げた三名のうち、既にでっかいのとはハグれ、隣を走る共犯者と二人愚痴りながら、路地また路地と疾走疾走。
「ついつい『お断りします』と言いたくなって走り出したウチらに罪はないと思うのだがどうよ?」
むしろ、普段から被害を被ってる分の慰謝料だと思うんだよな、うん、とシオンが呟く。
・・・別段、被害だのを喰らった覚えもないが言うだけ言う。
この世は言ったもの勝ちである。
やったもの勝ちでもある。
逃げ切れば、勝ちなのである。(自己暗示)
「流石に野郎捕まえて触手地獄らめぇ、とかはやらないと思うがなー」
ウチの腐女子連中を喜ばすような現実的作画は、流石にしないと思う、等と夢を見るマックス。
奴自身はノンケであるが、拷問は別腹そうな野郎である。
むしろ嬉々として痴ロリンらの目の前でジャジャマルをピッコロっとポロリして散らされるマックスの姿を、シオンは幻視した。
「おいぃ? なんでオレオンリーで触手らめぇ状態にされてんだよ、助けろよ旦那!」
マックスがシオンの顔色から幻視風景を盗み見して悲鳴を上げる。
なんという無駄能力。
ワ、ワチキの妄想を盗み見やがったなっ、(触手スライムが)犯してやるっ!
「それこそ『お断りします』なんだがなぁ。 っと、そろそろオレもソロになるわー。 捕まるなよ旦那」
友人がホモォ・・・になるのは嫌だからな! と、言い残し、シオンとは別方向に走り出すマックス。
その背中をちらりとだけ見送りつつ。
「いや、お前こそ助けに来てくれよ・・・」
絶対に来ないだろうなぁ、と。
逆の立場なら自分がするであろう「助けない、見かけない、関わらない」という行動を脳裏に浮かべ。
シオンは追ってきているであろう愉快鬼畜触手スライムキメラ(飛行タイプ)に捕まらぬよう、潜伏先を探し始めるのであった。
路上喫茶店の傘の下。
小柄な体を白いワンピースで包み、被っていた麦わら帽子は椅子の背に。
温くなった紅茶を口に含みつつ、地面につかぬ足をブラブラさせる行動を満喫する。
イイね、実にイイ。
普段だと絶対に在りえない(自分で言っていて悲しくなるが)状況を楽しむ美少女ことナガです、こんにちは。
おこがましいとツッコんだ奴はスクワットな。
木を隠すなら森、とばかりに人ごみに突っ込んだまでは良かったけど、どいつもこいつもワタシより背が低く・・・クソっ、なんて時代だ!
結局<変身>して普段よりちょっとだけ、ほんのちょっとだけ小さな少女になってみたというわけさ。
ちなみに現在、エリスちゃんより背が低い。
・・・笑えよ、おまいら。
っといけない、ネガティブになった。
折角の小さい体は愉快だねプレイ中なのだ、楽しまねば。
いやぁ、ゲームやってた時と比較して実に<変身>の使い勝手が良くなった。
ことゲーム内では、単純に強さを求めるなら、それほど<変身>は有用ではなかったんだけどね。
身内にそうこぼしたら「うっそだー」「僕はそれは妄言ではと思うんだがどうだろう?」「有り得ねぇ」とか言われたので、侍組を<塔>の掘にバラ撒いたので良しとする。(奇襲成功)
・・・後でこってりと皆から叱られたものだ、懐かしい。
っと、閑話休題。
本題の<変身>に話を戻そう。
ワタシを非難した身内からすると、<変身>=アレ なのだと思う。
アレ、つまりは、メから始まる三文字の名前を持つアノヤロウである。(本当は・を含めて五文字の名前なのだそうだが)
度々ユーザーイベントと称して<変身>を駆使して皆と遊んでいる印象が強すぎて、一時期「<変身>とれば我が世の春じゃね?」という機運があがった事があった。
で、それに踊って<変身>を取った奴がいた。
