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お披露目それは新技術

一月近く流れた「こちら」での時間。

何とか合流した、いつものメンツ+α達。

ひとまずの平穏な生活基盤、食って寝て遊ぶ環境は整った。

夢の「酒飲んで暮らす」を実行するべきか、とも思ったが、自分も周りも、まだまだ元居た世界に未練タラタラで。

何とかして「帰る」ための情報収集を兼ねての周辺地域探索なども視野に入れつつ。

現状何が出来て何が出来ないかの確認作業を、行っていた。




なんの変哲もない剣が、不自然に帯電した。

武器に自然現象を纏わせる、という魔法は存在する。

が、しかし。

灰剣士が皆の前で見せたそれは。

あろうことか<轟雷>を纏わせていたのだった。


「これが、ヤったらデキたシリーズ、<魔法剣>だ」

ドヤ顔でそれを掲げるシオンに、皆から「おおー」と、感嘆の声。

一瞬で消え去るはずの魔法を<永久化>無しに固定するという出鱈目。

インパクトの瞬間に炸裂するのか、永続的に剣に纏わり続けるのかは彼に聞かねばならないだろう。

あー、だけど、さ・・・自分が言うのもなんなんだけど。


「・・・そのシリーズ名は、最低」

「ですよねー」

「なん・・・だと・・・」

魔法剣<轟雷>片手に格好いいポーズをキメていたシオンは、普段無口な槍使い及び普段腐りきっている痴ロリンの「実は女性」二名に糾弾されて驚愕。

「メリっさんや、何故私まで「実は」の範疇に入れましたか?」「自分の胸に手を当てて・・・あ、いや、ごめん」「誰がそっちに気を使えと言った」いつもの義兄妹喧嘩勃発。


「馬鹿どもは放置するにして、だ。 シオンの旦那、そんな隠し玉いつの間に?」

壮絶な様相を呈している自分と痴ロリンの「あっち向いて死ねぇ!」対決を余所に、マックスが興味深げに尋ねる。

「「マックスに馬鹿呼ばわりされた・・・死にたい」」と、膝を折る自分と痴ロリンをガン無視して話が進む。


「あーっと、正確には覚えてないんだが、ほら、あれだ。 南国首脳陣一網打尽作戦の辺り」

「ああ、あの時の決めシーンか」

「そういえば旦那、あのクソ共脅すのに自分に<轟雷>落として「正しいから死なない」とかやってたなぁ」


「「「「「ツッコミどころしかないんだけど」」」」」

お前ら概略じゃなくて詳細聞かせろ、割とマジに。

変な禍根とかあったら処理しとかないと後々に響きかねん。


「そこらへんは平気平気。 文字通り太い釘刺してきたから」

レザードが、すっごいイイ笑顔でそんなことを言ってくる。


・・・ん、文字通り?


「五寸釘を爪」「それ以上いけない」

続きを口走ろうとするレザードを慌てて制止する。

何やってんのおまいら本気で。


「で、そんな感じでシオンの旦那が視覚的に脅・・・説得して、レザードが物理的に説得して・・・平和になったとさ、めでたしめでたし」

南のお偉いさんにとっては野犬にリンカーンされたみたいな事件だろうがな、と、珍しく表情を消して言葉を継いだマックス。


それプラスで、散々生死の境で弄ばれた兵隊たちの証言とかがもたらされるわけかぁ、酷い話だ。

遠い未来のマイナスにならないといいけどー。(時すでに遅しという単語が脳裏をよぎった)


「頭と胃が痛い」

右手でこめかみ、左手で鳩尾あたりを押さえつつ呻くエイジ。

あらいやだもしかしてツワリ「チャランボ」自分くの字。

そ、そろそろ皆、自分を物理的に黙らせようとするの止めない・・・か・・・?


「痛くなければ止まりませぬ」

なむー、と合掌して悟ったことをぬかす痴ロリン。

くそっ、時代か、時代が悪いのか?


「いや、メリウが悪いだけでしょう・・・特に頭とか脳とか存在とかが」

なんでもニ○チェとか孔○とか時代のせいにしちゃダメでしょうに、とジオまでが糾弾に回ってくる。

くそっ、なんて自分だ!


「まー、こんな感じでワチキの発表は終わります、センキュゥ!」

グダグダになってきた周囲に区切りをつけるように言いつつ空に<轟雷>を解き放ち、一礼するシオン。

その後、一息に振り下ろされ地面に投げつけられた剣が、密度の足りない骨のように潰れて砕け散る。

<轟雷>の威力に耐えられなかったのか、な?

