4話目
父さん母さん、見ず知らずの男たちに引き立てられるように連行されたあたしは現在刺すような視線の真っ只中に居ます。えぇ右を見ても左を見ても前や後ろ...つまり前後左右に囲まれる形でそれぞれに尋問をされています。
「おまえは何者だ?」
「どこに行こうとしていた?」
「名前はなんだ?」
「...まだ成長過程か?」
すいません、尋問て言うか一気に聞かれました。ってか最後、成長過程って何だよ。しかも残念そうに眦を下げて...ってどこ見てるッ?! 余計なお世話だ。
取り合えず、チラリと周りの顔を窺う。年の頃は見た感じ似たり寄ったりのような気がする。身長も体格も。髪の色もなんか同じ系統の色だし。茶色? 栗色? ブラウン? ってブラウンって茶色だったけ。...ただ、唯一違いがあるとすれば纏う空気って言うのかオーラって言うのか、まぁそんな感じのものがそれぞれ違うんだよね。なんてしみじみ思っていたがいつまでも黙っている訳にはいかないので順番に答えることにした。
「...あたしはただの旅人です」
「ただの旅人がそんな規格外な能力持ってる訳ないだろうが」
一瞬でエメラルドグリーンの瞳の男に否定された。めんどいんでこれからはこいつはグリーンにしよう。
「隣国に行こうとしてただけです」
「例えそうだとしても、無理だな。そんな規格外の能力持ってるんじゃ」
「ルマンドの言う通り、そんな危険な能力を持った奴を我が国に入れるわけないだろうッ!!」
あ、やっぱり? そんな鎧を着てこんな天幕に居るからもしかしたらって思ったけど...やっぱりヴェールズの兵隊? いや騎士? まぁどうでもいいけど。てかグリーンの名前ってルマンドって言うんだ。そう言えばそんな感じの名前のお菓子があったなぁ。あれ、すぐボロボロになって食べづらかったけど好きだったんだよなぁ。