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旧地表そこは本当に地獄だぜぇフーハハハァー

いや、特にバイクに跨ったモヒカンどもがご老人を追詰めている場面に行きあった訳でもないんだけどね。

単に自分一人の短時間斥候だけで「見た感じ平気そうだよね! 無問題無問題!」などと日寄れる訳もなく。

むしろ急ぎの危機がないのなら皆して地獄にダイヴ! しようぜ、と相成り申して。




「なんというか、落ち着くね・・・」

降り立って早々に、エイジが浅くため息をつく。

抹茶でも飲みたいね、とこちらに目配せしてきたりする・・・出せ、と?

流石にドラえも○モドキの自分とはいえ、準備してないものは出せぬよ・・・。


「綺麗だけど、凄く寂しい所だなぁ」

皆いるからいいけど一人だったら泣いちゃいそう、とかエリスが言い出し。

・・・珍しく真面目な顔してるので、なにげに歳相応の女の子に見える貴重な場面。

そのままの君でいて・・・まぁ、無理な願いなのだが。(もう色々諦めた)


「・・・同感」

そんなエリスに同意し、小さく頷くナガさん。

あと、頷きつつレザードの袖口をつまむのはやめてください現状ビジュアルだと視界に入れたくない絵になりますゆえ。

ってかもう、常に女性体に変身しててもいいんじゃね?

色々大変だろうに、中と外の性別違ってると。


「あー、枯れてるメリウとかエイジは落ち着くかもなぁ、こういう雰囲気」

ワチキはなんか静かすぎて落ち着かないな、とシオン。

おいぃ、枯れてるってなんだね?

自分はまだ現役ですぜイキリタツ! ピュピュピュー「粛清」血がピュピュー。


「チッ、俺がツッコむまでもなかったか・・・」

ノリダルマになって地面に転がる自分を見下ろして「出遅れたっ」というような顔をするレザード。

え、なに、ツッコミ速度選手権でもやってたの?

