地の底そこは静寂の
今回は地獄にダイブしてみたキチガイ(自分で言ってて悲しくなるが)のお話。
可愛らしくキティちゃん♡て呼んでもいいのよ? オロロロロロ(あまりの気持ち悪さにセルフ嘔吐)
探索起点とするため、着地したその場に気合を入れた<灯火>を永久化して展開してから、自分は周囲を見回した。
上空から見た感じでも違和感はあったのだが、亀裂に飛び込んだ早々に想像していた「きっと上から崩れてきた土砂やらで出来た山脈とかがあるんだろう」いうような場所では、無かった。
むしろ。
「なにも、ない・・・?」
ただ平穏な、淡い光の世界がそこにあった。
苔むした、パッと見る限りは地味な緑地。
突然現れた強い光源に慌て逃げる虫などは見受けられるが、小動物などの気配や宙行く鳥の姿は無い。
風の谷のナ○シカの「腐海に浄化された世界」ってこんな感じなのかね、という風情の。
静かな、とても静かな世界だった。
茶と本でも持ち込んで、一人のんびり一言も喋らずに過ごしたい気分にさせられる素敵世界である。
茶室とか日本庭園とか作りたい。
古い記憶を掘り出して、ゲーム最後のクエストを思い出してみる。
視界ゼロの暗黒な世界において、悪魔を喰って生きていた人々を救出するというモノがあった。
あの時は「ああ、この真っ暗な世界が地獄かぁ」程度に思っていたのだが。
どうやらあそこは、空飛ぶ大地の中にある空洞だったのだろう。
旧地表と新地表を結ぶ柱化天使をよじ登って、運良く希望クエストエリアの真下にまで行き着いたのか、と、胸が熱くなる。
・・・どこをどうやればそうなるか、の想像は余りつかないけど。
「想像その1。 悪魔に追われて一族大移動、あの柱を登れぇー」
垂直数キロをよじ登れる体力あるんだったら、ぶっちゃけ悪魔が狩り尽くされてないか?
空も飛べなかったようだし、これはダメそうか。
「想像その2。 もはやここまでと思ったら地面が飛んだ! 助かったぜ!」
魔族さん達の足元の地面を運よく天使が押し上げてくれたぜ! 勝った!
・・・で、それだと新地表にいないとおかしくね?
あらかじめ空に大地が上がってた?
んじゃ潰れるじゃん、グチャッと。
なにその派手トラップ式惨殺。
ダメだねぇ、次ー。
「想像その3。 何かに導かれて、登れる柱まで誘導された」
これくらいかなぁ。
もしこれなら、話の流れ的には天使が先導役やったのだろうけどー。
天使に導かれて世界を貫く塔を駆け上がるー、とか言うとなんかエロいよね!
そんなことを何の気なしに考えつつ、自分は反射的に横に飛んでいた。
ツッコまれ慣れている体の条件反射恐るべし。
・・・。
・・・、なにも、こないよ・・・ね?
流石のレザ吉も、これだけ距離を置けば自慢のツッコミ力を発揮出来んと見える。
つまりは自分の天下。
「エ□マンガ島の事を考えると・・・オマ○ン湖ってば水が溢れちゃうのほぉぉぉ!」
とか叫んでも邪魔されないぜ!
いえす! ふりーだーーーーーーむ! 「サクッ」むむっ?
上機嫌に腰をガックンガックン振って踊っていた自分の頭上。
なんか見覚えある流れ星が。
こう、その、サクッと。
突き刺さりましてね?