そう、ワタシだ。
常々アレを見て「ククク、ワタシも<変身>さえ取れば奴など物の数ではない」とかやってたわけですよ、脳内で。
で、ガッツリ金貯めて、サッパリ神様に持っていかれ。
念願の<変身>を手に入れたのは良いのだけれど。
・・・つっかえねぇ・・・。
10分ほど使用してみた感想が、それであった。
まぁ、それは単純な話で。
ワタシはそれほど便利な生き物を、見て、いなかった。
せいぜいベヒモスになれる程度が関の山だったのだが、なってみて分かった。
操作、超面倒。
視点が高すぎて普通に酔う。
動作重すぎ。
あと、調子に乗ってアレの真似して<塔>に突っ込んでみたら集中砲火喰らって5秒もたなかったのは黒歴史。
普段のプレイヤーキャラが肉体的に有能なので、大抵の場合は<変身>しても弱体化する。
普段と違い過ぎるものになると、別ゲームになる。
アレの家に遊びに行ったとき(この時既にフラナガンの中の人ということはアレにバレていた)、初めてゲームをやると言った体で『メリウ』を使わせてもらってスライムとかになってみたんだけど。
移動すらできなかったのはどういうこった。
・・・一緒に遊びに来てた彼氏は、二、三言コツを聞いたら自由自在に操っててグッタリ来たが。
その後、こっち見て野郎二人が「m9(^Д^)プギャー」した時は正直泣きそうだった。
女の子に対してあれはないのではなかろうか?
おこがま(略)割礼な。
要は、なんだ。
取っただけじゃどうしようもなく、かつ、良いものに<変身>できても、別操作のゲームを変身種族ごとに極める必要が出てきたりするっていう。
面倒な技能だった訳で。
「どうする? スラキンさん見に行く?」
あれだったら出すだけでも脅威だぜ、と、侍組単体では見に行くことも出来ない(狂った回復手段を持ち合わせていないためあの迷宮を進めなかったのだ)フラナガンを「<変身>取ったんだってなー?」という流れ作って誘ってくれたアレと嫌な顔ひとつ見せなかった彼氏含むいつものメンツには悪いが。
ワタシは<変身>を、使わなくなったのだった。
さて、長々と失礼しました。
そんなこんなで、いかに<変身>が気難しいものか、朧気くらいにはイメージいただけたでしょうか?
で、ようやくワタシのモノローグ冒頭近辺に戻るわけで。
ビバ! <変身>!
取っておいてよかった!
すわ、万能か!?
この開放感を、なんと表現してよいやら!
強いて挙げるならイッ・・・失礼、ナガ暴走した。
ワタシの夢が、一つ、叶った。
コンプレックスの打破。
魔王<長身>に、きっつい右フックを。
凄い、凄いよ小さいよ!
高いところに手が届かなーい!
目線が低くてびっくりするー。
子供に間違われたっ・・・!
最 高 じ ゃ な い か ね ?
むふぅ、実に良いものだ・・・オカルトに巻き込まれるのも悪いことばかりじゃないね!
いや、さっさと帰れるなら帰りたいけど。
そんなこんなで、普段よりちょっとだけ(略)プレイを満喫しつつ、追手が他二名を追いかけてくれる素敵展開を期待しつつ。
ワタシは、追加の甘味を注文するのだった。
で、なんだかんだと夜まで時間は流れ。
マックスは宿の前で共犯者たちと合流。
やけに満ち足りた顔のツレその2及び、先刻まで寝てたという風情の灰剣士とともに、一日逃げ切った充実感を漲らせて鬼をm9(^Д^)プギャーしようと乗り込んだわけだが。
1人増えた知人の再会祝いに飲み込まれ。
後日、追う側が即時鬼放棄していたという悲しい事実も突き付けられ。
一日中走り回ったオレの苦労は、と。
余りの出番のなさにむせび泣くマックスであった。
・・・いつものことである。