あとナガさんはハンカチ噛むのを止めるように。

もうそんな仕草が笑って見られる程若くないんだし「15歳」半分以上のサバ読むな。


「この・・・泥棒猫っ」

おーいマックス、ナガさんの背後に隠れて何アテレコやってんのー。

ナガさんの目が害虫を潰す時のソレになってくるからやめれー。


「さて。 いつもの茶番は良いとして、どちら方面に向かいますかな?」

はーい汚物はしまっちゃいましょうねーとばかりに、皆の視界外へ血ダルマ(つまり自分だ)を蹴り転がしつつジオが言う。

うむー、そろそろボケにマジ突っ込みで血の雨ってマンネリになってきたなぁ、別パターンを模索するかぁ、等と、血ダルマロールケーキな自分は思案するのだった。




旧地表から見上げる空は、謎の淡光を放つ一面の天井で。

降りてきた地上への割れ目も、地味に見え辛くなっていた。

見えないこともないんだけれど、なんというか、薄れていってる飛行機雲レベルの曖昧さである。


「ひとまず、その飛行機雲を追いかけてみようか」

皆して上を向いて行こうか、等と続けてホバー移動な自分。

お約束の上を向いてて谷底ダイブ防止の観点で、ね。


「人目の無いココなら、いろいろやらかしてもいいっていう前振りですね、わかります」

そそくさと箒にまたがりレースする気満々なマックスを、生暖かい目で見つつ。

ってか、自分等普通に地上で空飛んでたじゃねぇか。

いまさら人目とか言われてもなぁ・・・言いたいことは良くわかるががが。


「リーダー・・・よもや私に勝てる気ではあるまいね?」

変な口調のエリスが、片足胡坐な変則乗りで箒搭乗。

・・・ああ、車に乗ると性格が変わる系ドグサレだったっけ。


「ど、ドグサレてないよ! ほのかに醸されてるだけだよ?」

「人に有益なのは発酵、有害なのは腐敗と呼ぶ・・・で、痴ロリンの趣味は有益なのかな? かな?」

「・・・超有益ですよ? すよ? ・・・ごく一部の同士に」

「目を見て、話そうか?」

「見つめ合うと素直におしゃべりできないって誰かが言ってました」

「あー、昔替え歌で「おしゃべり」を「おしゃぶり」、「素直」を「上手」にして熱唱したらレザードに怒られたなぁフェラーリ(語尾)」

「そ れ は ひ ど い 。 流石のエリスさんでもドン引きですよそれー」

「ですよねー」

「「アハハハー」」


「二人とも・・・漫才してる間に、皆、飛んで行きましたが?」

「「はっ!?」」

そんなわけでウチも行きますかね、と、律儀に声かけてから飛んでいくジオさんマジ紳士。

ってか、同士エイジすら無言フライングってどういうことだ。


「・・・私達、ついに見捨てられたんじゃ」

「・・・そこに気づくとは・・・やはり天才か」

ハブられた者同士、ウフフフフ、とか暗く笑いあいつつ。


「ぶち抜かす!」

スピード狂のエリスが遠くにチラつく皆の背中を睨んで声高に吼え、箒にまたがって宙に舞う。


「んじゃお先」

職業・外道の自分は、回復と瞬間移動の合体魔法<秒速1km>で、その場から掻き消えた。


「そこで消えるとか! ここは二人してチーム組んで風よけ交代ツーマンセルとかやるところでしょ! 空気読め卑怯者ー!」という痴ロリンの罵倒が、1km後方からにもかかわらず鮮明に聞こえた気もした・・・きっと気のせい気のせい。




1km先を目視し障害物なしと判断された場合<秒速1km>を発動。

回復魔法の併用により、本来消耗の激しい瞬間移動を低疲労に使い倒すこの合体魔法移動は、ジオと自分だけの専売特許になってしまっている。

一応回復薬的なものを使用しての他メンツ運用も出来なくはないが、薬を服用するアクションが混ざる分、回数押しの移動手段なこれのポテンシャルは十全に発揮できない。

理論上、障害物の無い場所の移動であるなら一時間に3600Km程移動できる計算である。

一時間、ずっと瞬間移動瞬間移動・・・と繰り返さないといけない諸刃の剣なので、カタログスペックは出せないよねぇ、とはジオとの酒飲み話で出た結論であるが。


で、痴ロリンの罵倒を背中に受けつつ飛んだ先。

自分たちを置いてけぼりにした連中の背中を、捉える。

派手な空中戦を繰り広げている箒ライダーどもの姿が、四方八方入り乱れていた。

シオンまでがノリノリで箒サーフィンしつ、マックスやらレザードやらと素敵空中戦を満喫していた。

あー、おまいら楽しそうねー。

最近、シム異世界人って感じの慣れない教育三昧だったし、好き勝手出来なかった反動かのぅ。


「自分も混ざろうかなぁ」

主に魔王触手祭りで。

フヒヒ、痴ロリンのスケッチブックが重くなるなっ! 描きこまれたインクの量的な意味で。

よぅし、そうと決まれば、パパ変身しちゃうぞぅ!

<魔王スライム><ローパー>合体変身キメラ・・・命名<R18>!

迸れ広域無数の触手達っ。


「うっわ、もう来やがった!? しかもモード18禁じゃねぇか!」

ウゾゾゾゾ、と宙を這い寄る触手を容赦なく切り捨てながらシオンが叫ぶ。

・・・一応痛覚はあるのですががが・・・涙が出ちゃう、だって触手ですものっピュピュー。

自分はヤラれた腹いせに、斬られていない触手先端から変な白い液体(成分不明、若干生臭い)を飛ばして応戦。

・・・超必死こいて回避するシオンさん萌え「萌えじゃねぇ後で泣かすーーー!」萌えー。(やる気ない声で)


「なんというグロシューティングゲーム状態・・・R-T○PEかよ」

周囲に展開した触手に対し<流星>射出。

<流星>をバラした金属片を従えつつ、周囲の触手達に移動攻撃を繰り出すレザード。

流石に空中、しかも自力でない移動の為バラされた<流星>に追いつかれてしまう。

その都度、襲いかかる触手に向け再射出される<流星>の群れ。

溜め撃ち系シューティングゲームだねっ。


「相変わらずグロイ物になりたがるな、同士は」

ヤレヤレ、と肩をすくめるエイジの周囲は、動きの止まった触手の群れ。

彼の広域殲滅魔法<凍界>によって、数多の生ものが凍り付いていた。

悔しい、だけど固まっちゃうっ。 カチンカチンチン。

放置すると全体を凍らされかねないので、エイジを取り囲むように動かざるを得ない。

ククク、自分の魔法で結果的に動けなくなるが良いっ!