まぁ、なんだ。
「ぼーん」と、爆発・・・したんです。
各種結界さんのおかげで、死ぬような羽目にはならなかったのですが。
ちょいと不意打ち気味だったので。
自分は、音にやられてその場をごろごろと、悶絶して転がりまくったわけで。
教訓。
レザ吉のツッコミ力は嫁さん以外にも強力である、と・・・。
「あー、すまね。 <流星>落としちゃったんだけど、まさか当たってないよな?」
地獄の斥候を済ませて帰還した自分にかけられたレザードの第一声が、これであった。
あー、天然モノのツッコミ力だったかー、因果律め、貴様が敵か。
・・・勝てる気がしねぇ・・・だと・・・。
「ははは、下まで結構距離あるぜ? 普通狙ったって当たらねぇって心配し過ぎー」
回避行動とった挙句に当たりました、とは言えぬ雰囲気に、自分は笑って嘘付いたりした。
だよなぁ、ハハハ、と笑うレザードには何の罪もないのだが、なんだろうこの湧き上がる殺意は。
「で、どうだったん? 何かめぼしいものみつかった?」
暇だったのか、マックスと打ち込み稽古していたシオンが、こちらに顔だけ向けて聞いてくる。
ってか貴様ら、振る手も見せずにお互いの連撃を捌きあう異次元バトルしてんなよ・・・魔剣同士のぶつかり合いで散る火花群が超綺麗なんですが。
あと、キンキン超うるせぇ。
「えーっとね、下の状況、ここの地面が崩れたって感じじゃなくてさ・・・」
かくかくしかじか、と地獄ツアーの様子を、待ってた皆に話してみる。
ってかあれ? エイジはどこ行った?
「あっちとこっちの地層、同じなんじゃないかとか言いだして調べてるみたい」
ほら、あそこらへん飛んでるのがそう、と、エリスが指差した方向。
紙の束片手に飛んで戻ってくるエイジの姿が。
「おお、御帰り同士」
早かったね、と、レポート握った片手をあげてエイジが自分に出迎えの挨拶をくれる。
「只今同士。 で、こっちはカクカクシカジカだったけど、そっちは何か分かった?」
こちらも片手をあげて地上捜査をしていたエイジに答えたり。
「こっちはマルマルウマウマで、どうもあっちとこっち、昔は地続きだった感じだね」
地層、種類や角度まで、まるで同じだったよ、と続けるエイジの言葉に、考え込む一同。
ふむー、となると。
単純に考えるなら、くっついてたものが離れた。
でも、地質的には動きようがないというか。
マントルさん、仕事しようがないだろうしなぁ。
ってか、してたら地獄の柱が愉快に圧し折れてないとおかしいしなぁ。
「んー、結局どういうことなん? 崩れたってわけじゃ、なさそう?」
地獄で柱を折って回るような大怪獣とかもいなかったしねぇ、と一人語ちる自分。
ボツ案にはいたけどさ。(メメタァ)
「かといって、地割れが起きる地質でもないしね。 かつ、流石に何も落下物無しってのも有り得ない」
エイジが続いて断定し。
「えーっと、二人の話を総合すると?」
結局どういうことだってばよ、と、レザードが考えることを放棄し。
「・・・もともと、この状態が正しかった。 ここを埋めていた何か、が、消え去った」
顎に手を当てて考え込んでいたナガさんが、ボソリ、と、つぶやいた。
ふむ。
よくよく今の足元の成り立ちから考えれば、そうなってしまうかね。
天使が地面を持ち上げて、今の地表を作るところを脳内で思い描いてみることにする。
天使さん達、地面にINしたぉ!
柱になって持ち上げたぉ!
ちなみに、この世界はいちおう星、つまり球だぉ!
・・・ああ、なるほど。(まるで関係ないが、ネトゲなんかだと「あ×、××ほど」、とかになったりする。 アナリストめがっ)
「表面積が違い過ぎるわなぁ、旧地表と現地表だと」
半径がキロ単位で変わるんだし、そりゃ、ブツ切れというか、空飛ぶ島の群れ的なもんになるだろうなぁ、と、マックスが納得した声をあげ。
「今の世界は分断されてるぉ! っていう仮定が出来ただけなんじゃね?」
ゲームでは大陸だったものが、間を埋めてるパテ的な何かが失われて群島世界になっちゃってるよ!
つまりはそういう事か。
「ふむ。 で、現状では崩壊の危機、というモノではなさそうだ、という結論でいいのでしょうか?」
今までずっと口を開かずに考え込んでいたジオが「足元崩壊危機事件」を、そう締めくくり。
「じゃ、これからどう動こう?」
という事に、議事進行したのだった。
調べられる「世界」が一つ増えたようなものだしなぁ・・・。
さぁてさてさて、どっちに行くことになるのやら。