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護衛者それは証拠残さず

酒場で皆を待ちつつ、今日はお互いはどんなことしてたのん、と言う流れになり。

自分の話のあとに、文字通り桁が違う金額を稼いできたシオンが受けた依頼のあらましなどを話してもらうことに。

と、いうわけで。

ある意味「しおんさん ふんとうき」西国編。




街の東に幾ばくか。

プ□デューサーさん、森ですよ森!

だが876は許さない、絶対にだ!(ア○マス2とか関連の私怨)


灰剣士、テーラー半裸、厨2時代の思い出に苛まれる男・・・ことシオンは、流浪民偽装服を纏って樵護衛の依頼を受けたそうだ。

偽装を行うまでもなく流民じゃね? と言う気がしないでもないこともなくはない。(つまりどういうことだってばよ?)


人を喰う大熊が出没するようになった、と言う事で、それなりの人数用心棒を雇う辺り危機の度合いは高いのだろう。

達成金額だけを見て依頼票を毟った口のシオンは、念のための予備武器含む三本の剣(身内クラフター共渾身の一品。 真剣に作った、と言うだけで別に何の変哲もない普通の武器)を左右背中と装備し。

かつーん、かつーんと周囲に鳴り響く音を背に受け、気ままに周囲警戒を行っていた。

使い込んだ形跡のない真新しい武器や見た目の粗末さに、同行していた同業者達(6名1パーティらしい)から「そんな装備で大丈夫か?」と、隊列最後尾の樵最近位置に回された経緯がある。


「じゃ、お邪魔しないように最後尾でチョロチョロやってますねゲヘヘヘ」

と、揉み手に猫背の小物プレイに余念のないシオン。

この男、ノリノリである。

しかし内心は、さっさと熊出てきてワチキに襲いかかってこないかなー、とかだったりしたそうで。




「え? だったらなんで小物プレイして最後尾に下がったの?」

「いや、だってさ。 せっかくのお気遣いを無碍にするのは・・・何人かザクロげふふん苦戦したところで周りの恐怖を煽ってからワチキが出た方が美味しいじゃん?」

「なにそれこわい」

初心者プレイはどこいった。

出を待ってるんじゃねぇよ。

どこのヒーロー様だ貴様。

性能的にはヒーロー様なんだが。




で、そんなシオンの不穏な内面を支持するかのように。


「出たぞ!」

2人1組で周囲散策を行っていた同行パーティのメンバーからの警告。

次いで生木を力任せに薙ぎ倒して出て来たのは、体長5mを超える・・・っておい、見覚えアリまくりの生き物が現れた。

熊、と言うか、モンスター。

こっちの世界に飛ばされ小部屋の扉を開き、軍隊同士のドンパチ横切った先にいた、あのスニーク巨大熊(に似た何か)。

観戦モードだったシオンの背後に忍び寄り、一息に上半身を丸呑みにした、まさに、アレだった。


「おいおい、もしかしてこっちじゃあれを熊と呼ぶのかい?」

シオンは左右の剣を鞘から解き放ち、不確定名:巨大熊? を観察しつつ周囲の樵に避難を呼びかける。


悲鳴を上げて背を向けて逃げる、というお約束を犯す樵がいなかったことが、彼らのプロ度合いを裏打ちしている。

命のかかる現場に出向く奴らは総じてプロである。

実に守りがいの無い・・・げふふん・・・理知的な作業者だと感心するがどこもおかしくはない。


「聞いていた対象と違うじゃねぇか、熊どころじゃねー!」「おい、あっちに様子見に行った2人が帰って来てないんだが!」「足を止めるな、囲めっ! 背中は絶対に見せるな!」「くそっ、速すぎる!」