<魔法剣>、研究の余地アリアリだなぁ・・・あ、普通にみんな魔剣持ちだし、どうにかなっちゃうのかな。


「さて、次は俺かね」

皆の元に戻るシオンと入れ替えに皆の前に出るレザード。

ほほぅ、何気に自信満々じゃありませんか。

だけど、自分ちょっとやそっとの事じゃ驚かないんだからー。


「いくぞー。 <影分身>」

「なにぃィィィィィ!?」

自分、超驚愕。

そんな自分の目の前に。

レザードが二人、いる。


「影分身って、アレだろ? 分身のくせに実体持ちっていうチート」

流石に胡散臭いと思ったのか、引っ込んで早々に前に出てきてレザード①の頭を鷲掴みにするシオン。

通常の分身ならばこれで消え去る、はずだったのだが。


「なんで頭を掴みに来るかなー」

そんな軽い台詞と共にシオンの手を払ったレザード②。

①は少々乱れた髪を整えたりしてる・・・。


おいぃ、どういう仕掛けか理解できないんだががが。


「「「「おおーーーー」」」」

マックス、エリス、フラナガン、ジオの感嘆。


「・・・」

そしてエイジの、沈黙。


「「どうよ?」」

二人エグザイルでグルグルしながらハモってくるレザード・・・あの回転に巻き込まれて何人か死んだという馬鹿話を思い出させる。

ひとまずは難問過ぎるクイズなので譲歩を期待して口を開いてみる。


「ヒント、ヒントプリーズ。 コンセプトと発動条件と維持条件及びその効果だけでいいから」

「「それは答えだ馬鹿者」」

自分の謙虚な申し出が蹴られた、何故だっ。

そんな中、ポツリとつぶやくエイジの声。


「中の人を、分離、した・・・?」

いや、まさかね、と漏れ出るエイジの声に。

レザード二人が大喝采。


「「だいたいあってる~」」

「「マヂで?」」

自分とエイジのツッコミが、ハモった。


「なんというか、自分が二人に分かれるってよりは、遠隔操作してるって感覚なんだけど」

言いつつ、にゅぽんと一人に戻るレザード①②。

その様に背後から腐気が漂った気もするが今はスルー。

「・・・二人がかりとか、体がもたない」ナガさんの呟きもスルー。


「最初は、これゲームなら分身も本体と変わらず映像だよなぁ、と思ったあたりから始まってな」

語りだしたレザード曰く。

なら分身が消える前に乗り移れれば操作できるんじゃね?


デキちゃった・・・。


と、言う話らしい。


「・・・ソロプレイなんて」

何かを口走りそうになったナガさんに「自重っ!」と目配せ一つ黙らせて。


「で、分身した方に乗り移ってみると、今度はそっちも実体扱いになってさ。 脳の体操って感じで操れる二つ目の体が出来たっていう具合でなー」

なもんで、結構慣れが必要かもなー、と、若干疲れた表情を浮かべるレザード。


「・・・平気?」

無表情に慌てて彼を支えるナガさんがちょいといじましいレザードもげて爆ぜればいいのに。


「ってな感じで、俺からはこんなもんかねー」

師匠そんなに心配しなくても平気だからー、と、軽口叩きつつ観覧側へと戻っていくレザード及びナガさん。


「・・・ああ、そういう事?」

そんな二人の背中に続きつつ、シオンが素の表情でポンと手を叩く。

視線の先にはナガさんの姿。


「もしかして気が付いた?」

「歩き方とか仕草で何となく。 ってかメリウ知ってたのかよ」

ボソボソと、並んで歩く自分と密談状態。

これでナガさんの中身性別知ったのは3人目か・・・地味にエイジとジオも気づいていそうだが。


「おっしゃぁ、次はオレの番だなっ! お前らの度肝を抜いてやるぜこれが三日前に発見した<合体魔法>「「「「「あ、それ知ってる」」」」」なん・・・だと・・・?」

出落ち甚だしいマックスの見事な散り様とともに、南組の隠し芸発表会は終了したのだった。

すまないマックス、既に魔法間相性問題とか魔力視による構造変更及び新魔法作成の可能性について、とかの段階に達してるんだ、それの研究・・・。


「あっれ、フラナガンの隠し芸は無しかい?」

自信満々の所にカウンター喰らって真っ白になったマックスを傍目に言うシオンに対し。


「今のところはナガさんと自分くらいにしか意味ない発見だったから発表しないってさ」

自分は、今夜驚くこと確定のレザードに聞こえないように、言った。




ナガさんの発見した隠し芸。

それは。


「中の人が見たことのある「動」く「物」にも<変身>出来ると言う事」

「師匠が嫁に変身した・・・だと・・・?」


自分とナガさんしか意味がない発見。

つまりは、今のところ二人しかいない<変身>持ちのみに意味ある発見。

そこらへんはまぁ、色々と試しがいはあるのだけれども。

一言だけ言いたいことがあるとすれば。



今夜は、お楽しみですね?

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