「周りを確認せずに一人に向かうのは失策じゃね?」

末端を凍らされつつエイジを取り囲もうとしていた自分にかけられる地味男の声。

「誰が地味男じゃい!」「いや、お前さんだろマックス」「素で泣きそうだっ」

キッチリとツッコんでトドメを刺しに行くシオンも大概なもんだ。

で、エイジ中心に小さくまとまった自分に向けて。

シオンの<轟雷>とマックスの<震突>がブチかまされる。

てか、普通に共闘して自分を襲いに来やがるなぁ・・・これは死んだかもしれんね?


「とか何とか言いつつ、実はそれ・・・もう分身なのよねー」

「「なん・・・だと・・・?」」

渾身の魔法と秘奥義が<R18>の分身を通過する。

マックスの秘奥義は目標を失い宙に消え。

シオンの<轟雷>は、<R18>にかけ続けられていたエイジの<凍界>と正面衝突。

同格の広範囲殲滅魔法同士のぶつかり合いにより、周囲が派手に爆砕される。


「・・・危うく、死ぬところだった・・・」

心なし青ざめつつ、エイジ。

相性問題で負けていたら、両方の威力をもろかぶりだった訳で。

危うく死体も残らない死に方第一号になりかけたって訳だハハッ。(笑い事ではないが)


「危うく殺すところだった・・・」

結構渾身の威力が出てしまっていたため、肝を冷やすシオン。

属性補正持ちがその属性魔法撃つとこういう事が起こりうるから大変ですよね・・・味方に撃つなってのがそもそもなんだけどさ。


「やっべぇ、親友刺し殺しかけたわ・・・」

位置的にもう少しズレていたら、魔法をぶち抜いてエイジを刺していたマックスが顔から血の気を引かせつつため息をつき。

・・・魔法撃ってる最中だったし、防御しようとしたら魔法が突き刺さる両バッドエンドパターンだったねぇ。


そんなこんなの三者三様動揺模様。

その隙に、自分は先を急がせてもらうぜふぅはははー。

・・・あっれ、よく考えてみれば。

死ににくいからって致死攻撃撃たれまくってないか自分・・・?

皆の「アイツなら死なない」な信頼が重いっ・・・。


「おっと、俺を忘れちゃ困るぜー?」

むしろ死ぬぜー、とばかりに。

シオンの剣技やレザードの<流星>、やエイジの魔法で地味に削られ小さくなった自分に襲いくるリアルシューター槍忍者。

おいぃ、なんで本気で殺しに来てるんだっての「死なないから平気だろう?」いや、確かにこの程度じゃ死なないけどさ。

そんなやり取りを挟みつつ、自分に向かって乱れ飛んできた<流星>が着弾、炸裂して可愛い触手たちが千切れ飛ぶビュルルン。

悔しい、だけど・・・とか言ってる余裕ががが・・・うへぇ再生が追いつかねぇ。

・・・そろそろ本気を出さんといかんかね?


そんなこんなで。

なんで身内相手にガチバトルしてるんだろね、なんて考えはすでに無く。

自分は大人げなく<黒粘体>をはじめとする永久化結界群を開放。

同時に、一旦回復兼距離を取るべく<秒速1Km>を発動。


ワープアウト後。

ほぼ全回復した<R18>がゴ○ラのテーマをBGM(全身を振動させて壮大に「歌った」)に、皆の行く手に立ちふさがった。

変身後のラスボス、という意味合いを込めて、竜の角なんかを生やしてみたりした。(特に意味はない)


「フハハハハッ、さぁ第二ラウンドと行こうか勇者諸君っ!」

「「「「応! 行くぞ!」」」」


・・・あれ、いまさらなんだけど。

なんで自分、ラスボス的な事やってるんだろう?




一方そのころ。

「・・・相変わらずだね」「相変わらずですねぇ、皆」「襲いくる触手、溢れ出る白汁、灰剣士に電流走る・・・ハァ、ハァ」

我感ぜず、と、馬鹿どものじゃれ合いを迂回した賢者達は。

合流してから聞いたのだが「馬鹿連中が飽きて追いついてくるその時まで、のんびりと先行した」とのことだった。

危うきに、近寄らず。


「エリスからも離れた方がいいかもしれませんな」

「・・・同意」

「!? 同士フランが裏切った・・・だと・・・? さて、ナガ×ジオなのかジオ×ナガなのかが問題だーウヘヘヘ」

「「ヤメテ!?」」

賢者連盟、数秒で瓦解。


ふぅ。(某痴ロリンの満足気な賢者モード・談)

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