きちんと想定外のターゲットに対しても対応する(正直、逃げ出すと思っていた)同業者を見て、シオンは少し、惜しくなり。


振る手も見せず、回避不可の斬撃を左右二発。

今まさに同行パーティのリーダー格に覆いかぶさろうとしていた大熊の腹部に、Xの字を刻む。

無論、赤い×印が刻まれただけで終わるわけもなく。


割合あっさりと、大熊の上半身と足二本が、地面に転がった。

その他部位は、綺麗サッパリ散って失せた。




「で、その時不思議なことが起こった、で、終わったの? それだとシオン勧誘事件に繋がらないんじゃ?」

「んー、助けたリーダー格が・・・あ、しつこかったんでワチキの一本拳で悶絶した人ね・・・遠距離攻撃の含まれてる剣術を使える人でさ、あえなくバレたって感じ」

「あー、斬撃の射線で感づかれたのかー?」

「いや、結構気合入れて遠距離斬撃撃ったんで、左右の剣が耐え切れずに砕け散ったの見られた」

「物証残してんじゃねぇよ、自業自得じゃねぇか」

「いやぁ、抜いた途端に壊れるなんて変なもの掴まされちゃいましたかねウヘヘヘ、とかって誤魔化したんだけどな?」

「誰を騙す気だそれは? ミジンコあたりか?」

「うっせうっせ、残りの一本ぶつけるぞ」

「勿体ないからやめて! そんなんでも結構苦労して作ったんだから! 地味に鍛造したんだから!」

「正直、どのみち外の人力そとのひとちからで砕けるんだし、型抜き物で良かったんじゃよ?」

「シオンはモノづくりする連中の美学を知らんな」

「ロマンか、ロマンの話か!」

「いや、単純に鋳型作るのが面倒だったんで趣味を優先した。 ちなみにレシピ製作で同じの作ると裏ワザ込みで二秒で完成する。 不思議!」

「ははは、コイツ死なねーかなー」




その後。

結局戻らなかったパーティの二名は、見つからなかった。

かなりの量の血痕と、指先など僅かな部位が見つかっただけであったが、そこは周囲に気づかれぬようにシオンがガメた。

肌の色が違う二名であったので、二人分の確保は成ったと見ていいだろう。

遺体が見つからぬ以上は捜索をあきらめない、とした連中に付き合い、やや遅くまで結果の出ない捜索に協力し。

また、クマもどきの別個体が出てくることもなかったため。

頭割の数が減った高額依頼料及び討伐報酬及び熊死体売却益がシオンの懐に入り。

さてまだ誰も帰って来てないから少し街をぶらつくか、と言う段で「く ま な い か」と声かけられ、勧誘事件に続く。




「うむー、なんというか、初心者プレイじゃないよね?」

「金だけで選んだんで、同業者も結構場数踏んでたのが敗因かね」

「まぁ、初心者プレイするために目の前で人死に出るの見過ごすのもアレだしなー」

「あ、そういえば二人お亡くなりになったんだっけ? 爪の欠片でも持ってきてれば蘇生できたのに」

欠片だけあった、ということならまだ死んでいない、と強弁する事も可能であろうと言うものよ。

そんなことを言う自分に、シオンがニヤリと笑う。


「抜かりはない。 ワチキを誰だと思ってやがる!」

怒号から喰われたっぽいのは察したので、腹もろとも邪魔な物証を消し飛ばしたり、果ては喰われた現場にさっさと出向いて部品回収とかしたんだからな!


ずい、と、自分の無限袋から赤黒く血の染み出した小さな巾着袋を差し出してくるシオン。

中身は、聞くまでもない。


「じゃ、ちょっと花を摘みにいってくる」

ちょっと極楽まで、と、席を立つ自分。

あー、服とかはどうしよう・・・手持ちは・・・あ、魔物を逆侵攻した時の取得物でお茶をにごすか。

よし、貴様等にふさわしいソイル(服)は決まった。

ドス黒く染まったゴブリンの服、ブラッディーブラック!

泥に染まったオーガの服、デッドリーセピア!

その他もろもろ、適当に色づいたズボンとか色々、マッドネスゴールド!(黄金水的な意味で)


「準備完了。 ・・・酔わせて酒場の隅にでも転がしておくー」

「任せた、手数かける」

「それは言わない約束でしょう、おとうさん」

「貴様に義父と呼ばれる謂われはない!」

「そもそも娘とかいねーだろうに貴様」

「息子もいねーけどなー、おおっと、股間のマイサンは健在だぞ?」

「聞いてねぇよ、どんな魔遺産なんだか・・・見せるなよ? ここでポロリすんなよ? 召還門<社会の窓>を開放するんじゃねーぞー」

「しwwwねwwwwwえwwwwww」


そんな感じのお馬鹿テンプレかました後で。

自分は「熊に喰い殺された悪夢を見た二名」を無事あの世から救出。

その後当て身で意識を刈って、アルコールを静脈注射。

無事に(死なない程度の)泥酔健康体を酒場の隅っこに転がすのだった。


ミッションコンプリート。

なんかくれ。


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